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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 120回 韻を踏みandで結ばれた英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳現場で私は聞こえてくる新しい単語や表現を出来る限りメモするようにしています。愛用するB5ノートにひたすら書き連ね、仕事の合間を縫って辞書を引きます。意味を書きつつ、時間に余裕があれば英英辞典で調べたり、電子辞書の例文検索を使ったりすることもあります。ポイントは「忘れても良い」と言い聞かせて楽しみながら学ぶことです。今回ご紹介する表現も、ニュースで遭遇したもの。韻を踏みながらandで結ばれたフレーズです。早速見てみましょう。

 


1 name and shame 名前を公表する

 

John has decided to name and shame the people who engaged in conspiracy. (ジョンは、共謀に加担した人たちの名前を公表することに決めました。)

 

name and shame は不正などをした人物の「名前を公表する」という意味で、nameは「名指しする」、shameは「恥ずかしく思わせる」ということです。両方の単語の-ameで韻を踏んでいるのがわかります。naming and shamingと言うこともあります。

 

ちなみに「恥」はshame以外にもembarrassment(戸惑いなどによる恥ずかしさ)や、dishonor(不名誉。shameより堅い語)、disgrace(面目失墜の不名誉)などがあります。

 


2 the be-all and the end-all (究極の目的)

 

It is important to study, but it is not the be-all and the end-all. (勉強することは大事ですが、究極の目的ではありません。)

 

「究極の目的、最重要事項」を英語でthe be-all and the end-allと言います。be-allは「最も重要なもの」、end-allは「究極の目的」です。この表現を生み出したのは、かのシェイクスピア。作品「マクベス」で使われました。1605年のことです。シェイクスピアは多くの英語表現を創作しており、今日でも沢山使われています。英語学習者がぜひ押さえておきたい作者の一人です。

 

「究極の目的」は他にもultimate purposesupreme goalultimate objectiveなどと言います。

 


3 done and dusted (無事終了する)

 

I thought the contract will be done and dusted by midday.  (お昼までに契約を無事終了するものと思っていました。)

 

done and dustedでは冒頭のdの文字が韻を踏んでいます。主にイギリスで使われる表現で、「無事終了する」という意味です。donedoの過去分詞形、dustedの原形dustは「埃を払う」です。

 

この表現がどのような由来なのか、インターネット上では今一つ見つかりませんでした。ある説では「昔は万年筆で書き物をしており、インクの乾きを早くするために上から埃をまいた」となっています。一方、「オックスフォード英語辞典での初出は20世紀とある。すでにボールペンの時代だ」ともありました。他にも「煙突掃除と関連があるのでは?」とも出ていましたね。語源が気になる表現です。

 


4 belt and braces (念には念を入れること)

 

In spite of belt and braces approach, our plan did not go well.  (念には念を入れたアプローチだったにもかかわらず、私たちの計画はうまくいきませんでした。)

 

「念には念を入れること、石橋を叩いて渡ること」を英語でbelt and bracesと言います。beltは「ベルト」、braceは「ズボン吊り」のことで、両方を共用することから「念には念を入れること」という意味になりました。ちなみに「ズボン吊り」を日本語で「サスペンダー」と言いますが、suspenderはアメリカ英語の「ズボン吊り」です。イギリス英語のsuspenderは「ストッキングのサスペンダー」を指します。

 

この表現はwear a belt and bracesのようにwearを付けることもできます。なお、日本語では「ベルトを『締める』」ですが、英語ではwearを使うのも興味深いですよね。

 

今回は韻を踏みながらandを使った英語表現を4つ見てみました。andは中学校で学ぶ基礎単語ですが、改めて辞書を引いてみると発音の規則が冒頭に出ており、勉強になります。ちなみに「&」マークは英語でampersand、「#」マークはpoundまたはhash、「*」はasterisk、「〜」はtilde、「※」はreference markです。知っているようで知らない記号の名称もこの際覚えてみましょう。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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