通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

ISSスクールブログ

アイ・エス・エス・インスティテュートが運営しています。


<< 通信講座「翻訳入門」クラス(英語翻訳者養成コース)のご紹介 | main | ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第21回 : 和田泰治先生(英語通訳) >>
授業体験レポート:2017秋【中国語編】第7回 「ラブストーリーは、突然に...?」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第7回をお楽しみください。

----------------------------------------------------------------------------

 

丸第13回 中日翻訳

 

授業は毎回2時間ですが、その合間に5分程度の休憩時間があります。クラスメートと情報交換をする貴重な機会になっているほか、職場や学校から駆けつける忙しい人の中には、この間に食事を済ませる猛者もいます。

今回の休憩時間には、講師の先生が上海旅行のお土産“大白兔”(昔からあるソフトキャンディの名前です)を配ってくださり、現地の楽しい話題で盛り上がりました。

 

しかし、授業に入ると和やかな雰囲気は一転、教室にはピリッとした緊張感が漂います。「前の授業を踏まえて訳しましたか?」という先生のお言葉に、思わず冷や汗が出ました。

 

前回(第11回)の課題も今回同様、テーマは旅行に関するもので、訳出する上での落とし穴を、前回の授業ですでに懇切丁寧に解説していただいていたのです。年をまたいで、また同じ落とし穴に落ちるとは…。

落ちた穴を再点検してみますと…。

 

中国語から日本語に直訳すると、なぜか短所めいて感じられる部分を補正する
 例:混雑していない→落ち着いている

 

・形式を整えるために加えられた修飾を外し、言いたいことを目立たせる
 例:港町神戸には西洋と日本の文化が融合し、西洋化された現代的な東京とは異なる風情が→港町神戸には西洋と日本の文化が融合し、現代的な東京とは異なる風情が

 

訳語の細かいニュアンスまで気を配る
 例:神戸での;のどかな時間[田園地帯っぽい]/のんびりした時間[都会らしくない]→ゆったりした時間[大人の余裕を感じる]

等々。

また、中国語によくある「行って切手買って貼って」式の時系列順の描写を、柔軟に表現する工夫も必要です。
 例:鉄板の余熱が終わったら、牛肉を鉄板の上に置いて調理し…→お肉を熱々に熱した鉄板にのせて焼き上げ…

ほんの小さな言葉もゆるがせにできないのは、日本語では暗黙の了解部分の情報がカットされ、全体の枠組みの定義を一語一語のイメージに負っているからでしょう。日中翻訳をしてみると、日本語ネイティブにもそのことが実感できるようです。

ということで、続けて日中翻訳のレポートもご覧いただきましょう。

 

 

丸第14回 日中翻訳

 

今回の中国語訳は、いつにもまして課題の日本語文が曖昧で、何について書かれた文章なのか、自力ではさっぱり解読できませんでした。不思議に思ったのは自分だけではなかったらしく、訳文の最後に「情報が足りなすぎて分からない」という感想を書いて提出した中国語ネイティブの受講生もいました。

しかし、そんな曖昧さこそ授業の狙いだったようで、講師の先生は、何について書かれたか分からない、すなわち「枠組みがつかみづらい」文章は日本語によくある、と涼しい顔でおっしゃいます。

例えば、歌のタイトル。
『ラブストーリーは突然に』と来れば、「始まる」のだと、みな了解しています。
テレビ番組のタイトルもそうです。
『世界の車窓から』を、サスペンスだとかホラーだとか思う人はまずいない。紀行番組だとすぐ分かります。それはなぜか。

 

「ラブストーリー」は恋の深まりを期待させ、「車窓」は風景を切り取るものという、言葉のイメージが共有されているからです。

 

講師の先生によれば、中国語と日本語の文章では、読者の設定からして違います。情報ゼロの人向けの中国語に対し、日本語は分かっている人向け。なぜ肝心なことを省く?! と中国語話者はフラストレーションが溜まるそうですが、日本語は大きな枠組みほど了解事項として省かれがち。文中の言葉をヒントに話の枠組みをつかむしかありません。

 

トイレの「備え付けのペーパー以外流さないでください」という注意書き、それって、他のものは流さないでお持ち帰りください、ってこと...?

 

「ひげ剃り後、ローションを手にとって叩いてください」って、まさか机を叩く・・・わけないですよね?

これらの文章を中国語訳する際には、順序を並べ替え、「ペーパーは備え付けのもの以外、流さないでください」としたり、情報を足して「ローションを5gほど手に取って、ひげ剃り後の部位に叩くようにつけてください」とするなど、日本語の編集作業が不可欠です。

 

そもそも、文章から情報が抜けているということ自体、日本語ネイティブには気づきづらいのですが、そこは修行を積んで補うしかなさそうです。

 

ラブストーリーは突然に「終了」ですか? と思われたら、イヤですものね...。

 

 

| 授業ルポ | 09:00 |

☆好評連載中!
『柴原先生のワンランクアップの英語表現』
banner_shibahara.jpg

CATEGORIES

RECOMMEND BOOKS


SELECTED ENTRIES

CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>

リンク

モバイル
qrcode