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授業体験レポート:2016秋【中国語編】第4回 「自分の言葉で表現することの難しさ」

ISSスクールブログで人気の授業体験レポートは、この秋で11シーズン目を迎えています。2016年秋期では、英語通訳クラスと中国語翻訳クラスから、それぞれレポートしていただきます。今学期の終わりまで、どうぞお付き合いください!それでは、中国語翻訳者養成コース本科1クラスのUさん、よろしくお願いいたします。

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授業体験レポートをご覧の皆さん、こんにちは。第4回のレポートをお届けします。今回は講義の7回目(中日翻訳)8回目(日中翻訳)のレポートです。

 

今回の中日翻訳の課題は、中国での外国人を対象とした漢字教育に関する雑誌記事でした。やや長い文章で、内容が少し難しかったため、原文の読み込みにかなり時間がかかりました。自分の知識の範囲内で、何を意味しているのかはある程度判断できるのですが、いざそれを日本語に置き換えようとすると、どう表現すればよいか悩んでしまい、訳出にもとても時間がかかりました。

 

先生の訳文を読んでみると、それが「訳されたもの」であることを少しも感じさせないような、とても自然な文章で書かれています。しかもとても分かりやすく、専門的な知識がなくてもすらすらと読んでいけるような文章になっています。

 

そこで改めて私の文章を見てみると、どうしてもすらすらと読むことができません。恥ずかしながら、読み直さないと意味が分からないような文もありました。これが先生がいつも授業でおっしゃっている「原文に引きずられた訳」なのだと思います。

 

例えば、課題の中にこのような一文があります。

 

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实践证明,依照汉字的理据性去教学,特别是利用汉字中大量的形声字义、音提示去认知、理解、记忆汉字,是一个有效的途径。

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訳例:漢字の規則性に基づいて、特に漢字の中でも多くを占める形声文字の意味や音を認知、理解、記憶へと促すことが効果的なことは既に証明されている。

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私の訳:実例で証明されるように、漢字の成り立ちの根拠に基づいた学習、特に、漢字に多く含まれる形声文字の意味や音を利用して漢字を知り、理解し、そして覚えることは効果的な学習方法です。

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実際に授業の中でも先生からご指摘がありましたが、私は「実例で証明される」の部分を、原文のように文頭に置いていますが、文末に置くことでより日本語らしい文になります。また私の文は、冗長でポイントが分かりにくい書き方になっています。原文に忠実に訳すことは大切ですが、読者の存在を意識して、読者が読んで分かりやすいような文章を心がけていきたいと思います。

 

また日中翻訳の授業では、中国語の「補語」*を使った表現を中心に勉強しました。課題は、フローリングと襖の修理方法についての文章で、原文には例えば「塗る」、「貼る」、「(表面を)ならす」、「削る」、「はがす」といった様々な動詞が使われており、これらの動詞を的確に訳しつつ、中国語の「補語」を用いてさらに中国語らしい表現の文章にするというものでした。

*動詞や形容詞などの後について補足説明をする成分

 

例えば、「テープを貼る」は「防护胶带」、「テープをはがす」は「防护胶带」というように、動詞の後ろに補語を付けるのですが、中国語ネイティブでない私たちにとっては、使いこなすのがなかなか難しい用法です。文法をもう一度復習したいと思います。

 

また、動詞の訳し方もとても勉強になりました。上述のように、今回の課題はいろいろな動作の表現があり、それらを中国語でどの動詞を用いて訳すか、という点がなかなか難しかったです。

 

例えば、原文に「破れたふすま紙の裏にのりを付けて、軽くなでながら元通りに貼ります。」という一文があります。


私はこの文の「のりを付ける」を「塗上糨糊」、「軽くなでながら」を「用手輕輕地推平」と訳しました。


先生の解説では、(ここでは液体のりではなく、襖や障子に使う糊を指します)を付ける場合の動詞は「」を使う方がよいとのことでした。「」の漢字にはサンズイがあるので、例えば「塗膠水(ゴムのり、液体のりを付ける)」という表現に使うということでした。


また、「推平」の「」という動詞は、「力を入れて押す」という意味があるので、「軽くなでる」という表現には適さないということでした。

 

このように動詞一つをとっても本当に奥が深く、普段何気なく使っている漢字の持つ意味の重さに改めて気づかされました。これからは動詞の使い方にもより注意をしながら課題に取り組んでいきたいと思います。

 

| 授業体験レポート | 09:00 |

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