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授業体験レポート:2017秋【中国語編】第3回 「B面の冬」

 

スクールブログで人気の連載、レギュラーコースの授業ルポ。この秋、13シーズンめを迎えました!

2017年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!

ISSの教室では実際にどのような授業が行われているのでしょうか?

毎週金曜更新、英語・中国語を交互にお届けします。それでは、中国語の授業ルポ第3回をお楽しみください。

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丸第5回 中日翻訳

 

授業では、課題と講師の訳例、そしてクラスメート全員の訳文を綴じた冊子が配られます。訳文は講師による添削済みなので、ページを開くときは毎回とても緊張します。

 

訳例解説の後、全員の訳を見ていくのですが、インターネット受講生を含めた8名が同じ文章を訳しているにもかかわらず、同じ答えは1つとしてないのが面白いところ。自分では絶対に思いつかなかった表現に出会えるのも、スクールならではの楽しみです。

 

一方、つまずく箇所は皆さん大体同じ。先生からも集中的に説明があります。

 

今回の課題は、とあるIT企業の創立者に関するエピソード。エッセイなので、文章の読みやすさを最優先に考えなければなりません。とりわけ会話文には注意が必要です。

 

…前から女の子がやってきた。「あ、いとこのAちゃん、久しぶり」
日本語でこんな会話、あり得ませんよね(ギャク漫画なら別ですが)。
…前から女の子がやってきた。いとこのAちゃんだ。「あ、久しぶり」
こうすれば自然。原文通りではありませんが、でもニュアンスは同等に伝わります。

 

会話文次第でキャラが変わってしまう点も要注意です。仕事の完成まであと何か月かかるか、の答えが――「半年」「半年です」「半年ですね」「半年かかります」「半年はみてください」――たったこれだけの違いで、まるで別人です。

 

他にも、中国語特有の時系列(「発生順」「原因→結果」)、対立する表現などは、そのまま日本語に移し替えると不自然なため、ぼかす必要があります。「私は上野から夜行列車に乗って一晩過ごし700キロ離れた青森駅に朝、到着した。青森駅周辺には雪が…」では、演歌じゃなくて絵日記です。

 

原文の意図を整理して訳すこと、中国語をシャッフルし自然な日本語に圧縮すること…あれ? どこかで聞いた注意点ですね…。要は前回、第4回の日中翻訳での留意点を反対サイドから見ているということ。だから、中日翻訳、日中翻訳両方を学ぶ必要があるのでしょうね。


丸第6回 日中翻訳

 

こちらの授業も緊張の連続ですが、先生の繰り出す表現例がユーモアたっぷりで、毎回、頭と腹筋が鍛えられております。

まずは短文のリライト。いかにも日本人学習者が書きそうな訳文を、正しい表現に直します。短いなら簡単だろうと思うのは早計で、かなり手こずりました。

 

・事故の原因になるので、ながら運転はやめましょう。
×因为事故的原因,所以请不要一边做别的事情一边开车。

 

つい、「ながら運転」そのものを訳そうと悪戦苦闘する私たちに先生はひと言。「車を運転しながらする他のことって何だろう。別に鍋するわけじゃないよね」。

 

つまり「他のことをしながら運転しないで」ではなく、“专心开车,切勿一心二用”(集中して運転し、気を散らさないように)と言えばいいわけです。と了解しつつも、鍋をしながら運転するドライバーの姿が目の前にチラついて、しばし集中できませんでした…。

 

日本語は受け取り手が当たり前と思うことは言わないので、翻訳するときは、文章全体が何を語っているか、塊として使われている表現の内訳は何か、常に意識しなければなりません。たとえば、日本語では「招き猫」が招くのは何か、実は読む人が自分で補っています。中国語なら“招财猫”“招福猫”“招客猫”と書き手が絞るのです。

 

ただ、「書かれていないことがある」ということすら気づかないときも結構あります。「『瞳をとじて』って歌あるよね。でも、言われてもできないでしょ? 『目』を閉じるんだよね? じゃあなぜ『瞳』なの?」えーっと、それは…。「ここでの『瞳』は『あなたの』目、美しい目、特別な、好きな人の目だということを強調しているんですよ」

 

なーるーほーどー。つまり中国語なら「瞳」の前に「あなたの」「美しい」とかを補う必要があるんでしょうね。まさに『津軽海峡冬景色』な中日翻訳とは逆のパターン、レコードでいえばB面なのですね…って感想は、歳がバレるから言わないでおこうっと。

| 授業ルポ | 09:00 |

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