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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 114回 動物が出てくる英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

「どのようにすれば語彙力をアップさせられますか?」

指導をしていると、このような質問を受けることがあります。世の中には単語集もたくさん販売されています。書店に行くだけで迷ってしまいますよね。私もずいぶん購入しては三日坊主ということを繰り返してきました。

 

最近は「気になる表現を耳にしたら、すぐにメモをして調べて訳を書いておく」という行為にとどめています。「書いたら終わり、忘れてもよし」とするのです。人間は忘れる生き物ですので、無理するとモチベーションが下がってしまいますよね。緩〜いルールですが、だからこそこの方法が私には合っているようです。今回ご紹介するのは「動物が出てくるフレーズ」。放送通訳現場で上記の方法でメモした表現たちです。

 

 

break one’s duck (初勝利を上げる)

 

It was Karen’s first match so she wanted to break her duck. (カレンにとって初めての試合だったため、初勝利を上げたいと思っていました。)

 

break one’s duckは「初勝利を上げる、先制点を上げる」という意味で、スポーツニュースによく出てくる表現です。他にも「最初の足掛かりを得る」という意味があります。これは元々イギリス英語で、duckはクリケット用語です。クリケットの世界では「得点ゼロ」という意味なのですね。他にもbreak one’s tournament duckという表現があり、こちらは「やっと大きな大会でゴールを決める」という意味になります。

 

duckは「カモ、アヒル」のことですが、語源は古英語のduce、つまりdiver(水にもぐるもの)から来ています。duckは「おしゃべり、あざむき」の象徴でもあります。動物にはそれぞれ象徴するものがあり、辞書で調べてみると色々と出てきます。

 


grinning sheepishly (バツが悪そうな笑いをしながら)

 

Grinning sheepishly, Tom admitted that he ate all the chocolates.  (バツが悪そうな笑いをしながら、トムはチョコをすべて食べたことを認めました。)

 

「バツが悪そうな笑いをしながら」は英語でgrinning sheepishlyと言います。他にもa sheepish smile(おどおどした笑み)という表現があります。sheepishは「羊のような」という意味ですが、それが転じて「非常に内気な、おどおどした」という語義を有するようになりました。sheepを辞書で引くと、「単純・誠実などの象徴」と出ています。羊は従順であるたけ、こうしたニュアンスを伴うようになったのですね。

 

なお、羊自体はsheepですが、「雄羊」はram、「雌羊」はewe、「子羊および子羊の肉」はlamb、「羊の肉」はmuttonです。

 


as greedy as a wolf (狼のように非常に貪欲な)

 

Don’t act like thatPeople would think that you are as greedy as a wolf. (そんな風に行動しないで。狼のように非常に貪欲だって人々は思うよ。)

 

as greedy as a wolfは「狼のように非常に貪欲な」という意味です。wolfには「残忍な人、貪欲な人」という語義もあるのですね。人名にもWolfがありますので、その名前を聞くたびにこのニュアンスを思い浮かべてしまわないのかしら、とつい私など気になってしまいます。

 

ちなみに「狼の群れ」はa pack of wolvesと言います。「魚の群れ」はa school of fishです。同じ「群れ」でも異なる表現であるのが興味深いですよね。

 

 

horse (苦労して動かす)

 

Four men had to horse the piano up the stairs. (4人の男性が上の階にピアノを苦労して運び上げました。)

 

horseは「苦労して動かす」という意味です。ここでは上の階の話が出ていますので、「運び上げる」と訳してあります。horseは「馬」ですが、「馬に乗せる」「背負って運ぶ」という意味もあるのですね。ちなみに上記の「羊」同様、「馬」にもいろいろな呼び名があります。たとえばmareは「雄馬」、coltは「雄の子馬」、stallionは「種馬」といった具合です。馬の「いななき」はwhinny、「馬の荒い鼻息」はsnortと言います。ちなみにスポーツニュースでequestrianと出てきたら、これは「馬術の」という意味になります。

 

今月は動物に関する英語表現を見てみました。名詞としてだけでなく、動詞で用いられていたり、熟語になっていたりと奥が深いですよね。皆さんもぜひ多様な表現に注目しながら、これからも楽しく英語学習を続けて行ってください。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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