通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


<< 授業体験レポート:2013春【中国語編】第2回 中国人と対等に話し合うための「討論力」 | main | 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 48回 「流れ」に関連した表現 >>
仕事ルポ:李潔先生(中国語通訳)

仕事ルポの第5回は、中国語通訳者養成コースをご担当いただいている李潔先生です。
急に舞い込んだ通訳依頼での緊張感にあふれるお仕事レポートをお届けします。


朝8時の通勤電車。携帯が鳴り始めた。こんな早い時間に誰から?と思い、目的地の駅で降りたらすぐ折り返しの電話をした。「李さん、今から空いていますか?今から○○社の同時通訳の会議があります。実はもう始まっています。すぐ行ってもらえますか?」通訳のエージェントの方からだ。「えっ、えっ、今からですか。今から10時まで別の仕事が入っているのですが」「じゃ、それが終わったらすぐ行ってもらえますか」「は、はい、何の会議ですか?」「○○社の…」

ある日の朝はこの一本の電話から始まった。通訳の仕事が突然舞い込むのはよく耳にするが、まさかこの大至急の有り様!一つ目の仕事が終わり、すぐ駅に駆け付け30分で何とか○○社の高層ビルに到着した。広々とした大会議室に100人ほど、肌色や髪色が違う人々が集まり、一人講師らしき人が一番前で皆に向かって元気よく話している。世界各地の支社から来た幹部向けの研修だ。会議室の後ろを通った時、あのテレビでよく見かける有名社長が一人専用の机にじっと座っていた。緊張感が自ずと高まっていた。

同時通訳のブースには、一人目の通訳者がすでに到着し、訳し始めている。大ベテランの通訳者だ。プレッシャーを感じる一方、頼もしい気もした。席に着いたら相手に「5分後に始めていいですか」とメモを見せてすぐヘッドフォンをして、つい先ほど渡された資料をめくりながら内容を聞き始めた。その時初めて会議の内容を少し理解した。通訳の仕事が成功するかどうかは90%事前準備で決まるとよく言われているが、今のように何も準備せずにいきなり会場に入れられて、訳せというような状況は初めてだ。心細さは今までにないほどだった。しかし、私の訳を待っている人がいる。訳さないわけにはいかない。ごまかして訳すわけにはいかない。

自分の番が来た。細心の注意を払って内容の理解に最も気をつけた。途中で分からない単語でつまずきそうになった時、パートナーのベテラン通訳者がすぐ訳語を書いてくれた。今も感謝の気持ちでいっぱいだ。幸い専門用語が予想ほど多くなく、講師のお話が非常に面白かったので、最初の緊張が徐々にほぐれて思ったより楽しく訳せた。一時間後、3人目の通訳者が来た。三人で助け合い、途中の英語のリレー通訳もうまく繋げて、15分の交代から徐々に20分の交代に変わり、午後までの会議はあっという間に終わった。終了後、中国からの参加者がわざわざブースにお礼を言いに来た。通訳者にとって何よりも嬉しいことだ。

フリーランスの通訳者にとって、いつ、どこでどんな仕事が待っているかは分からない。普段から常に実力を磨いておかなければならない。常に「臨戦態勢」でいなければならないと改めて思った。通訳の勉強はきりがないとよく言われるが、このきりの無さと同じ分量の楽しさもあると思う。これからもこの楽しさを楽しんでいきたいと思っている。



<李潔先生のプロフィール>
中国西安外国語大学日本語学部卒業、同大学大学院修士課程修了。6年間日本語教師として教壇に立ち、二回日本の大学に留学を経験する。来日後、企業向けの中国語講師を多数経験し、フリーランスの通訳へ。2010年上海万博日本館での勤務経験も。


<関連記事>
講師インタビュー:李潔先生
講師からの応援メッセージ:李潔先生



| 仕事ルポ | 09:27 |

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

リンク

モバイル
qrcode