通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


<< 中国語翻訳コース特別セミナーレポート「翻訳のプロセスを理解するために」 | main | 授業体験レポート ふりかえり:2018年 [春期] レギュラーコース >>
英語翻訳コース特別セミナーレポート「プロ翻訳者に求められるスキルとは」

 

9月7日(金)、東京校にて、英語翻訳者養成コース秋期特別セミナー「プロ翻訳者に求められるスキルとは」と、ビジネス英訳科・基礎科クラスの体験レッスンを同時開催いたしました。


講師は目黒智之先生。日英翻訳を専門に、第一線で活躍する現役フリーランス翻訳者で、当校のビジネス英訳科・基礎科クラスの指導をご担当されています。

 

今回のセミナーでは、日英翻訳のお話を中心に、プロ翻訳者に求められるスキル、またスキルを磨くための学習アドバイスについてお話しいただきました。

 

 

 

●プロ翻訳者として必要な7つのスキル

 

今回は、7つのスキルを取り上げてお話をしていただきました。和文英訳だけでなく、英文和訳にも共通するポイントが多数あります。

 

 ̄儻賣
調査能力
A杼力、柔軟性
て本語力
ゥ灰鵐團紂璽織螢謄薀掘
自己管理能力
Ь鐚院▲泪福次∋兩

 

 

●7つのスキルの説明と学習アドバイス

 

 ̄儻賣
TOEICを目安とすると、最低限800〜850以上は必要です。文法的に間違った英文はプロ翻訳者として許されないので、翻訳の土台となる英語力が求められます。


しかし、TOEIC満点近い方がみな完璧な英文が書けるかというと、そうでもありません。過去の受講生の事例をみると、一定のスコアを超えると、実際の英語力には大差ないことが多いです。英語力に加え、他のスキルを持っているかどうかで翻訳の実務対応力に差がついてきます。TOEICのスコアはあくまでもひとつの目安に過ぎません。

 

とはいえ、世の中にはTOEIC満点近いハイスコアを持ったビジネスパーソンがいくらでもいます。そうした方々が自分で翻訳する時間がないので、外注するというケースも少なくないのです。プロ翻訳者として請け負う以上は、やはりそれ以上の英語力がないと自信を持って仕事ができないでしょう。

 

具体的な英語力強化についてのアドバイスは以下のとおりです。

 

文法が不安な方
TOEICや大学受験などの対策本を活用し、文法問題に取り組むことをおすすめします。英文法書を読み込むのは相当な時間がかかるので、忙しいビジネスパーソンの場合は、まず問題集に取り組んで、スコアの低い文法事項、弱点を明らかにし、集中的に穴埋めしていく方が効率的です。

 

英作文・翻訳が初めての方、不慣れな方
大学受験用の英作文の参考書を活用し、日本語原文と英語訳例を読み比べ、解説を読み込んでいくといいでしょう。

 

ある程度は英訳に慣れているが、行き詰まりを感じていたり、さらなるレベルアップをめざす方
公式な対訳がある文章を探して自分で訳出に挑戦し、公式英訳と見比べてみましょう。たとえば新聞社説や企業HP、マニュアルなどがおすすめです。

 

また、日ごろ英文を読むときも、ただ意味を理解するだけでなく、自分が書くときに参考になるヒントはないか意識して読むようにしましょう。たとえば、冠詞にフォーカスして読んでみる、抽象名詞の使い方を意識する、whoseやwhomなどの関係副詞の使われる頻度をチェックしてみる、動詞のing形を拾い出して分析するなど、さまざまな文法事項を意識して読む習慣が身に付くと、自分の表現力や構文力の幅が広がります。

 

また、語彙力を増やしたいときは、ある程度のレベル以上になると単語集を暗記するよりも、知っている単語の類義語を調べ、微妙なニュアンスの違いや、使われるシチュエーションの差異を明確にすることをおすすめします。類義語をたどっていくことで表現の幅も増え、訳語選択の精度がぐんと上がります。


調査能力
翻訳は単なる言葉の置き換えではないので、原稿の書かれた背景を正確に理解する必要があります。調査能力の高さは非常に重要です。

 

