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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 100回 民話などを語源とする英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

数年前、私はフランス語を学んでいました。イギリスに暮らしていた小中学生時代に少しかじったことがあり、その懐かしさから勉強しようと思い立ったのです。学校へ通うには時間的に難しかったため、私が選んだのは通信教育。教材には文学作品や文化関連のエッセイなど多様なトピックが選ばれていました。中でも印象的だったのが、シンデレラの話です。学習者向けに容易に書かれていたのですが、子ども時代以来、久しぶりに読むことで、改めてそのストーリーの奥深さに魅了されました。

 

そこで今月は、民話やおとぎ話などに出てくる言葉に注目してみましょう。

 


1. dwarfing the rest of … 残りの〜を小さく見せる

 

Our competitor is putting a lot of budget in their new project, dwarfing the rest of the rival companies. (わが社の競争相手は新規プロジェクトに多額の予算を投入しており、残りのライバル企業を小さく見せています。)

 

dwarf「ジーニアス英和辞典」(大修館書店)で引くと、「(童話などの)魔力を持つ醜い小びと」という語義が筆頭に掲載されています。ドイツの童話「白雪姫」には7人の小人が出てきますが、魔力を使って白雪姫を助けるのも小人たちでしたよね。

 

dwarfの語義を読み進めてみると、名詞以外にも形容詞や動詞などの用法があることに気づかされます。例文でご紹介したのは動詞で、dwarf単体であれば「〜を小さく見せる、〜を矮小化する、〜の発育を妨げる」などの意味を有します。さらに見てみると、「盆栽」はdwarfed treesとありました。なるほど、木の生育を止めてしまうという観点から見れば納得がいきますよね。宇宙のdwarf starは「矮星」です。

 


2. There is no magic wand 魔法のようにはいかないよ

 

You say you want to enter that prestigious university?  Well, there is no magic wandAll you have to do is study! (あの著名な大学に入りたいの?まあ、魔法のようにはいかないよ。勉強するしかないのだから!)
 
wandは「杖」、magic wandは「魔法の杖」です。There is no magic wandは「魔法の杖は無い」、つまり「魔法のようにはいかない」ということです。ちなみにwave a magic wandは「魔法の杖をひと振りする」「鮮やかに望みをかなえる」という意味です。

 

wandには他にも意味があります。口語表現であれば、指揮者の持つ「指揮棒、タクト」のことですし、職権の象徴である「職杖」もwandです。また、「細い棒状のもの」もwandであることから、「マスカラブラシ」をmascara wandと言うこともあります。

 

魔法と言えば、子どもの頃、ディズニーの映画Fantasiaを観たことがあります。そこに出てくる「魔法使いの弟子」が私は大好きで、曲を聴くたびにミッキーを思い出します。

 


3. an open sesame to … 〜への良い方法

 

Money is not necessarily an open sesame to happiness. (お金が幸せへの良い方法とは限りません。)

 

open sesame「アラビアンナイト」中の「アリババと40人の盗賊」に出てくる表現が元にあります。洞窟を開けようとした盗賊がOpen Sesameと唱えたのですね。日本語では「開けごま」です。今回ご紹介する表現an open sesame to … は「〜への良い方法」「願うままの結果をもたらす不思議な方法」という意味を持ちます。

 

ところでロシアの作曲家リムスキー・コルサコフは「アラビアンナイト」を主題に曲を作りました。作品名はScheherazade(シェエラザード)です。実に美しいアラビア風のメロディが奏でられています。

 


4. olive branch 和平の申し出

 

The opposition party held out an olive branch to the ruling party. (野党は与党に対して和解の申し出をしました。)

 

olive branchは「ノアの箱舟」に出てくる「オリーブの枝」のことです。箱舟に乗ったノアが鳩を放ったところ、その鳩がオリーブの枝を持ってきたという故事から来ています。以来、オリーブの枝は平和の象徴でもあり、国連の旗やアメリカ国章にも描かれています。「国章(coat of arms)」は国旗とともに使われる国家の紋章で、アメリカの場合、中央に描かれている鷲が片方にオリーブの枝を、もう片方に13本の束ねられた矢を持っています。

 

「和平の申し出をする」は英語でhold out an olive branchと言います。hold outextendofferpresentで置き換えることもあります。ちなみにディケンズの作品にOliver Twistがありますが、名前のOliverもオリーブから来ているそうです。

いかがでしたか?童話や故事から誕生した英語表現もいろいろあるのですよね。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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