通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


<< 授業体験レポート:2012秋【中国語編】第8回 「サポートとフォロー」 | main | 仕事ルポ:望月暢子先生(中国語翻訳) >>
授業体験レポート:2012秋【英語編】最終回 「次への一歩(まとめに代えて)」

ISSスクールブログで大好評の授業体験レポートが、ついに3シーズン目に入ります!2012年秋期では、英語通訳クラスと中国語通訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は、英語通訳者養成コース プロ通訳養成科1クラスのMさんの最終回のレポートをお届けします。

-------------------------------------------------------------------


期末テストも終わり、ホッと一息ついています。授業の最後では、復習教材を使っての同時通訳に挑戦しました。いろいろな気づきがありましたので、その中から3点ほどご紹介します。

まず、逐次通訳が満足に出来なければ同時通訳は出来ないということです。学校では逐次通訳スキルが完成してから同時通訳の訓練を始めるというカリキュラムになっていますが、それは理にかなっていると実感しました。逐次通訳が「瞬時」に反応し言葉を選び表現するものだとしたら、同時通訳では「超・瞬時」レベルの反応が必要だからです。しかも、どんどんスピーカーの話が進んでしまう同時通訳では、逐次通訳より言葉数を減らす工夫をしなければなりません。逐次通訳をしっかり練習してきた教材でもその状態に陥るわけですから、プロの同時通訳者のスキルがどれほどかは推して知るべしでしょう。

二つ目は、原稿があれば簡単かというとそういうものではないということです。今回は原稿を見ながら行いましたが、原稿(視覚)に気を取られてふと耳(聴覚)に意識を向けると、スピーカーが話しているのはもっとずっと先だったということがありました。反対に、スピーカーの話を先取りしていたこともあります。冒頭でも触れたように、今回は、逐次通訳はバッチリできる(ハズの)復習教材の同時通訳体験でした。それでもこのようなことが起こります。授業では原稿と音声が一致していますが、これが本当の国際会議などの現場だったらどうでしょう。原稿が仮に入手できたとしてもスピーチで一字一句同じことを言うとは限らないため、目にも耳にもかなりの集中力を注がなければならないのです。

三つ目は、交代のタイミングも難しいということです。交代のタイミングにおいては通訳をしている側が主導権を握ることになっていますが、視覚、聴覚、言語野など脳をフル回転させる一方で、交代のタイミングまで図るというのは至難の業です。スムーズに交代するためにはパートナーとの非言語的なコミュニケーションも必要ですし、細かいところではマイクのスイッチのオンオフという作業もあります。余談になりますが、通訳している側が交代のタイミングを図るというのを知ることができたのは学校ならではのメリットだと感じています。現役の通訳者から、「(当時はそのことを知らなかったため)初めて同時通訳に入ったとき、待機している自分が通訳している先輩に対し『交代の時間ですよ』という合図を送って失敗した」というエピソードを聞いたことがあります。

以上、"通訳"がいかにたくさんのことを同時に考え、瞬時に処理(反応)していく業務であるかというのを改めて実感した同時通訳体験でした。多大な負荷がかかることから通常の同時通訳業務はだいたい15分交代ですが、今の私には数分がせいぜいです。しかしその一方で、同時通訳自体は出来ないなりにとても楽しいものでした。

今学期は、前回プロ1を受けたときに比べてずいぶんいろいろなことを吸収しました。前回はついていくのがやっとで、先生やクラスメートの話を理解するも何もありませんでした。今回は、ついていくのはそれなりに大変ではありましたが、少しは耐性がついたといいますか、自分のキャパシティが広がったのでしょう。先生の言っていることがひとつひとつ理解できるようになってきたのは、前回のレポート「第8回 今ならわかる話」で一部ご紹介したとおりです。

本科2、本科3、プロ通訳養成科1と進んできて、通訳というのは正解がない世界であることをますます感じるようになりました。本科2の時は、正解らしきものを指南していたように記憶しています。通訳の「型」を学ぶといったところでしょうか。本科3でも、今にして思えば正解らしきものはありましたが、本科2に比べたらストライクゾーンは広がり、自分で考え工夫することがより求められました。そしてプロ1では、もっと自分で考える必要がでてきたように思います。質問をしても「正解はないのだけれど…」と仰りながら「ヒント」を提示していただくにとどまる場面が多かったのです。質問は出ていない事柄でも、「考える糧」を与えられる場面もありました。更に上のクラスに行ったらどうなるでしょう。「ヒント」や「考える糧」が与えられる場面はわずかなのもしれません。クラスが上がるということは、スキル以外の部分でも通訳者のあるべき姿に一歩ずつ近づいていくということなので、スキルから姿勢まで全てにおいて一段上を求められることなのでしょう。

さて、このルポの第1回で私は、自分のパフォーマンスを「期の終わりには『少しはマシになった』ことを感じられるようにしたい」と記しました。正直に言えば、残念ながら自分で感じられるようにはなりませんでした。でも、「後半は力がついてきたなと思った」と先生に言ってもらえたのを励みにしつつ、また一歩進んでいきたいと思います。1学期間ありがとうございました。
 

| 授業体験レポート | 11:38 |

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>

リンク

モバイル
qrcode