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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 101回 「木」に関連する英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

小学校時代にオランダのアムステルダムで暮らしていました。当時通ったのはインターナショナル・スクールです。その頃は日本企業が海外へ進出し始めたころで、その学校もアメリカ人に次いで日本人の児童が大勢在籍していたのです。そのため、学校では日本語ばかり話してしまい、英語は全く上達しませんでしたね。けれどもその一方で外国人のクラスメートは日本に興味を抱いてくれたようで、漢字の「木」「林」「森」が絵に由来していると説明すると、とても感心されました。

 

今月は「木」に関連する英語表現のご紹介です。

 


1. take a leaf from one’s book 人を手本にする

 

Because he wanted to be successful, he took a leaf from a billionaire’s book. (彼は成功したかったので、とある大富豪を手本にしました。)

 

take a leaf from one’s booktake a leaf out of one’s bookと言い換えることもできます。意味は「人を手本にする」です。英単語ひとことで述べるならば、emulateということでしょう。

 

leafはドイツ語のLaub(葉)から生まれた単語です。「葉」という意味の他に、「花びら」という語義もあります。また、「(本の紙の)一枚」もleafです。loose-leaf notebook(ルーズリーフ式ノート)、flyleaf(遊び紙:本の巻頭・巻末の白紙)などもありますよね。また、動詞として使うこともでき、leaf through a bookは「本をざっとめくる」です。

 


2. root and branch 徹底的に

 

The army set out to destroy the militias root and branch. (軍は武装勢力を徹底的に破壊するため出撃しました。)

 

「徹底的に」はthoroughly and completelyなどと言えますが、root and branchも同じ意味を持ちます。この表現が誕生したのは19世紀初めで、イギリスの文献においてだったそうです。「根っこも枝も」と言われると、確かに「徹底的」という雰囲気が感じられますよね。

 

ところで数学に出てくる「根、ルート」も英語ではrootです。「√」という記号で表します。これは元々ラテン語のradix(根)のrの文字を変形させたと言われています。ちなみに円周率の「パイ」は「π」ですが、こちらはギリシャ文字です。電気抵抗の単位「オーム」の「Ω」や「ガンマ線」の「γ」もギリシャ文字から来ています。ギリシャ語やラテン語は英単語に派生しただけでなく、こうして理系分野でも大いに見られるのです。

 


3. branch off (話や考えが)それる

 

The girls’ conversation branched off into a talk about fashion. (女の子たちの会話はファッションの話題へとそれていきました。)

 

branch offは「話や考えがそれる」という意味の他に、鉄道や川などが「支線へ入る」という意味もあります。まさに枝分かれしている状態です。日本の鉄道用語に「盲腸線」ということばがありますが、これは鉄道ネットワークの中で行き止まりの路線になっているものを指します。たとえば東京であれば、東武大師線(大師駅)や地下鉄千代田線の支線(北綾瀬駅)などがそれに相当します。

 

ところでbranchの語源は「動物の前足」で、それが枝という意味になったそうです。同じ枝でも「大枝」はbough、「小枝」はtwigです。そういえば日本は「枝」や「きのこ」「たけのこ」などの名を冠したスナック菓子が人気ですよね。昔は「どんぐり」バージョンもありましたっけ。

 


4. lumber (やっかいなことを)押し付ける

 

He had been lumbered with all the difficult issues. (彼はあらゆる難しい課題を押し付けられてしまいました。)

 

lumberは「材木」のことで、log(丸太)を角材などにした状態のものをlumberと言います。「木を伐採する」という動詞でも使えます。

 

ところで放送通訳をしていると、男女差や職業観などに配慮してことばそのものが変わってきていることに気づかされます。たとえばchairmanとは言わず、chairpersonと言ったり、stewardesscabin attendantになったりしたのは有名ですよね。lumberjack(木材伐採人)もかつては使われていましたが、今はloggerlumber workerが使われます。lumberjackjackは「男」という意味です。


今回は「木」に関連する表現を見てみました。なお、「木を見て森を見ず」に近い英語フレーズにPenny wise, pound foolish (1ペニーを惜しんで1ポンドを失う。一文惜しみの百失い)があります。こちらは通貨が単位となっています。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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