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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 110回 固有名詞を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

放送通訳の世界では固有名詞がたくさん出てきます。ただ、放送局によっては規制があるようです。なぜなら、特定の企業名を電波に乗せることは、その会社の広告になりかねないからです。私が聞いた話では、「セグウェイ」を「電動立ち乗り二輪車」と訳すのだとか。その都度、言い換えの訳語を頭に入れておく必要がありそうですね。

 

今月は「固有名詞を使った英語表現」を見てみましょう。

 

Teflon President (「テフロン大統領」、批判などで傷つかない大統領)

 

No matter how tough the reporter asked questions, our Teflon President did not change his facial expressions. (どれだけ記者が厳しい質問を投げかけようと、我が「テフロン大統領」は表情を変えませんでした。)

 

テフロン(Teflon)は台所のフライパンなどでおなじみですよね。これは商標名で、正式名称はポリテトラフルオルエチレン(polytetrafluorethylene)です。この単語の中のteflに-on(合成物を表す添え字)が組み合わさり、Teflonという語が生まれました。傷に強い素材であることから、「打たれ強い」という意味があり、上記のようなTeflon Presidentという表現ができています。もとはレーガン大統領を指していました。

 

ところでイギリスで暮らしていたころ、インテリア雑誌のキッチン特集でよく見かけた単語があります。Agaという大型レンジ・オーブンです。ovenと言う代わりに、そのままAgaだけで通じる単語です。非常にどっしりした作りになっています。イギリス人の間ではAgaを持つことがステータス・シンボルなのだそうです。

 


iPod oblivion (携帯音楽プレーヤーに夢中である状態)

 

I think many people are now suffering from iPod oblivion.  I’ve nearly bumped into such person. (あまりにも多くの人たちが携帯音楽プレーヤーに夢中になっていると思うね。そんな人にぶつかりそうになったよ。)

 

iPodはおなじみの携帯音楽プレーヤー。oblivionとは「忘却、忘れていること」という意味です。携帯音楽プレーヤーを耳に入れたまま、周囲の状況が見えていないことをiPod oblivionと言います。最近はニュースでもよく取り上げられているようです。ちなみに私は放送通訳のシフト当日にGoogleのアメリカとイギリス版ニュースサイトを必ず確認しています。その検索画面でiPod oblivionを入力したところ、結構ヒットしましたね。それだけ海外でも問題になっていることがわかります。

 

ところでiPodのpodは「さや、繭」「燃料などを納める部分」という意味です。iPodの名付け親はフリーのコピーライター、Vinnie Chieco氏だそうです。

 


xerox (コピーする)

 

Could you please xerox this letter so that I can check it again? (もう一度チェックしたいので、この手紙をコピーしていただけますか?)

 

「コピーする」は英語でcopyphotocopyの他にxeroxという語があります。Xeroxというアメリカの事務機器メーカー名から来ています。発音は「ジーロックス」ですが、日本名は「ゼロックス」ですよね。もとはxerography(X線電子写真法)から生まれた単語です。xer-は「乾燥した、乾燥製法による」という意味なのです。

 

「コピー」と言えば、幼少期に暮らしていたイギリスで、友達同士で真似っ子遊びをよくしていましたね。英語で「真似る人」をcopycatと言います。どちらかというと、相手をはやし立てる際に使う単語です。catが使われているのが興味深いところです。

 


hoover (掃除機をかける)

 

I must hoover the living room since the guests will be arriving in an hour! (あと一時間でお客様が到着するから、リビングルームに掃除機をかけなければ!)

 

「掃除機をかける」を英語ではhooverと言います。主にイギリスで使われる口語表現です。もとはHoover社製のフーバー真空掃除機を指しています。フーバー社自体はアメリカのWilliam Hooverという実業家が興したものです。20世紀初めのことです。今でこそ白物家電の多くは日本メーカーですが、電気掃除機や冷蔵庫、トースターなどはいずれも海外で初めて誕生しているのですね。


今回は固有名詞を用いた英語フレーズを取り上げました。一つの商品が生まれるためには多くの人々の努力があります。そうして誕生した物が人々の暮らしを豊かにし、ことばとして日常生活の中に入ってきているのですよね。

 

 

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:38 |

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