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講師からの応援メッセージ:第4回 平塚ゆかり先生(中国語通訳者養成コース)

皆様、こんにちは。
講師からの応援メッセージ第4回は、中国語通訳者養成コース平塚ゆかり講師からです。



初頭から使い古されたフレーズで恐縮ですが、グローバル化や日中間交流が進んだ今日、日中通訳者の活躍する場所も拡大の一途を辿っています。国際会議や放送通訳の需要増だけでなく、様々な業種のビジネスに従事する社内通訳や官公庁各機関での通訳、司法、医療などの通訳に従事するコミュニティ通訳、医療ツーリズム通訳、観光ガイドやエスコート通訳、メディア通訳など、内容、形態も多岐に渡っています。日中通訳市場が拡大しユーザーが増えることは通訳者にとって、また通訳者を目指す皆さんにとって一見喜ばしいことに見えるかもしれません。しかし、通訳ユーザーが増えたとしても「言語の転換をするのが通訳であり、2つの言葉ができれば誰でも通訳はできる」というような、ユーザーの誤った認識を是正しない限り、通訳者にとっても、またユーザーにとっても喜ばしい方向には進展しないのではないか、このような危惧を抱いているのは私だけではないと思います。

司法(法廷)通訳などのコミュニティ通訳者は「何も引かず、何も加えない」ことを原則としていますが、これは上記の誤った認識の元にユーザーである法曹界が設定した原則であり、実際の現場では通訳者が文化的仲介者としての役割を求められるケースが多く見られます。また、ビジネス、会議などの通訳現場でも、通訳者は瞬時に言語の表裏に存在する文化的差異を考慮し、時には仲介者としての役割を果たすことが近年の研究で報告されています。これは通訳者が自身の立ち位置や通訳の目的、コンテクストなどを考慮しながら訳出に臨んでいることを示しています。

かつて、ある日中通訳者の先輩は「君は私の息子のようなものだ」という日本人の言葉を「就像一家人一样」という中国語に訳した、と語っていましたが、これは「話者には故意に聞き手を怒らせる意図はない」と通訳者が瞬時に判断し、コンフリクトを回避するために、起点言語と目標言語の文化差を考慮して訳出した一例です。このように通訳とは単なる言語の転換だけではない、字面だけの理解では適切な訳出はできないケースが通訳現場には多々存在しているのです。ただ、通訳者は文化的差異を訳出に反映することは自身の裁量で行うことがありますが、言うまでもなく、話者の意図を覆すまでの訳出をする裁量は与えられていません。発話の「解釈」「転換」「再現」という通訳行為は通訳者自身という「フィルター」を通して行なわれるため、そこには完全なる客観性などないかもしれません。しかし同時に通訳者は、通訳者が越えてはならないラインを自身の中に設定しています。これがすなわち通訳規範と呼ばれるものです。規範があってこそ通訳者はその仕事を全うできるともいえるでしょう。

以上、問題提起の意味も込め、とりとめのないことを書いてしまいました。
通訳者を目指す皆さんも通訳は「解釈」から始まることを自覚した上で、「解釈」「転換」そして「再現」を的確に行うために、両言語のブラッシュアップはもちろんのこと、同時に異文化、自文化に対する理解、認識を深め、幅広い知識を日々吸収していかれることを願ってやみません。皆さんが通訳者として異文化コミュニケーションのフィールドに参入される日を心よりお待ち申し上げております。



| 応援メッセージ | 10:09 |

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