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授業体験レポート:2019秋【中国語編】第7回 「今こそ、試せ!作者に寄り添う力!」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で17シーズン目を迎えています。2019年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!今回は中国語翻訳者養成コース基礎科1クラスの香蕉皮さんのレポートをお届けします。

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皆さんこんにちは。突然ですが、中国語学習でテンション上がってしまう瞬間はありますか?
私は、日本語でも使われるくだけた言い回しが、ほとんどそのまま直訳で中国語になっているのを発見した時、人知れず小躍りしたくなります。
昔、台灣の大学での授業中、先生が「え〜ここのところは先生もよくわかんないのでググってください」と笑っていた時がそうでした。Googleで検索する→ググる、の部分を「Google一下」と言っていたからです。日本語によくある、名詞を動詞化して扱う表現ですが、中国語の「一下」も本来は動詞にくっつけて「ちょっと○○する」といった意味。そうした細かな用法やニュアンスまで共通していると、急に外国語への親しみが増し、とても嬉しくなるのです。「秒懂(=秒でわかる)」も初めて見た時は興奮しましたね、秒で意味がわかったので…。

 

どうでもいい前置きが長くなりましたが、今回の授業レポートテーマとは全然関係ありません(笑)。
ついに来ました、小説編!!!これまでの通知文や説明文といった、正確性重視のものではなく、文学作品の翻訳が課題でした。いかに作者の表現を汲み取れるかが勝負!では、ご覧あれ!

 

【十三回目】
日本語ネイティブの講師による和訳課題の振り返り等
賈植芳、余秋雨 、沈從文、3名の作家が実際に残した作品から一部を抜粋、出題。
実務的でわかりやすい文章にするのではなく、読み手が楽しんで読めるよう、それぞれの作風や、時代背景に相応しい言葉選びが求められます

 

・『小鳥和它的新居』『白髮蘇州』
この2つの作品タイトルからもう悩みまくり、結局『小鳥の新居』『高齢の蘇州さん』などと変なひねり方をしてしまいました。「新居」や「高齢」といった多少の擬人化も、文学表現として通るかな?と賭けてみましたが、それ以前に問題が…。原題で「小鳥」と「小鳥の家」がわざわざ分けてあり、かつ内容は、小鳥が新たな住処を探す話でも何でもないので、「家」を主体にしたニュアンスにならないよう注意が必要なのです。訳を省きすぎる、足しすぎる悪い癖がまだ抜けていませんでした…。「新居」も、直訳では人間味が出過ぎてしまうので、『小鳥とその新しい家』が自然。
次の作品タイトル「高齢」も、比喩としては不十分でした。本文で触れられる蘇州の歴史の長さは2500年もあるため、もはや高齢のレベルを遥かに突き抜けています(笑)。元々、せっかく擬人化表現として使われていた「白髪」は、安易に変えるべきではなかったんだな、と納得したのでありました。

 

・不知在什麼時候和什麼地方捉到一隻平常的小鳥
こちらは本文の一部分。直訳すれば「いつ、どこで捕まえたのかわからない、珍しくない(普通の)小鳥」なのですが、前後の内容から察するに、「いつ、どこで」や「珍しくない」を強調する必要はありません。
日本語の特性上、「いつの間にか」や「どこからか」、「一羽の小鳥」だけでも、“特定されていない”ニュアンスが伝わるからです。よって、模範解答は「どこからか一羽の小鳥をつかまえて」。
私は、クドいかなと思いつつ「何処からともなく何処にでもいる小鳥を捕らえて」と、また賭けに出たのですが、意外と先生から「韻を踏めているので、こういうのもありかな」とおっしゃっていただけました。
謎のギャンブラー精神も、たまには役に立ちますね!(仕事でやるのはまずいですが…。)

 

・「雲岩寺塔」よりは「虎丘の斜塔」
『白髮蘇州』に登場する、観光地のひとつ。その名の通り、地盤沈下で傾いたまま鎮座する姿が印象的なため、訳す時も配慮するべきでした。つい、日本語で正式名称とされている名前は何だろう?と気にするあまり、「雲岩寺塔」と訳してしまったのですが、それだと読者に姿を想像させる事はできません
たとえ知識がなくとも、実物を見た経験がなくとも、文字でイメージをさせるのは大前提であり、その表現方法を選んだ作者の意を汲み取る訓練のはずなのに…。私自身、まだまだ想像力や繊細さが足りませんね。

 

