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ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第21回 : 和田泰治先生(英語通訳)

 

ライブラリー和田先生.PNG

 

先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、英語通訳者養成コース講師、和田泰治先生ご紹介の『ビートルズ詩集(1)(2)』(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー著、片岡義男訳、角川文庫、1973年)です。

 

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私が洋楽を聴き始めたのは中学校に入学してからなので1973年ということになる。ビートルズが解散したのが1970年で、それから3年が経過していたが、音楽の中心はまだビートルズだった。10歳年上の兄が友人からビートルズのシングル盤(当時のOdeonレーベル盤)をたくさん借りてきていて家のボロボロのオーディオで毎日聴いたり、レコードに合わせて歌ったりしていた。

 

当時は中学一年生で英語もろくにわからなかった。"Please Please Me"は「お願い、お願い」だとずっと思っていた。「それにしても何でMeがついてんだ。自分にお願いしてんのか!?」と不思議だった。「抱きしめたい」を聴いた時には "I can't hide" が「アゲハ」にしか聞こえなかった。何で日本語で歌ってるんだと真剣に思っていた。(因みにボブ・ディランは同じフレーズをずっと "I get high"だと思っていたらしい)。

 

その程度ではあったけれども、間違いなく、生まれて初めて教科書以外の生の英語に触れたのはビートルズだった。この原体験がなければ自分と英語との関係は今とは全く違ったものになっていただろう。

 

しばらくして学校のビートルズマニアの友人から中古のLPレコードを500円で譲ってもらった。「ステレオ!これがビートルズVol.1」というデビューアルバムの日本独自編集盤だったが、生まれて初めて自分の小遣いで手に入れたビートルズのアルバムだった。今のようにオンラインで簡単に動画が見られる時代ではなく、LPレコードも高価で、お年玉を貯めて一年に一枚か二枚しか買えない時代だった。


その年のクリスマスにデパートで輸入盤のバーゲンセールをやっていて、ここで母がビートルズのベスト赤盤、青盤を両方買ってくれた時は飛び上がるほど嬉しかった。それぞれ二枚組みで、ビートルズの全樂曲のうちのごく一部ではあるけれどデビューから中期、解散期までの代表曲を一気に聴くことができた。

 

この時初めてビートルズの後期の歌を聴いたのだが衝撃的だったのは歌詞である。それまで初期のストレートなラブソングばかりを聴ていたのに、ビートルズ後期のベスト盤である青盤の1曲目がいきなり"Strawberry Fields Forever"だった。

 

それ以外にも "I Am The Walrus" とか "Lucy In The Sky With Diamonds"など、前期のビートルズとは全く違う歌の世界に心の底から驚き、ビートルズの凄さにさらにのめり込んだ。そしてそれに合わせて英語の歌詞への興味もこれまで以上に膨らんだ。ビートルズの歌詞の世界をもっと極めたいと思った。

 

そんな時、件のビートルズマニアの友人が「ビートルズファンだったらこれは絶対買わなきゃだめだ!」と言って教えてくれたのが、その年に刊行された片岡義男氏の翻訳による「ビートルズ詩集」だった。楽曲のタイトル自体も翻訳されていて、これまではっきり意味のわからなかった歌詞も理解できるよになり本当に勉強になった。

 

今あらためて読み返してみても訳者の独りよがりなレトリックなどが無く、ジョン・レノンやポール・マッカートニーの詩の世界をストレートに伝えてくれる好著だと思う。

 

この本を読んでからまたあらためて原語に戻って歌を聴き、意味を理解しながらレコードに合わせて英語を声に出して歌ってみたり、自分ならこんな風に翻訳しようなどと思いを巡らせたりしたこともある。

 

中学生の時にビートルズに傾注したことが自分の英語の礎になっているのは間違いないと思う。そして何よりそんな多感な時代に言葉を知る楽しさを教えてくれたのがビートルズだった。

 

「ビートルズ詩集」には今もそんな若かりし自分自身が宿っている。

 

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和田 泰治(わだ やすじ)
明治大学文学部卒業後、旅行会社、マーケティングリサーチ会社、広告会社での勤務を経て1995年よりプロ通訳者として稼働開始。スポーツメーカー、通信システムインテグレーター、保険会社などで社内通訳者として勤務後、現在はフリーランスの通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に入門科・基礎科レベルを担当。
 

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