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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 133回 「appleを用いた英語表現」

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

CNNの放送通訳現場では、いつも様々な表現に遭遇しています。面白いなと思ったものは迷わず手元のノートに書き、あとで辞書で引くようにすることが私自身の勉強法です。ニュースには口語表現もたくさん出てくるため、書き言葉ではなかなか知りえないフレーズに出会えるのもこの仕事の醍醐味です。先日耳にしたのはa bad appleという表現。そこで今回はappleを使ったものをご紹介していきます。

 

 

1 a bad apple 悪影響を与える者

 

There could be a bad apple in the organization, but the majority are good people. (組織の中に悪影響を与える者はいるかもしれませんが、大半は善人ですよ。)

 

a bad appleは「周囲に悪影響を与える者」という意味です。badの代わりにrottenも用いられます。日本語でもそうした悪影響を与える人のことを「癌」と言いますよね。

 

appleという語が初めてお目見えしたのは12世紀以前だそうで、古英語から来ているとジーニアス大英和辞典には書かれています。果物の中でもappleは最も典型的なものです。それゆえか、appleを使った英語表現が多いのもうなずけます。

 

 

the apple of discord 争いの原因

 

The responsibility issue still remains the apple of discord. (責任問題が争いの原因となり続けています。)

 

「争いの原因」を英語ではthe apple of discordと言います。文字通り訳せば「不和のリンゴ」です。この大元はギリシャ神話に出てくるトロイ戦争。戦争の原因となったのが黄金のリンゴです。結婚式に招かれなかった女神がそのことを恨み、別の女神たちの間に争いを起こします。そのときに投げ入れたのが黄金のリンゴでした。このリンゴが「不和のリンゴ」となったのですね。

 

なお、discorddis-は「不」、cordの元はheartのことです。ちなみに超音速旅客機のコンコルドはConcorde。こちらはフランス語ですが、英語のconcord(調和、一致)から来ています。コンコルドはパリ近郊で事故を起こしたのを機に、2003年に退役しました。かつてイギリスに暮らしていたころ、我が家の上空を大爆音で飛ぶ姿を見たことを思い出します。

 

 

3 the apple of one’s eye (とてもかわいがっている人)

 

My daughter is the apple of my eye.  I just want to give all my love to her. (娘は私にとって本当にかわいい存在です。とにかくすべての愛を娘に与えたい。)

 

the apple of one’s eyeは「とても大切にしているもの、かわいがっている人」という意味です。主に自分の子どもや恋人などについて使います。用法としては常にbe動詞の後にthe apple of one’s eyeが来ます。

 

私自身、振り返ってみると自分の幼少期は両親に大いに可愛がられて育ちました。けれども自分が子育てをしている頃は仕事が超多忙なライフステージ。今にして思うと、仕事よりももっと子どもたちに愛情を注げば良かったと反省しきりです・・・。

 

 

4 apples and oranges 互いに全く異なる人(物)

 

They are just so different.  They are like apples and oranges.(彼らはとにかく違うんだ。互いに全く異なる人たちだから。)

 

apples and orangesは「互いに全く異なる人(物)」という意味です。主にアメリカで使われる口語表現です。日本語であれば「水と油のような仲」という感じでしょう。本来比べようがないものを無理やり比べるという様子を表しています。

 

ところでorangeの語源は何とサンスクリット語だそうです。naranga(オレンジの木)ということばから来ています。ちなみにオレンジの花言葉は「貞節、愛らしさ、純潔」、一方、オレンジの木は「気前良さ」というニュアンスがあるのだそうです。

 

以上、今回はappleを使った英語表現をご紹介しました。

 

さて、緊急事態宣言も解除され、少しずつ街に活気が戻ってきましたね。私は自粛期間中のささやかな楽しみが早朝ウォーキングでした。季節はちょうど春。美しい花があちこちに咲き誇り、コロナの不安から私の心を慰めてくれました。花の名前に詳しくなかった私はスマートフォンを片手に花を写し、あとでネットで調べるということを続けてみました。どの花にも花言葉があり、非常に興味深く読むことが私にとっての日課となりました。日本語と英語では花言葉が異なるのも印象的でしたね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:05 |

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