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ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第19回 : 寺田容子先生(英語通訳)

 

先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、英語通訳者養成コース講師、寺田容子先生ご紹介の楽しく学べる「知財」入門』(稲穂健市著、講談社現代新書、 2017年)です。

 

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私は小説やフィクションにあまり興味がありません。世間で面白いといわれる文学があると、そんなに言うならと手に取ることがありますが、冒頭ですぐに退屈してやめてしまいます。あるいは直ちに最終章へ飛びます。

 

フィクションでも映画やドラマなら好き。では、単なる活字嫌いかというと、そうでもなく、実用書の類はよく読みますし、楽しんでいます。

 

ご紹介する稲穂健市さんの「楽しく学べる『知財』入門」もそうした実用書の1つです。知的財産権に含まれる著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などについて、東京五輪エンブレム騒動など話題の事案をふんだんに盛り込みながら、素人にも分かりやすく説明しています。

 

本来、専門性が極めて高い知財という難解なテーマですが、ユーモアに富んだリズムよい文章に冒頭から吸い込まれ、飽きる暇がないうちに最後まで読み終えると、自然と知財の正しい概念や5つの権利の違いなどを理解することができます。

 

通訳と何の関係があるんだと言われそうですが、大いに関係しています。

 

通訳の諸先輩方からよく指摘されるのが、幅広い教養を身につける必要性です。通訳がカバーする分野は幅広いため博学な人が優れた通訳になり、優れた通訳はさらに博学になっていくのを目前で見てきました。フリーランスで仕事をしていると“現場にいる自分以外全員専門家”という状況が多かれ少なかれあります。私の関わっている放送通訳という分野でも、オーディエンスはお茶の間の視聴者ですが、現場のスタッフはその道のオールスター。(わが身可愛さで詳細は伏せますが)付け焼刃の知識しかないために地雷原で無様に這い回る経験をしたことがあります。

 

そこで、自分の知らない分野を深く勉強したいと思った時に叩く最初の扉として、こうした入門書が便利だと思っています。

 

稲穂さんの知財本はいずれもそうなのですが、堅いテーマにするっと入っていける工夫を感じます。英会話のAEONとスーパーのAEONは両立するのか、「どこでもドア」の商標登録がドラえもん関係でない理由、マツモトキヨシは全国の松本清さんから承諾を取ったのか等々、親しみのある題材を愉快に取り上げながら、知的財産権の世界を明確に理解する実用的な知識を与えてくれます。残念ながらこの本だけで弁理士にはなれませんが、世の中の知財、模倣、パクリ問題に、少し違う角度からの関心を持てるかもしれません。

 

最近、実家で荷物を整理していた時に、その昔のISSの成績表を発見しました。一番下にある先生の一言は「日本語を豊かにするために本を読んでください」。

 

全くおっしゃる通りで笑えます。放送通訳をしていると時々出くわす“詩を朗読しだす人”
や“シェークスピアをそらんじる人”を何よりも恐れる、文学芸術音痴の今の私の姿を、先生は20年近く前にすでにお見通し。それでは、ということで、私の枕元には某ノーベル文学賞候補の作品が、課題図書として積まれています。私は文学がダメなのではない、せっかちで最後まで読まないだけなのだと信じ、来年のノーベル賞シーズンまでには何とか制覇して、いよいよ文学センスを開眼させたいです。

 

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寺田 容子(てらた ようこ)
東京外国語大学卒業。アイ・エス・エス・インスティテュート放送通訳科で学び、2001年より放送通訳者として稼働を始める。現在は、NHK、CNN、BBC、その他各テレビ局にて、報道全般、記者会見、スポーツ、米大統領選挙報道など、多岐にわたるテレビ放送の同時通訳および時差通訳を中心に活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは横浜校「基礎科」および「プロ通訳養成科1」クラスを担当。

 

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