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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 115回 飲料が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

CNNの放送通訳をしていると、実に多様な表現が出てきます。通訳をしていて一番難儀するのが句動詞や熟語です。いっそのこと難しい英単語を一つ出してもらった方が文脈から想像しやすいこともあります。逆に簡単な単語を使ったフレーズほど、推測できないのですね。今回ご紹介する「飲料」を用いた英語表現も同様です。なじみある飲み物が英語でどのように使われているのか、早速見てみましょう。

 

 

1 be another cup of tea (話が別である)

 

Enjoying music is one thing, playing music is another cup of tea.  (音楽を楽しむことと、音楽を奏でることは別の話です。)

be another cup of teaは「話が別である」という意味です。cup of teaは「一杯のお茶」ということですが、実は他にも「好みのもの、得意なこと」という意味もあるのです。

 

英語でteaと言った場合、紅茶を指すことが多く、「緑茶」はgreen teaと言います。最近では「抹茶」が海外でも流行しており、そのままmatchaと表示されているようです。また、イギリスやオーストラリアではteaが「夕方に食べる軽食」を指すこともあります。かつてイギリスに暮らしていたころ、スーパーでteacakeなるものを見かけましたが、いくつかの種類があるようでした。と言いますのも、チョココーティングしたマシュマロのお菓子もteacakeで、手のひらサイズのスコーンのようなものもteacakeとして売られていたのです。ご関心のある方はteacakeで画像検索をどうぞ。

 


2 juice (政治的影響力)

 

The president chose him because he had the juice to convince senators. (大統領が彼を選んだのは、彼が上院議員たちを説得する政治的影響力があったからです。)

 

juiceは「果汁100パーセントのジュース」という意味の他に「政治的影響力、エネルギー」という意味があります。また、「電力源、ガソリン」などもjuiceです。名詞だけでなく、動詞としても使えます。juice a lemonは「レモンを絞る」、juice upは「燃料を補給する」「活性化する」です。

 

ところでjuiceに似た発音にdeuceがあります。こちらはテニスの「デュース」です。古フランス語のdeusから来ており、ラテン語のduos、つまり「2」が大元にあります。デュースの語源はいくつかあるようですが、フランス語で「二人とも同じ点数の状態」を指すことから来たようです。

 


3 in deep water (非常に困って)

 

After losing my credit card, I was in deep water.  (クレジットカードを失くした後、私は非常に困りました。)

 

in deep waterは文字通り訳せば「深い水の中にある」ということですが、熟語としては「非常に困って」という意味になります。他にもinto deep waterget into deep waterdeep watersなどの表記があります。

 

ところで私が子ども時代に過ごしたイギリスでは、当時”Watership Down”という小説が大流行していました。リチャード・アダムズが書いた作品で、日本では「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」という邦題が付いています。ピーターラビット同様、ウサギが主人公の作品です。

 


4 be in the soup (困った状況に陥る)

 

She was in the soup because she broke her mother’s favorite vase. (彼女は母親お気に入りの花瓶を割ってしまい、困った状況に陥りました。)

 

「困った状況に陥る、困難に直面する」を英語でbe in the soupと言います。soupは「スープ」のことですが、「窮地」という意味もあります。なお、soupは動詞としても使われ、「人を困らせる、悲しませる」という様子を表します。「困らせる」にはannoy(繰り返し困らせる)、harass(嫌がらせをする)など、色々とありますよね。

 

ところで最近は海外でも和食が人気です。「味噌汁」はmiso soup、「だし」はdashi、「うま味」もそのままumamiです。以前観たイギリスのドキュメンタリー番組に「機内食を改善する」というものがありました。イギリスの一流シェフが和食のumamiを活用すると述べていたのが印象的でした。

 

いかがでしたか?普段何気なく見ているおなじみの英単語も、こうしてフレーズになることで元の語義とは異なる意味を持つようになります。私自身、通訳現場では毎回このようにして新しい表現との出会いを繰り返しています。その都度、辞書で調べ、自分の学習ノートに書き出すという地道な作業を行います。ノートにフレーズがどんどん貯まると自己達成感もアップするのですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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