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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 第16回:まっすぐなモノに関連した英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 


私は普段、CNNなどの放送通訳業に携わっています。これはニュースを同時通訳で日本語に変換する仕事です。国際会議のような、専門家を対象としたセミナーの場合はその分野の勉強をあらかじめ行った上で本番に臨みますが、放送通訳の場合、どのようなニュースが飛び出すかわからないため、日頃から新聞などを通じて時事問題に精通している必要があります。国際政治はもちろんのこと、スポーツや経済、エンタテインメントや最新医学情報など、あらゆる内容が飛び出すだけに緊張感を伴う業務ですが、その一方で世界の最新情報に触れることができるので、私はこの仕事に大いにやりがいを感じています。

英語ニュースを読んだり聞いたりしていると、難しい単語がたくさんでてきます。しかし、その一方で私たち日本人学習者を悩ますのは「簡単な言葉を組み合わせた慣用表現」で、放送通訳の現場でも頻繁に遭遇します。一つ一つの単語が聞き取れても、それが元の単語の意味とかけ離れていた場合、意味を推測することは困難です。そこで今回は、そうした慣用表現を中心にご紹介しましょう。キーワードは「まっすぐなモノ」に関連した表現です。


1.  A year ago this week, crude oil prices rocketed to a $147 a barrel.
(昨年の今週、原油価格は1バレル147ドルにまで急騰しました。)

rocket は名詞だと「ロケット」ですが、自動詞では「価格などが急騰する」という意味で使われます。ロケットがまっすぐ空に上がる様子を想像してみると、おわかりいただけることでしょう。rocket to は「一挙に出世する」との意味もあり、She rocketed to Hollywood stardom.(彼女は一気にハリウッド女優として躍り出た)といった表現でも使えます。
 

2.  We are working with the city to remove all the bureaucratic red tape to make sure that customers can receive the service.
(私どもはお役所仕事をなくすべく市と協力しており、お客様がサービスを受けられるように努力しております。)

red tape とは「お役所仕事」の意味です。これは「不必要な業務にノロノロと時間をかける仕事ぶり」といったニュアンスが含まれています。tape とは文字通り「テープ、ひも」の意味で、かつてイギリスでは公文書を赤いひもで結んでいたことからこの表現が生まれました。他にも以下のように使えます。
 *President Obama vowed to cut red tape.(オバマ大統領はお役所仕事を効率化すると断言しました。)


3.  I drew a line in the sand because I cannot accept such condition.
(私はそのような条件は受け入れられないため、譲れない一線を示しました。)

line とは「線」のことで、draw the line の3語だけでも「一線を画する、断る」という意味で使えます。なおdraw a line in the sandの語源については諸説あるようです。一つは1836年に当時メキシコ領だったアラモ砦をアメリカが奪還しようとした際、テキサス軍を指揮したウィリアム・バレット・トラビスが砂に剣で線を書いたという説。もう一つはローマ帝国時代にローマの政治家ポピリウスが、侵入してきた王に退却を命じるため砂に線を書いたという説です。

4. There are some issues that need straightening out within our department.
(部門内部においていくつかの課題を解決する必要があります。)

straighten とは「まっすぐにする」の意味で、straighten out は「問題や混乱など難しい状況を解決する」というニュアンスが込められています。一方、Three years in the Army helped straighten him out.(3年間陸軍にいたお陰で、彼はきちんとすることができた)のように、「straighten+人(物)+out」としても使えます。


いかがでしたか?英語にはこのように私たちが中学高校で習った単語を組み合わせた慣用表現が実にたくさんあります。上記の例文3で語源をご紹介しましたが、言葉や表現にはその元となったエピソードが潜んでいることもあるのです。ぜひみなさんも大辞典やインターネットなどで調べてみてください。そこまで徹底的に学んだ表現は、必ず記憶に残ります。

*お勧めサイト
http://www.phrases.org.uk/ 慣用表現に関するイギリスのサイト。フォーラムが充実。
http://dictionary.reference.com/ 辞書、類語、百科事典機能などが満載のサイト。



柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

 

 

 

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 11:22 |

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