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授業体験レポート:2019秋【英語編】最終回 「トンネルの向こう」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきました。今回は英語通訳者養成コース 本科2クラスのYさんのレポート最終回をお届けします。勉強の合間にレポートいただいたYさん、本当にありがとうございました!

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こんにちは、Yです。ようやく、ようやく、この日を迎えました。2020年2月22日、秋期コース最終日を迎えることができました。本当にここまで、長い長いトンネルの中にいました。出口の見えない道程に、何度くじけそうになったことか。しかし、時が経つのは裏切らず、晴れて秋期コース終了、Completeです。気が付けば、川沿いに咲く早咲きの桜はもう満開で、庭にはヒヤシンスが顔を出し始めていたのです。そうです、知らぬ間に季節は春へと移り変わっていたのです。ずっと待ち望んでいた春、さぞや解放感や充実感に浸っているだろうとこれまでずっと想像してきましたが、ようやく迎えたいま、実際は思っていたのとちょっと違う感覚に捉われています。

 

それは、もう授業が無いのだ、もうテストが無いのだ、というぼんやりとした喪失感です。やらなければいけない、という緊張感がこれまで常にあったために、いざそれが無くなってしまうと、どうしてよいのか分からない自分がいます。クラスメートに会えないという寂しさもあり、少し切ない気分です。いま一番しっくりくる言葉は、迷子です。そうです、春が来てわたしは迷子になってしまいました。
春の迷子より、授業最終回、期末テストの様子をお届けします。

 

第15回 日英期末テスト 2月15日
期末テストでは、これまでにやった教材の復習(2テーマ)、と初見の「睡眠と健康」の逐次通訳の吹込みをしました。初見は事前にTopicを与えられていたために、関連する用語、例えば睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea)や、認知機能(cognitive function)などを押さえて臨みました。実際にそれらの単語が出たために、事前準備の大切さが身に沁みました。期末テストは試験中のメモ取りが可なのですが、メモを取ることに意識がいってしまいすぎると、耳がおろそかになってしまいます。メモに意識がいきすぎないように、文脈を捉え、内容を理解し、その上で適切な単語で説明することに悪戦苦闘しました。脳がフル稼働です。ただ、通訳は相手に伝える仕事なので、単語を間違えても、文法を間違えても、なんとか伝えよう、その気持ちだけは持っていました。ここまできたら、最後の力を振り絞るしかないのです。いま自分にできること、それは技術でもなく器用さでもなく、飛びぬけた発音でもなく、ただただパッションなのです。現場に出たことのない私にとっては、今、ここが一番の舞台なのです。これまでやってきたことが身についていれば、自然とできるはず。力を尽くして、あっという間に試験は終了しました。

 

先生は、まだこの本科2レベルのクラスで扱う教材の内容は、比較的分かりやすいもので、もっと上のクラスに上がっていくと内容が更に難しくなっていき、その時にスピーカーが伝えたい大切なところを理解して訳出できるかどうか、こまかい情報は落ちたとしても、肝心な幹をしっかりととらえて伝えることができるか、それが重要なのだと教えてくださいます。これを聞いて、AIや翻訳機ではできない仕事が先生方のやっていらっしゃる通訳なのだと思いました。そして、スピーカーの言葉から伝えたい内容を理解し、そして理解した内容をどう表現し、どう文法を組み立てていくのか、何が主語で何が目的語か、修飾されているのは何か、関係詞、不定詞、分詞それらを正確に組み立てて訳していく。私のような熱い気持ちだけではもちろんダメで、文法的に忠実な訳出ができるように、日々努力を積み重ねていく必要があります。「通訳学校は職業訓練の場である」という言葉に、この学びがプロに通じる道であるということを改めて認識させられました。

 

第16回 英日期末テスト 2月22日
英日では、初見教材のTopicsが中間試験の時と同様に事前に3題与えられました。

 

