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授業体験レポート:2017秋【中国語編】第6回 「君の名は。(まだない)」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第6回をお楽しみください。

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新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします…と、あっさりした日本式の挨拶と違って、ご利益がありそうな言葉を連ねるのが中国風。

 

“新年快乐”(楽しい新年でありますように)、“恭喜发财”(もうかりますように)、“万事如意”(何事も順調でありますように)の定番から、“愿你2018发发发!”(2018年には大金運に恵まれますように)[“18”shibaと“实发”shifa=本当にもうかるのシャレ]、“祝大家2018年旺旺旺!”(2018年にはますますご盛栄のほど)[wangとワン(犬の鳴き声)のシャレ]の本年限定版まで、あったらいいな、を思いつく限り並べるそうです。

 

中国のお正月(“春节”)は旧暦でお祝いするので、2018年は2月16日とのこと。“全家平安”“身体健康”で迎えたいものですね。
ということで、今回の授業レポートは年末年始またぎでお届けいたします。

 

丸第11回 中日翻訳


旧年最後の授業は、記事・広告文の訳でした。

 

訳例のプリントにはテーマとして、「いろいろな日本語に訳す」が挙げられ、
・使用目的を確認すること
・簡潔でわかりやすく、柔軟な表現を目指す
・いろいろな文章を書けるように日頃から様々な文章に目を通す
と注意事項がまとめられています。

 

そういえば課題が配られた際、「自由旅行で来日する中国人女性向けに、機内誌用記事の日本語訳」を、と先生からご説明いただきましたっけ。気をつけたつもりでも、自分の訳文は雑誌記事という点に気を取られ、分かりにくいカタカナ語を多用するなど、読み手への配慮が全く欠けていました。

 

先生の訳例を拝見すると、小見出しは体言止めを使い女性誌風に、本文もそのまま雑誌の記事として載せられそうなオシャレな雰囲気なのに、きちんと外国人にも分かりやすい日本語に仕上がっています。

 

「関西の冬の旅」へと誘う短い記事ではありますが、情報提供も兼ねているため、「食いだおれ」など訳語の表記を公的な資料でチェックするのはもちろん、原文の数字や地名など、事実関係をきちんと確かめる配慮も欠かせません。

 

また、「金魚売りの出店」と「金魚を売る露店」、「華やかな街路」と「典雅な小道」など、訳語の微妙な違いでイメージがだいぶ変わること、「ふぐ」「カニ」はひらがなカタカナの表記1つで高級感に差が出ることも、面白い発見でした。

確かに、『わがはいはネコである』じゃ、ライトノベルみたいで漱石先生に叩き出されそうですよね…。

 

 

丸第12回 日中翻訳

新年最初の授業は、「造語」を運用した説明文の解説でした。

 

日中翻訳では、文章のほかに単語単位の「造語」という課題が出されることがあります。新語や流行語ではなく、「フライパン」「脚立」といった日常語を中国語に訳すのです。

 

辞書に訳語があるのに、なぜそんな練習が必要なのか―と、先生に質問した受講生もいました。先生の答えは、発想力を養うためと文章のカスタマイズ力をつけるため、というものでした。

 

実はこの授業に出るまで全然意識していなかったのですが、中国語の名詞はフリーダムそのもので、相手に伝わりさえすれば何でもアリなのです。

 

北京のファーストフード店でバイト泣かせなのは、中国全土から来るお客さんがメニュー通りに注文しないことだといいます。平気で“来一份火把儿”(「たいまつ」一個ください)とオーダーするんだとか(何だか分かりますか?ソフトクリームのことなんですって)。

 

それは単に方言なのでは?と思ったら、書き言葉でもフリーダムっぷりは遺憾なく発揮されるようで、フライパン1つ取っても、“平底锅”“浅底锅”“煎锅”(焼くのに使う鍋)、 “长柄锅”(持ち手が長い鍋)、“单柄锅”(持ち手が1つの鍋)等々、いくらでも言い方があるし、自分で造語しても良いそうです。

 

フリーダム過ぎて不便な気もするのですが、ここには別の縛りがあります。つまり、名詞、特に“刷子”(ブラシ)のような基本形の語はニュートラルな状態であって、文章の中で使うときは、“毛刷”(材料を強調)、“玻璃刷”(用途[ガラス用]を強調)など、伝えたい内容に合わせて変化させる必要があるというものです。

 

ですから、今回の課題文のように「はしご状」と「脚立状」が同一文中に出現したら、“直梯”“马梯”のように、字数や構成が揃う訳語を探すか、自分でひねり出さねばなりません。

 

ありものを使う場合も注意が必要です。割り箸は“卫生筷”(衛生的な箸)、“一次性筷子”(使い捨ての箸)、“免洗筷”(洗わなくていい箸)など様々な言い方ができます。しかし、「森林破壊を防ぐため、間伐材を使った割り箸です」という文脈に、“一次性筷子”はふさわしくありません。この場合は“卫生筷”など別の言い方を選ぶべきでしょう。

 

場面に合わせて名前を変えるということは、「君の名は?」の答えはやはり、「好きだ」が正解なのかも……お屠蘇気分が抜けきっていないレポート、失礼いたしました!

| 授業ルポ | 10:00 |

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