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『ザ・通訳道』:徳久圭先生 (1)

お9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
質問: 通訳の仕事を目指したきっかけを教えてください。

 あまりにも「ベタ」な理由ですが、ロシア語通訳者の米原万里さんが書かれた『不実な美女か忠実な醜女か(新潮文庫)』を読んだことです。当時私は小さな出版社に勤めていて、社会保険関係の出版物を作っていました。中国語は学んでいましたが、週に何度か学校へ通う、ほんの趣味程度のもの。大学で専門的に学んだわけでもなければ、留学したこともありませんでした。

 米原さんの本には、通訳者という仕事の面白さ、大変さ、そして異なる言語間でのコミュニケーションにまつわる様々な喜悲劇が「てんこ盛り」でした。編集者をしていたこともあって、もともと言葉に興味があり、その言葉を縦横に駆使して世界中を飛び回る米原さんの姿に、「かっこいいなあ」と思ってしまったのです。本当に単純な動機です。

 その後、運よく奨学金を得て会社を辞め、中国に一年半ほど留学しました。通訳者になるという野望を秘めての留学でしたので、極力日本語を使わない生活を心がけました。日本人と話す時さえ日本語を使わず、かなり奇妙な存在だったと思いますが、当時私はすでに三十路に突入していましたから、今さら「青春をエンジョイ」などとは思っていませんでした。とにかく中国語の能力を高めたい、そうすれば通訳者になれるかもしれないという一念でしたね。通訳者は、外語能力もさることながら母語の力がより重要であると気づくのはまだまだ先の話です。

 留学から戻り、ISSで初めて本格的な通訳訓練を受けました。授業初日はとても緊張していて、ビジネススーツで臨んだことを覚えています。訓練といえども、仕事の現場と同じような雰囲気に自分を置くほうがいいと思ったから――というのは建前で、実はダークスーツに身を固めた通訳者を「かっこいいなあ」と思っていたからです。首脳会談などで、VIPの後ろに陣取っているクールな通訳者がいますよね。あの姿に憧れたのです。やはり単純なんですね。

 ISSで学んだあと、通訳者として台湾へ赴任することになりました。日本企業が台湾で行う大規模プロジェクトに伴う長期派遣で、ISSの派遣サービスから紹介された仕事です。いよいよ「ダークスーツでクール」な通訳者としてデビュー! と思いきや、現場は寒風吹きすさぶ海辺の巨大プラントでした。スーツならぬ作業服に身を固め、ヘルメットをかぶり、高所作業用の安全ベルトを着用して、目もくらむような高さの場所で大声を張り上げながら通訳する毎日。自分のイメージとはずいぶん違う現場が待っていました。

 もちろんVIPの会談や技術会議などにもかり出され、そこではより精緻でフォーマルな訳出を求められました。なぜか台湾側に通訳者がつかないことも多く、双方向の通訳を一人で十数時間こなしたこともあります。自分が黙ってしまったらすべてが止まるという緊張感の中で、「とにかく、何が何でも訳しきる!」という度胸が身についたような気がします。

 台湾から戻ってもう一度ISSで学び、その後フリーランスの通訳者になりました。現在は専門学校の講師をメインに、通訳や翻訳の仕事をしています。昨年からはISSでもクラスを担当することになったので、これまでに現場で得た数少ない経験の中から、少しでも受講生のみなさんの参考になるような授業をと思って、毎回教案に頭を絞っています。

 プロの通訳者になる道は人それぞれ、様々なパターンがあります。私の経験がそのままみなさんの参考になるとは思えませんが、ひとつだけおすすめしたいのは、仕事に臨むような気持ちで授業に出るということです。服装もそれなりに整えましょう。スーツでなくてもかまいませんが、それなりの格好をしたほうが通訳者らしくて「かっこいい」じゃないですか。そして「何が何でも訳しきる!」という度胸を決めて臨んでください。仮にそれが「不実」な訳出になったとしても、訳さないよりは千倍もましなのです。米原万里さんもかつてこうおっしゃっています。「通訳者の心臓には剛毛が生えている」と。みなさんのご健闘を祈ります。


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中国語通訳者養成コース講師 徳久圭(とくひさけい)

武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。出版社等に勤務後、社内通訳者、フリーランスの通訳者・翻訳者等を経て、現在日中学院専任講師、アイ・エス・エス・インスティテュート講師。

 

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徳久圭先生が担当されるサマーコースのご案内

   台湾華語リスニング特訓
   東京校: 9/3(日) 15:00〜18:00
 
 短期コース2017サマーでは、入学金・レベルチェックテストは不要です。
 受講特典あり!クラスの詳細、お申込みはこちらから:
 https://www.issnet.co.jp/courses/c_i_short.html#feature1

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| 『ザ・通訳道』 | 10:13 |

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