また、特定の分野の専門知識や背景知識を持っていると大きな強みになります。たとえば、新製品発売のプレスリリースなどを依頼された場合、まず依頼主企業のホームページをチェックすべきです。また類似製品や類似企業のホームページも参考にします。こうした翻訳前の調査の目的は2つあります。まずは内容を把握することです。どのような企業・製品・サービスなのか、背景知識をまず理解します。2つ目は、単語や文体などスタイルを設定するためです。過去にその企業がどのようなプレスリリースを出しているのかチェックして、文章スタイルを統一する必要があります。ビジネス翻訳では、前例踏襲を要求されることがほとんどです。会社を主語にするのか、商品を主語にするのか、用語はどのように統一しているのかなど、前例を把握した上で、シチュエーションに適した構文や単語を選択していきます。


A杼力・柔軟性
翻訳、特にビジネス文書の和文英訳の場合、原稿を書いた執筆者はプロの物書きではなく、ビジネスパーソンの場合がほとんどです。忙しい中、急いで仕上げた原稿も多いです。わかりにくい文章になっていたり、社内だけで通用するような略語が盛り込まれていたり、原文の解釈に悩むケースも珍しくありません。そんな時、調査能力と関連して、豊かな想像力が重要になります。

 

書き手は何を伝えたくてこのような文章になっているか?どのように修正すれば狙い通りの文章になるのか?など、執筆者の気持ちになって意図を汲みとり、わかりやすく読者に届ける必要があります。「誰が誰に向けて、どのような目的・意図で作成された文章なのか」を明確に意識し、文章の流れ、文体や訳語選択など全体のスタイルを組み立てていきます。原稿の目的や依頼主の意図に柔軟に対応することは、プロ翻訳者として求められる重要なスキルです。

 

想像力を豊かにするためには、やはり好奇心旺盛な人が向いています。翻訳ではニュースや話題になっている旬なトピックを扱うことも多いので、常日頃いろいろな分野に幅広くアンテナを張り、感度が高い人は有利です。さまざまなトピック、やわらかい文章、かたい文章に柔軟に対応できると仕事の幅も広がります。


て本語
意外と母語である日本語が弱い方が多いです。TOEICハイスコアなのに残念な英訳をしてしまうタイプはこの傾向があります。原文の行間が汲み取れていない、背景知識を知らない、調べていないなど、日本語原文を深く読み込めていないのです。そうすると表面的な文字だけを置き換えた小手先の英訳になってしまいます。日本語力が高くないと原文の理解が不十分になり、結果、英訳のクオリティも低くなるということです。

 

翻訳するためには日本語の特徴を客観的に理解しておく必要があります。そのためのアドバイスは講義内でもふんだんに行っています。

 

たとえば、日本語の厄介な特徴は、主語を明示しないことです。また英語のようにSVO、SVCなど順序立てて記述されておらず、「誰が何をどうする」を明確に意識して、情報を整理しながら読まないと、英訳は困難です。英訳する下準備として、日本語の原文をリライトしたり、登場人物の相関図をイメージしたり、主述関係をメモしたりと、自分なりに工夫する習慣をつけておくと、徐々に頭の中で整理しながら読めるようになってきます。

 

ゥ灰鵐團紂璽織螢謄薀掘
翻訳者は指定のフォーマットで訳文の納品を求められます。納品方法もさまざまです。ファイルの圧縮やWEB上でのアップロード、セキュリティ対策など、最低限のコンピュータリテラシーがないと仕事になりません。近年では翻訳支援ソフトの活用を要求されることも増えてきました。今後は、取引の多いエージェントが推奨するソフトの操作方法をマスターする必要性も高まってくるでしょう。ファイルのやりとりや翻訳支援ソフトについては、クライアント依存が多く、都度覚えていくしかないので、講義中ではほぼ触れません。新しいことを自ら積極的に吸収していく姿勢が大事になります。

 

自己管理能力
プロ翻訳者として一番重要なのは、自分の翻訳スピードを把握し、クライアントに迷惑をかけないような慎重な納期設定を行うことです。自分が稼働できる実時間、作業スピードを把握し、無理なく依頼を引き受けないといけません。信用ベースの仕事なので、納期を守ることを第一に、目標の日にち、時間を設定し、逆算して動く習慣をつけましょう。

 