 Coronavirus
 Trump’s impeachment
 Ghosn’s decision
です。
この中から1つのTopicが出題されます。私は中間テストのときに山を懸け、まんまと外してしまった苦い経験があり、今回は先生もすべてまんべんなく調べてくるように、と仰っていたので、しっかり3題について情報を入れて臨みました。しかし人間、どうしても山を張りたくなってしまうもの、すべて情報を入れた上で特に念入りに調べたのがGhosn’s decision についてでした。コロナウィルスは日々情報が更新されていますし、トランプ大統領の弾劾裁判については、最近単語テストでその内容を扱ったばかりだったため、これはゴーンに違いない、あんなにドラマティックな展開で日本を脱出するなんて、奇想天外なストーリーだからきっとこれが出るに違いない!とまた高を括っていたのです。授業開始直前まで、あらゆるサイトで英語と日本語のゴーンの記事を探し、読み比べ、どの単語が使われているのか、ルノーでの職位の呼び名から、レバノンで開いた会見の内容まで、くまなく調べていたのです。しかし実際、蓋を開けてみれば試験は「Coronavirus」でした。ガーン。自分の勘が全く当てにならないことを痛感しました。いや、大事なのは試験問題を当てることではなく、訳出の技術なのです。

 

やはり日英同様、メモ取りの難しさに手こずってしまいました。メモに単語を書きすぎて、耳で話の流れを追っていけない。書いたメモの記号を見ても、何を意味しているのか思い出せない。脳の回路を増やすべきなのか、短期記憶が良くなるツボがあるならいくらでも押したい気持ちになっていました。こちらも四苦八苦、かろうじてなんとか最後までたどり着いて試験は終了。コロナウィルスに関する知識があっただけに、全く歯が立たなかった訳ではありませんが、やはり訳の抜けが多かったこと、正確性に欠けることが反省点です。

 

先生は、自分なりのメモリストを作ると良いと教えてくださいました。自分なりに記号を決めて、例えば三角形をその時の主題に関係する特定の言葉として使うなど、自分流にアレンジしてリスト化するのが良いそうです。そうして作ったメモリストも、現場で使えないと判断すれば、どんどん数が少なくなり、使いやすいものだけに絞られていくそうです。

 

そして訳が抜け落ちてしまうことについてはやはり、頭の中でVisualizeし、可視化していくことが情報を残すためのポイントであるということです。何よりも文脈を覚えていることが非常に大切で、訳の枝葉を落としたとしても、重要なところだけは落とさないという意識、これが肝心であるということを最後に教えてくださいました。

 

講師の先生は、毎回授業の準備に多くの時間をかけて臨んでいらっしゃるため、こちらもそれに応えるべく精いっぱい努力して報いようという気持ちになります。これまでたくさんの課題を出していただき、仕事との両立にくじけそうになったことが何度もありましたが、今になって振り返れば、もっとできたのではないか、と思う自分も何処かにいます。

 

たくさんの課題のおかげで、勉強することを習慣化させることが、少しだけ身についてきたように思います。授業が終わった今、ソファに座ってテレビをつける、というこれまで罪悪感があってなかなかできなかったことも、通勤電車でスマホのニュースをひたすら眺めているという時間も、いまやってみると、なんだかつまらなく感じるのです。電車で30分勉強した、単語を1ページ覚えた、職場まで歩きながらシャドウイングした、そんな小さな達成感がこれまで私を突き動かしてくれていて、そしてそれが無いと、なんだか生ぬるく感じてしまうのです。しかし、あと2か月後にはまた次のコースがスタートして、また苦しい日々が始まるのです。つかの間の休息を有難く享受しつつ、勉強の習慣を絶やさないようにしていきたいです。

 

最後に、クラスメートが打ち上げで言った言葉が印象的でした。「他の誰でも代わりがきく仕事ではなくて、自分でなければできない仕事をしたい、だから通訳の学校に通っている」と。自分に力をつける、このことを目標に、クラスの一人一人が頑張ってこられて良かったな、と思います。大変でしたが中身のある時間でした。春の迷子は、迷子になっている場合ではありません。まだまだやることは山積みです。これからも自分に力を付けるべく、邁進していかなければなりません。

 

短い間でしたが、どうもありがとうございました。毎回惜しみなく教えてくださった講師の先生方、楽しい教務の方、ハードな時間を共有したクラスメートの皆さんにとても感謝しています。

 

それでは!みなさんの頑張りが、花いっぱい開きますように!!

 

| 授業体験レポート | 09:06 |

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