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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 102回 内臓器官に関連した英語フレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

みなさんにとって「どうしても覚えづらい単語」はありますか?私の場合、associationscの数が混同したり、Philippineslpの数がゴチャゴチャになったりします。一方、意味で苦戦するのがstrategytacticsliverkidneyです。「戦略(せんりゃく)」には「ラ行の『り』があるからstrategyrと同じ」とゴリ押しで覚えて、ようやく「戦術」と区別できるようになりました。けれども腎臓と肝臓は未だにヒヤヒヤしながら訳しています。しかもニュースではよく出てくるのですよね。

 

今回は内臓器官を使った表現を見てみましょう。

 


1. a person of the same kidney 同じようなタイプの人

 

We seem to be getting on well.  She is a person of the same kidney. (私たちは相性が良いようです。彼女は同じようなタイプの人なのですね。)

 

kidneyは「腎臓」のことです。私はliver(肝臓)とkidneyがどうしても混同してしまうのですが、ようやくこうしたフレーズを機に覚えられそうです。ちなみにkidneyの語源は中期英語(12世紀から16世紀ごろ)と考えられています。腎臓という意味の他に、「気質(temperament)」や「型、種類」などの語義があり、上記例文はその一例です。「同じ腎臓」と言われても今一つピンと来ませんよね。a man of the right kidneyは「性格の良い人」という意味です。

 

ところでイギリスではsteak and kidney pieがパブ料理として有名です。これは牛肉や子羊などの腎臓とマッシュルームなどを詰めたパイです。旅行でイギリスへ行くと、野菜不足になるのは覚悟の上で懐かしさのあまり、つい食べてしまう一品です。

 


2. gut reaction 直感的な反応、直感

 

My gut reaction is that we should go ahead with the plan. (私の直感としては、計画を押し進めるべきでしょう。)

 

gut reactionは「直感、直感的な反応」という意味です。gut自体は「腸、胃、消化管、内臓」を指します。「直感、本能」は口語的な語義になります。

 

gutには他にも意味があり、複数形のgutsは「内容、核心」のことで、have no gutsは「中身がない」という意味です。また、日本語の「ガッツ」に相当する「根性」もgutsです。have the guts to … は「〜する根性がある」になります。ちなみにイギリス英語の口語表現では「斜め読みする、速読する」という意味もあります。少し話題はそれますが、ミュージカル映画“My Fair Lady”でヒギンズ教授が初めてエライザを見た際、a prisoner of the gutterと評しています。gutter(どん底の生活)はgutとは別語源です。

 


3. spleen 不機嫌

 

The father vented his spleen on his son. (父親は不機嫌を息子にまき散らしました。)

 

spleenは「脾臓」のことです。脾臓には色々な感情、とりわけ憂鬱さや不機嫌が宿っているとかつて言われていました。vent one’s spleen on … で「〜に不機嫌をまき散らす、当り散らす」という意味になります。「腹立ちまぎれに」はin a fit of spleenです。

 

ところで「膵」の漢字の「萃」は「集まる、より集う」という意味です。かつて「ばっすい」は「抜萃」と記していましたが、現代表記では「抜粋」となっています。よく見ると「くさかんむり」に「卒」なのですよね。漢字も分析してみると興味深いものです。

 


4. vein 調子

 

The president spoke in a serious vein about the future of our company. (社長はわが社の未来について真面目な調子で話しました。)

 

veinは「静脈」の他に「調子、特質」などの意味を有します。be in the vein(絶好調である)、a vein of humor(ユーモア味)といった表現もあります。なお、「静脈」の反対語「動脈」はarteryです。

 

ところで「大理石などの筋」も英語ではveinと言います。ロンドンの大英博物館にはElgin marbles (エルギン・マーブル)という大理石彫刻コレクションがあります。これは19世紀にイギリスの外交官エルギン伯がギリシャのパルテノン神殿から削り取り、持ち帰ったものです。ギリシャ政府が返還請求をしたことを機に、文化財は誰のものかを巡る議論が続いています。


今月は内臓器官の用語を用いたフレーズをご紹介しました。liverkidneyを混同してしまう私にとって、本稿を書くことでようやく自信を持って訳せそうです。みなさんもややこしい単語などは語源を調べたり例文にあたったりすることで、身近なものにしてみてくださいね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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