また、自分がどれくらいの量をこなせるかということは、収入にも直結します。安定的な収入を得るためには、できるだけ固定の仕事を増やしていくことが望ましいですが、その上で、単発の仕事をどの程度引き受けられるかどうかは、仕事のボリューム、スケジュール調整などの管理能力が肝になります。もちろん、睡眠や運動などの体調管理や、適度な息抜きの仕方も重要ですが、そうしたことについては、たくさんハウツー本が出ていますので、参考になさるといいでしょう。

 

Ь鐚院▲泪福次∋兩
あらゆる仕事に共通しますが、翻訳も当然、作業に関わるまわりの人への配慮とマナーは重要です。訳文を納品して終わりではなく、その後の工程にも配慮して最低限レイアウトを整えて見栄えを良くする、申し送りのレターをつけるなどのマナーが求められます。また、納期を守れないと信用を失ってしまいます。たとえ数分でも納期に遅れそうな可能性があるなら、必ず事前に連絡しないといけません。フリーランス翻訳は電話やメールのやりとりのみで取引することも多いです。顔の見えない関係性だからこそ、尚更ビジネスマナーには気をつけて、お互いに気持ち良く仕事が出来る信頼関係を築きたいものです。

 


●ビジネス英訳科・基礎科体験レッスン

 

体験レッスンでは、短文の和文英訳を行いました。つまずきがちなポイントは、やはり日本語原文の解釈でした。ついつい原文の単語に引きずられて、表面的な文字の置き換えになってしまうようです。

 

たとえば、「最初の契約書では〜」と始まる文章。多くの方が直訳し、「The first contract」を主語にしていましたが、目黒先生から「”First”ということは、この後に、”Second”、”Third”と続いていくのでしょうか?」という指摘が入りました。この場合は、最初の契約書と改訂版の契約書を比較しての話が続いていくことが予想されるため、「The original contract」と訳す方がベターと解説がありました。言われてみると、「確かにそうだな」と思うのですが、訳しているときはそこまで気づかないことが多いのです。

 

他にも、「アメリカでは〜」と始まる文章の場合、即座に「In America」と訳して文頭に持ってきがちですが、主語を先にもって来た方がわかりやすいので、文章の順番を変える工夫をした方が良い、日本人は前置詞から始まる文章を書きがち、など陥りがちなパターンとその改善点を多数ご紹介いただきました。


体験レッスンを通して、「単語の置き換えではなく、原文の意図を理解することが重要という意味が分かった。自分の読み込みが浅いことに気づかされた。」などの感想をいただきました。

 

ぜひ、今回得たヒントを活かして、日々の学習やお仕事に活かしていただければと思います。

 

 

●おわりに
7つのスキルと学習アドバイスについて、実体験と具体的な事例をたくさん盛り込んでお話しいただき、かなり情報量の多い、濃い内容のセミナーでした。

 

さまざまなトピックがありましたが、多くのスキルに共通するのは、「品質の高い訳文を納品するために妥協しないプロフェッショナルな意識・姿勢」だと感じました。「品質の高さ」には、クライアント、読み手への配慮と、訳者の仕事に対する姿勢が強く影響するのだと、あらためて気づかされました。

 

確かに、受講生の中でも実力が急速に伸びる方は、ビジネスマナーが良く、何事も素直に吸収していく熱心な姿勢の方ばかりです。

プロ翻訳者として本格的に稼働した後、ずっと第一線で活躍し続けていくには、仕事に対する基本姿勢がとても大事です。エージェントも、そうした部分をよく見て評価しています。

 

これからプロ翻訳者をめざされる皆さまも、ぜひそうした取り組み姿勢を意識しながら勉強に励んでいただければと思います。

お忙しい中、特別セミナーにご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。


今回開催させていただいたセミナーと体験レッスンが、皆さまの勉強法の参考になりましたら幸いです。

 

------------------------------------------------------------------

 

四葉のクローバー2018年[秋期]10月開講コースの詳細情報・お申込みはこちら

・英語翻訳者養成コースの詳細はこちら
・無料体験レッスンの日程・お申込みはこちら
・レベルチェックテストのお申込みはこちら

 

------------------------------------------------------------------

 

| イベントアルバム | 09:29 |

☆好評連載中!
『柴原先生のワンランクアップの英語表現』
banner_shibahara.jpg

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

リンク

モバイル
qrcode