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中国語翻訳コース特別セミナーレポート「目的に合った訳語選択のポイントとは〜中文和訳を例に」

 

3月4日、多くの方にご参加いただき、特別セミナー「目的に合った訳語選択のポイントとは〜中文和訳を例に」を開催しました。


講師は現役翻訳者で、中国語翻訳者養成コース本科2担当でもある椙田雅美先生です。今回のセミナーでは、翻訳の最後の段階で、どのように最適な訳語を選べばよいのか、について具体的なポイントをご紹介いただきました。一部、ご紹介いたします。


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まず、訳語選択の前段階の流れや、仕事としての翻訳の原則についてお話がありました。

 

丸翻訳の目的と方向性を決める
原文が書かれた目的や書き手の意図、文書の用途などを読み取る。
どのような読み手を想定した文書なのかも考える。

 

丸プロ翻訳者に求められる訳文
依頼者の要望、訳文の用途にあわせた「仕事としての翻訳」⇒自ずと翻訳の方向性が決定される。
翻訳の目的と方向性をしっかりと決めていないと、最終的な訳語の選択はできない。

 

丸翻訳の方向性5W1H
いつ:時期設定 原文との違い
どこ:どこで使うのか
誰が:誰が書いたのか、誰が読むのか
何を:何に訳すのか
どのように:堅いか柔らかいか、ネガティブかポジティブか

 

丸足さない、引かない、変えない
ただし、文章全体の意味を等しく伝える、依頼者の要望に沿って訳す際には、一語一句の意味を足す、引く、変えることもある。一字一句ではないことに注意。

 

ここまでが訳語選択をする上での前段階となる。


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ここから実例の説明に入ります。意味は等しく、一語一句は違うという例です。
まず、中国語原文と直訳を見てみます。

 

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原文:
昨天下午,我市举行纪念周恩来同志诞辰120周年座谈会。

直訳:
昨日午後当市周恩来同志生誕120周年記念座談会挙行した。

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次に、具体的にこの文が何のために翻訳されたのかを示しました。

 

中国のニュース記事を翻訳して、日本の新聞に掲載することが目的


When  いつ:記事は3月に掲載される
Where どこに:日本の新聞に掲載
Who 誰が:一般日本人読者が読む
What  何のために:中国紹介記事の前段として

 

調べたところ、原文は2月26日に中国の新聞(江蘇省淮安市の機関紙)に掲載された。
一般の日本人読者が対象なので、ある程度情報を足さないと理解できない。

 

そして、上記の諸条件を踏まえた訳例とポイントを示しました。

 

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訳例:
先月25日中国江蘇省淮安市で、故周恩来首相の生誕120周年を記念するシンポジウムが開催された。

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■3月に日本の新聞に掲載されるので、「先月25日」を補う
■原文の「我市」を「当市」と訳したのでは、どこの市か分からないので、「中国江蘇省淮安市」とする。
■「周恩来同志」は日本の呼称の慣例に合わせ「故周恩来首相」とした。
■大規模なイベントなので、「座談会」を「シンポジウム」とする
■原文は市が主語になっているので「挙行」だが、日本の新聞に掲載する目的は中国でこのようなイベントが行われた、という紹介記事なので、視点を一人称から三人称に転換し、「開催された」とする。

 

原文にない情報が加えられています。例えば「当市」の2文字が「中国江蘇省淮安市」と8文字に増えているのですけれども、意味するところは全く同じですね。こんなに文字を勝手に加えて大丈夫なの?と思うかもしれませんが、これがなければ日本の一般の読者には伝わりませんね。

 

次に読み手の認識の違いについてのお話がありました。

 

丸中国の常識をどこまで知っているかによって、用語や言い方を使い分ける

春節⇒旧正月
解放前⇒新中国建国前
開放後⇒改革開放政策実施後

 

その他、ネガティブ・ポジティブな表現や、専門用語、俗語の表現などについて紹介があり、まとめに入ります。

 

丸目的に合った訳語選択のポイントとは
原文を正確に読解
翻訳の目的により方向性を決定
常に方向性を確認しながら、一語一句を丁寧に選択する。

直訳か意訳かは結果であって方針ではない。


いってみれば翻訳は意味を訳すことなので、全て意訳と言ってもよい。よくある質問の「意訳」は意味を変えてもよいのですか、ということかと思うので、意味は変えてはいけないが、言葉ひとつひとつは変えてもよいので、同じ意味が伝わるように翻訳するようにしてください。

 

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参加された方からは次の声が寄せられました。


・訳そのものではなく、背景を考慮して訳すなど、大変参考になりました。
・ただ単純に訳せばよいというものではない、という認識はありましたが、どのような形で進める、考えるのかという基本が分かり、とても参考になりました。


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ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
アイ・エス・エス・インスティテュートでは、今後もみなさまのお役にたつ魅力的なセミナーを企画してまいります。

 

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