・自由気ままな様子を形容するには
『靜』という作品には、「無主風箏(主人を失った凧)」という言葉が出てきますが、これを例えば「ホームレスのように自由な凧」と置き換える事はできるのでしょうか?という質問があがりました(そう、あがりました。凧だけに)。
先生の答えとしては、日本語での「ホームレス」には、あまり自由気ままなイメージがなく、また、カタカナ単語が作品の背景と合わないので難しい、との事。あえて置き換えるとすれば「風来坊」といった単語の方がしっくりくる、と聞いた時、なるほど逆にカタカナの単語を知らないと困る場面もあるだろうな…と想像。若者言葉、ネットスラング等、ネイティヴならではの語感を理解するのは至難の技ですし、今までも四苦八苦してきましたが…そういう時は、やはり言語のスペシャリストである先生や、語学マニアの友人の存在がありがたく感じます

 

【十四回目】
中国語ネイティブの講師による中訳課題の振り返り等
さて、こちらでも実際のエッセイ『作家の収支(森博嗣著)』から出題されているものがありました。改めて、日本語表現の中に潜む核心を読み取るのは、複雑で難しい…!

 

・力がついてきたかも?!
初っ端から自惚れモードに突入してしまうのですが、以前は「この熟語使ってみたいな」「この言い回しは適してそうだな」と思っても見当違いだったり、そもそも原文を無理矢理ねじ曲げてしまったりと散々だったのですが、段々とそういったズレも自己修正できてきました!
例えば、「人生規劃(人生設計)」という単語を使う時、そのまま名詞として使うのではなく、「自我建立(自ら築く)」を付け足したらどうだろう?より中国語っぽくなるかな?と試してみて、本当に先生からお褒めの言葉をいただいたり。
「ここに書かれていることが全てだと思わないことは注意しておくべきだろう」という原文を「在這裡所寫的整個文章,應該留意別囫圇吞棗地閱讀」と訳し、「囫圇吞棗(鵜呑みにする)」をちゃんと狙い通り使えていたり。ま、まぁその代わり、細かい文法間違いはちょこちょこあるのですがね…。

 

・日本語なのに日本語が読めてない?!リターンズ
さっきまでのドヤ顔はどこへやら、結局、学生の頃から国語の成績が悪かったのを引きずっているようです。原文「狭い出版業界とはいえどこもかしこも…」の「どこもかしこも」が曲者でした。
うっかり「到處都…」に訳してしまうと、「出版業界」の含みが消えてしまい、「至る場所(地点)」という意味になります。
原文を、更に日本語のまま掘り下げてみると、表したいのは「狭い業界とはいえ」「どの出版社も…」となる事が明確に。つまり「每家出版社」「所有的出版社」が正解なのです。これは悔しかった…。
日本語は、主語や目的語が曖昧でも自動で理解できてしまうがゆえの落とし穴がある…って何度も何度もやってるのに!!!
中国語ネイティヴのクラスメートたちも、解答を読むとところどころ難儀している様子だったので、日本語はやっぱり読み取り方が独特な言語なんだな…と思いました。マル。

 

・続 読めてない?!リターンズ
「狭い出版業界とはいえどこもかしこも…」については、「狭い業界」もどう訳すべきか悩みました。
たまたまネット上で、何かのドラマのセリフを書き起こしたらしきサイトがあり、「我們在這一個小行業嘛(私たち狭い業界ですから…)」という部分で、こう言うのか!と学びました。
「狭い」は中国語で「狹窄」などと言ったりもしますが、先生によるとそれは「エレベーターが狭い」「視野が狭い」など、空間の狭さや思想的な狭さを表すもの。では業界は?
単に「很小(小さい)」でも良く、クラスメートの解答で感動したのは「規模不大(規模は大きくない)」でした。先生も上手だと喜んでいらっしゃいました。

 

・注釈のつけかた
次の問題に参ります。お相撲と言えば…?そう!両国国技館!
という訳で、もうひとつの課題内容は、簡単な国技館と相撲説明です!実は、生で取組みを観に行った事があるので、その場の雰囲気もイメージしやすく、これは有利なのでは?とか思ってましたが…やっぱり撃沈でした!(笑)
単語が出てくる度に、ちょこちょこと注釈を入れていたのも自分で読みづらく感じ(紙でプリントされていると、よりそう感じる事に気づきました)、文法上の間違いもいつもより多くなっていました…くぅ〜。
そこで先生からのアドバイス。翻訳で注釈を入れる際、項目が多ければ論文などと同じように文末にまとめて書く事。読みやすさも加味した上で、今回もそれがベストだったのかも…と思いました。

 

【印象総まとめ】
以上、和訳・中訳揃って“いかに読解力を磨くか?!”という点に特化した授業でした。
前回のレポート同様に、具体的な解答の出し方、導き方に触れてみましたが、いかがだったでしょうか?
残り期間もあと僅かになってきました。自分では、ほんの少しずつ成長を感じたりしていますが、実際のところはわかりません!(笑)期末テストが楽しみです!
それでは!

 

 

| 授業体験レポート | 10:40 |

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