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仕事ルポ:望月暢子先生(中国語翻訳)


仕事ルポの第3回は、中国語翻訳者養成コースをご担当いただいている望月暢子先生です。
実務翻訳の仕事のきっかけやデビュー作について伺いました。


今を去ることン十年…とまではいかなくとも、遠い前世紀のお話。
当時、学術論文や出版翻訳で多少の経験を積み、そろそろ実務翻訳に挑戦したいと思い始めた頃、友人からある翻訳会社が主催するセミナーに行ってみないかと誘われました。
そのセミナーでは翻訳者募集の場は特に設けられていなかったのですが、登録する気満々で参加していた私は、セミナー後、担当者らしき男性に突進し、履歴書と活字になったいくつかの原稿を振りかざして売り込みを敢行しました。後で友人に「引いた」と呆れられましたが、幸いにもその担当者は私が持参した、権威はあるが誰にも読まれていない総合誌『世界』のコピーを見て、「私の友人がこの雑誌で編集をやっているんですよ」と親近感を持ってくれました。そして、「ちょうど社長が来ているから紹介しましょう」と、その場でご挨拶をさせて頂けることに。ドキドキ。ドキドキ…。

「ああ、そう。主婦ですか? いいですねぇ。じゃあ」
エルメスのスカーフがしっくり似合う女社長は、疲れた様子でそれだけ言って去っていきました。カラカラカラ…(主婦の情熱が空回りしてる音)

ま、そういうわけで、お気楽ご身分の主婦は、ともかくも実務翻訳の道へ踏み出したのです。
デビュー作は工場建設に関する通達文でした。たった1頁ですがその日の夕方までに、ということで心臓バクバク。時間をかければいい翻訳ができるのは当たり前で、時間内に一定水準のものを仕上げるのが仕事なんだ、と痛感しました。よく「実務は調査力」と言われますが、効率よく調べて短時間で形にするには、基本的な中国語の読解力と日本語力こそが重要なのかもという気もしました。

その後、少しずつ業務拡張に努めるわけですが、やはり初対面で「翻訳は趣味? 仕事?」と訊かれたり、「こんな世間知らずの主婦で大丈夫かしら」的な反応をされることが甚だ多い…いや、多かった。歳をとるまでは。ふん。
そのせいか、いつも心のどこかで「主婦だから、と言わせない仕事をする」と意地を張っています。まずは「商品になる訳文」を心がける。苦手分野の翻訳や新しいソフトに尻込みしない。徹夜でのやりとりも熱烈歓迎。自己投資にお金を惜しまない。自分の売り込み方を工夫する、などなど。
実際は、「主婦だから」ダメとかイイとか、関係ありませんよね。要するに「プロと認められる仕事をする」ということです。アマチュアとプロの違いって何でしょう? 仕事に対する姿勢はともかく、訳文そのものについても、そこを意識して勉強すると、目指す翻訳が明確になって効果的なんじゃないかなと思います。



<望月暢子先生のプロフィール>
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。上海に2年留学。帰国後、中国の近現代史・内政・外交を中心とした論文・資料を中心に、ビジネス、文芸、映像などの翻訳に従事する雑食系翻訳者。昨年10月に共訳書『しあわせ中国  盛世2013年』(陳冠中著、新潮社)を出版。

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中国語翻訳者養成コースの詳細はこちら


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講師からの応援メッセージ:第7回 望月暢子先生
望月暢子先生が共同翻訳された作品『しあわせ中国:盛世2013年』

 

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| 仕事ルポ | 09:31 |

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