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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 107回 鳥関連の語を使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

2月の半ばにイギリスへ出かけました。閑散期とばかり思いきや、ロンドンは旅行客や学生、ビジネスパーソンなどであふれかえっていましたね。しかも数年ぶりの大雪でした。宿泊先はミニキッチン付きの学生寮でしたので、スーパーで買い出しをして簡単な自炊もできました。スーパーの棚にはターキーやラム肉など珍しい食材があり、見ているだけで楽しかったです。

 

今月は七面鳥や鶏などの語を使った英語表現を見ていきましょう。

 


1. talk turkey (率直に話し合う)

 

The mother and her son talked turkey about mobile phone use.  (母親と息子は携帯電話の使用について率直に話し合いました。)

 

「率直に話し合う、ざっくばらんに話す」はtalk turkeyと言います。特にアメリカで使われる口語表現です。語源には諸説あるようですが、アメリカで先住民と白人が共に狩りをした際、白人側が先住民よりも多く取ろうとして抗議されたことから誕生したとされています。

 

なお、cold turkeyは「ぶっきらぼうな行動、よそよそしい人」という意味です。turkey一語でも「気取り屋、尊大な人」という語義があります。turkey(七面鳥)はアフリカのホロホロチョウがトルコ経由で輸入されたため、turkeyと呼ばれるようになりました。

 


2. the chickens come home to roost (当然の報いを受ける)

 

She is always talking about him behind his back.  Someday, the chickens will come home to roost. (彼女はいつも彼の陰口を言っている。いつか当然の報いを受けることになるでしょう。)

 

この表現が誕生したいきさつは、「ニワトリが夜に寝るため小屋へ戻ってくること」が挙げられます。American Heritage Dictionary of Idioms(電子版)によれば、このフレーズが最初にお目見えしたのは1809年で、ロバート・サウジー(Robert Southey)の作品”The Curse of Kehama”に記されているそうです。

 

なお、例文前半の「陰口を言う」は英語でtalk about someone behind one’s backです。ちなみに日本語では「陰口を叩く」とも言いますよね。新明解国語辞典(三省堂)によると、これは「相手が音を上げるまで、連続的に何か激しいことをする」という意味から「叩く」が使われるのだそうです。

 


3. go off half-cocked (早まって行動する)

 

We must plan thoroughly.  It is better than going off half-cocked. (計画を徹底的に立てなければ。早まって行動するよりはましだよ。)

 

機が熟さぬうちに行動することを英語でgo off half-cockedと言います。half-cockは銃を「安静段」(撃鉄を半分引いた状態で引き金自体は引けない状態)にしていることを意味します。go off half-cockedは「撃鉄を十分上げないうちに発射する」ということで、それが転じて「早まって行動する」という意味でも使われるようになりました。

 

cockは「おんどり」で、反対語はhen(めんどり)です。cockは他にも「水道栓、撃鉄、風見鶏」などの意味もあります。私は最初、この表現を活字で見たとき、half-cooked(生煮え)と読み違えてしまいました。coに見えたのですね。

 


4. as rare as hen’s teeth (極めて稀な)

 

These are as rare as hen’s teeth.  It’s a real bargain! (このようなものは極めて稀ですよ。掘り出し物です!)

 

「極めて稀な」を英語でas rare as hen’s teethと言います。「めんどりの歯」と言われても確かにピンときませんよね。このフレーズが誕生したのは19世紀中ごろで、歯を持たないめんどりが珍しいがゆえに使われるようになったようです。主にアメリカで用いられる表現です。rareの代わりにscarceも使えます。

 

ところで「鶏」の字の「奚(ケイ)」は「つなぐ」という意味です。家畜としてつないでおくためこの漢字になりました。一方、英語のhenはドイツ語のHenneと同じ語源で、ラテン語のcanere(歌う)が元にあります。ニワトリは卵を産むと必ず鳴くためだそうです。


今回は鳥関連のフレーズをご紹介しました。ところで冬の終わりに我が家の近くではしっぽの長い黒白の鳥をよく見かけました。調べたところ、ハクセキレイ(白鶺鴒)という鳥だそうです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/

 

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