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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 129回 「氷」にちなんだ英語表現

 

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

今年2月の上旬に韓国でフィギュアスケートの四大陸選手権が行われました。羽生結弦選手の感動的な演技と総合優勝に多くの人が魅了されましたね。私はさほどフィギュアスケートに詳しくはないのですが、かつてイギリスでトービル&ディーンの「ボレロ」を観たことがあり、感激したことがありました。人々を惹きつける魅力があるのがスケートだと感じます。

 

今回は「氷」にちなんだ英語表現を見てみましょう。

 

 

1 break the ice 場の雰囲気をほぐす

 

The speaker broke the ice by making a joke. (その話者は冗談を言うことで場の雰囲気をほぐしました。)

 

「場を和ませる、場の雰囲気をほぐす」を英語でbreak the iceと言います。文字通り訳せば「氷を割る」ということですが、要は緊張状態にあるその場の空気を和ませることを意味します。icebreakerも「緊張を解きほぐすためのゲームや隠し芸」といった意味を有します。

 

ところでice(氷)という語の初出は12世紀以前だそうで、語源は古英語のis(氷)です。「アイスクリーム」は英語でice creamですが、ドイツ語もEisで似ていますよね。一方、フランス語はglace、イタリア語はgelatoですので少々異なります。

 

 

cut no ice 影響がない、無駄である

 

Although my son made his excuses, they cut no ice with me.(息子は言い訳をしたものの、私にとっては無駄でしたね。)

 

「無駄である、影響がない」を話し言葉でcut no ice と言います。後ろにwith …がつくことが多い表現です。上記の例文は、あれこれ言い訳している我が子を前にする親が、「たとえ言い訳をしてきても、それは無駄だ」と思う様子を表しています。

 

このフレーズがお目見えしたのは1800年代の後半とされていますので、どちらかというと新しい表現です。なお、和英辞典で「無駄な」を引くとuselessのほかにfutileという語も出てきます。私などついuselessばかり用いてしまうのですが、こうして新たな語もその都度調べ、使いこなせるようにしたいと感じます。

 

 

the tip of the iceberg 氷山の一角

 

That problem was just the tip of the iceberg.(その問題は氷山の一角に過ぎませんでした。)

 

「氷山の一角」は英語でも似たような表現となっており、the tip of the icebergと言います。tipとは「先端、先っぽ」という意味です。なお、icebergには他にも意味があり、「冷淡な人」やオーストラリアの口語表現で「冬期遊泳者・サーファー」という語義も有します。同じ英語でも地域によって独自の意味があるのが興味深いですよね。

 

ところで最近のニュースでは地球温暖化の話題が少なくありません。中でもよく出てくるのがicecap (氷冠)です。極地などの万年雪を指します。

 

 

4 put on ice 保留にして、棚上げにして

 

We should put that issue on ice until next week.(来週までのその課題については保留にしておきましょう。)

 

「棚上げにして、保留にして」を口語表現ではput on iceと言います。この表現が生まれたのは19世紀後半です。文字通り、保存のために氷を使って貯蔵したという様子から来たフレーズです。そこから転じて現在の意味になりました。ちなみにon iceの他の意味では「勝つ見込み十分な」「待機して」などがあります。

 

なお、ここ数年、アメリカの移民政策関連ニュースでよく出てくるのがすべて大文字のICEです。これはU.S. Immigration and Customs Enforcementの略で、日本語では「米移民関税捜査局」と訳されます。通訳の勉強をする際には、こうした固有名詞も勉強の「ついで」にチェックしておくと、いざという時に役立ちます。

 

今月は「氷」関連のフレーズを見てみました。ちなみに冒頭でフィギュアスケートについてお話しましたが、スケート関連の用語は独特ですよね。たとえば「サルコウジャンプ」は英語でSalchow jumpと言い、これはスウェーデンのサルコウ選手から来ています。一方、「ルッツ(Lutz jump)」はオーストリアのルッツ選手から、「アクセル(Axel jump)」はノルウェーのアクセル・パウルゼン選手が由来です。アクセルだけ下の名前からというのが興味深いですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:41 |

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