通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


<< 授業体験レポート:2013春【英語編】第6回 レギュラーコース大詰めへ | main | 授業体験レポート:2013春【中国語編】第6回 相手に聴いてもらうための配慮 >>
仕事ルポ:塚崎 正子先生(英語翻訳)


仕事ルポの第6回は、英語翻訳者養成コースをご担当いただいている塚崎正子先生です。
これまでに携わった中で印象的な仕事について伺いました。


10年ほど前、今でこそ「ガラケー」と揶揄されている携帯電話が世の中を席巻していたころのことです。当時、携帯電話関連各社から取扱説明書、技術仕様書など様々な文書が大量に翻訳に出されていて、私も一応IT関連の技術文書を専門とすることから、よく仕事をいただいていました。

そんな中、おそらく納期と分量の関係からか、ある技術仕様書を複数の翻訳者で分担して仕上げることになりました。私はなじみのある分野なので、翻訳作業も比較的順調に進み、決められた日より一日早く納品することができました。さぁ、この浮いた一日、何をして過ごそうか!と思っていた矢先に、翻訳会社の担当コーディネータの方から一本の電話が。なんと、同じ文書を担当する別な翻訳者が納期に間に合わないと途中でギブアップしてしまったため、その分をお願いできないかとのこと。とりあえず、少し納期を延長してもらい何とか対応できましたが、後になって色々と考えてしまいました。

もちろん、翻訳者がいったん受けた仕事を途中で放り出すというのは、あるまじき行為です。ただ、その翻訳者に急病など、何かやむを得ない事態が起きたのかもしれません。翻訳者も人間ですから当然あり得ます。しかし、それ以上に気になったのは、途中まで訳してあった部分を見る限り、その翻訳者が携帯電話にあまり詳しいとは思えなかったことです。

通信分野は少し疎いと自覚しつつも、調べれば何とかなると思い引き受けてしまい、結果的には時間だけが過ぎていく…というパターンかなと。自分自身を振り返っても、途中で投げ出すことはないにしても、納期まで危機一髪であったり、仕上がりの出来が余りよくなくチェックが入ったりしたことが、仕事をし始めたころにありました。

フリーで在宅翻訳をするということは、非常に自由である半面、自分の翻訳能力(質と速度)、知識、納期などあらゆることを一人で管理していく責任が生じます。実際には、コーディネータの方から内容や、分量、納期に関する情報はあるものの、電話一本で仕事を受けるか決めなければならないことは少なくありません。蓋ならぬファイルを開けてみたら、調べ物の多さにびっくりということもあります

自分の力を正確に認識し、仕事を引き受けられるか冷静に判断し、場合によっては断る勇気を持つ、ということも翻訳者にとって大事だと改めて認識しました。断ると仕事が来なくなることを不安に感じてしまうものですが、下手に引き受けて不完全なものを納品したり、納期に遅れたりすることでお客様に迷惑をかけることは、断るよりも今後の仕事に影響するのではないかと思います。

10年ほど前のこの出来事は、私にとっても非常によい教訓となっています。



<塚崎 正子先生のプロフィール>
お茶の水女子大学文教育学部外国文学科英文学(当時)卒業。電気メーカーに入社後、フリーランス翻訳者となる。
移動体通信、コンピュータ、医療機器を中心とした分野に関する各種マニュアル、学術論文、契約書などの英日/日英翻訳を手がける。




<関連記事>
ISS派遣サイトのプロ翻訳者コラムのアーカイブはこちらからご覧ください。
https://haken.issjp.com/articles/careers/ma_tsukasaki_01

 

------------------------------------------------------------------------

 

| 仕事ルポ | 11:18 |

☆好評連載中!
『柴原先生のワンランクアップの英語表現』
banner_shibahara.jpg

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>

リンク

モバイル
qrcode