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ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第34回:佐久間公美子先生(英語翻訳)

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先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。
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今月の一冊は、英語翻訳者養成コース講師、佐久間公美子先生ご紹介の『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』(片岡義男・鴻巣友季子著, 左右社刊, 2014年)です。

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翻訳者をめざす皆さんへ

 

翻訳の世界に身を置いてもう40年以上になりますが、今でも原文を前にどう訳そうか頭を抱えることがよくあります。

 

その原因を考えてみますと、大きく分けて2つありました。1つ目は、原文が読み解けていないとき。2つ目は、どうにも日本語にならないとき。皆さんも、日常この2つの間を揺れ動いて苦労しておられるのではないでしょうか?私たちでも同じように悩んでいます。決して勉強途上の皆さんだけではありません。心配しないでください。

 

ただ、どうも上の2つ目は1つ目に原因があるのではないかと思うことが多くなりました。2つ目ができないと、勉強を続ける自信を無くしがちですが、立ち止まってもう一度原文をしっかりと読み直し、論理的に文脈を整理する習慣をつけることをご自分に課してください。

 

言葉の意味を捉えるとはどういうことなのか、どのようにして文脈を読み解くのか、素敵な本を1冊ご紹介します。

 

『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』(片岡義男・鴻巣友季子著, 左右社刊)

 

2人がよく知られた本の小さな段落を訳して、その訳し方を語り合います。翻訳者でなくても、つい惹き込まれる面白いやり取りを楽しめます。

 

皆さんはレイモンド・チャンドラーをご存知ですか? 1953年に刊行された『The Long Goodbye』があります。有名な探偵小説で訳者は清水俊二。日本語の原題は「ロング・グッドバイ」。これを片岡さんは「逢えないままに」、鴻巣さんは「さよならは一度だけ」と訳しました。翻訳とはことほど左様に人によって違ってきます。

 

二人の語り合いそのものも面白いのですが、私が一番心に突き刺さった片岡さんの意見をここでご紹介しましょう。

 

片岡:
文章は言葉が先頭から後ろに向かってひとつにつながっているのですから言葉をつなげばつなぐほど、先頭は前に向かって進んでいきます。この動きを止めてはいけません。そしてこの動きが書き手の論理なのです。<中略> 文章の論理をよく理解して、それに反しないように、日本語をあてはめる必要があります。

 

勉強というアプローチで読みたい方は、その小さな文章を先にご自身で訳してから、読み進められると何かのヒントを得られるかもしれません。

 

勉強を横に置いても、柔らかな春の1日、窓辺で読むのにぴったりの本です。

 

楽しんでください。

 

 

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佐久間公美子(さくま くみこ)
英語・仏語映像翻訳者。第一線の映像翻訳者として、『2001年宇宙の旅』、『時計仕掛けのオレンジ』他、数々の名画の字幕翻訳およびテレビドラマ、ドキュメンタリー、海外ニュースの映像翻訳を手掛ける。
アイ・エス・エス・インスティテュートでは英語翻訳者養成コース「映像字幕翻訳」クラスを担当。

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