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ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第42回:村瀬禄\萓検扮儻賈殘)

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先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。
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今月の一冊は、英語翻訳者養成コース講師、村瀬隆宗先生ご紹介「日本人の美意識」(ドナルド キーン(著), 金関 寿夫(翻訳), 中央公論新社, 1999年)です

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皆様はじめまして。このたび翻訳講座を担当させていただくことになりました、村瀬隆宗と申します。人生で一番影響を受けた本と言われれば『天才バカボン』ですが、講師としてどうかということで、今回は2019年に最も感銘を受けた本を紹介したいと思います。

 

翻訳業を続ける傍ら、通訳案内士資格を昨年取得し、通訳ガイドとしても今春デビューしました。それに先立ち「外国人の日本観・日本人観を押さえておこう」ということで、YouTubeで訪日観光客のインタビュー動画を観たほか、『菊と刀』に代表される古典にも触れました。その一冊が『日本人の美意識』です。

 

著者はアメリカ出身の日本研究家で、残念ながら今年亡くなったドナルド・キーンさん。金関寿夫さんの訳は、いい意味で翻訳調です。日本人特有の美的感覚を4項目に分け、それぞれ具体例を挙げながら論説しています。その一つが「余情・余韻」。例えば「ほのぼのと 明石のうらの 朝霧に 島がくれゆく 舟をしぞ思ふ」のような、以前は特に響かなかった平安時代の和歌が、キーンさんという外国製の高級アンプを通してビンビンに響いてきました。

 

日本人であるはずなのに海外の人に教えられるというのは、悔しい気もします。一方で、言われてみれば自分にも余情や余韻を好む部分が確かにあると気付きました。アニメのような映像が思い浮かんでしまう最近の小説。歌詞の解釈を限定してしまうミュージックビデオ。そういったものを受け付けない私は、これも日本人らしい美意識なのかと嬉しくなりました。

 

「完璧性を嫌うこと」も日本人の美意識とされていて、私はこれを富士箱根ツアーのガイドで富士山がよく見えなかった時の言い訳に使っています。「今日は雲が多くて皆さんはラッキーだ。雲が全くかかっていない富士山なんてツマランものは、日本の美的感覚に合わない。世界遺産の日光東照宮だって、完璧を避けるために柱を1本わざと逆さまにしたぐらいだ」

 

1969年の作品なのに色あせない、と言いたいところですが、我々日本人の変容によって若干色あせつつあるように感じます。自分自身のことだけに、異国の優れた観察者という鏡を通さないと見えにくい。そういった美的感覚を「日本人あるある」として残していくためにも、ぜひ読んでほしい一冊です。収録されている他の日本論も読み応えがありました。

 

ところで、翻訳学習者の皆さんは読書されるのはいいとして、自分で何かお書きになっているでしょうか?私は「機械翻訳に淘汰されない翻訳者になるためには、自ら文章を書くことに慣れなければならない」と考えています。書くことが思い浮かばないなら、好きな本の好きな部分を“写経”するところから始めても構いません。ちょうど今、仕事場にしている越後湯沢のリゾートマンションに近いカフェにて、お気に入りの万年筆でノートに英文をすらすら書き、コーヒーを運んで来た方に「めちゃくちゃカッコイイ!」と恐らくは思われているところですが、実は最近入手した『日本人の美意識』の原文を写しているだけなんです。

 

講座では、そういった「機械・AI翻訳時代にも活躍できる翻訳者」になるための道も示していくつもりです。翻訳道を究めたい“同志”とお会いできるのを楽しみにしています。

 

 

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村瀬 禄 覆爐蕕 たかむね)
慶應義塾大学商学部卒業。スポーツ、金融・経済、工業系を中心に産業翻訳から映像翻訳、出版翻訳までこなし、20年近く4人+1匹家族を養う。通訳ガイドとしても稼働中。現在、翻訳者養成短期集中コースを担当。

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〜村瀬隆宗先生がご担当のクラスをご紹介〜

 

四葉のクローバー​​【12月開講】短期集中コース

「基本からしっかり学ぶ はじめての実務翻訳訓練」

[東京校] 12/10・17・1/7・14・21・28(火)19:00-21:00(全6回)※12/24・31は休講
[インターネット] 12/11-2/7 ※スマートフォン、タブレット端末対応

 

※インターネットクラスの授業動画は通学クラスの方もご視聴いただけます。復習や欠席された際の補講用としてご利用ください。
 

 

 

評価:
ドナルド キーン
中央公論新社
¥ 796
(1999-04-01)

| ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 | 09:30 |

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