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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 90回 「粉を使った食材」の英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

流行というのはおもしろいですよね。スイーツの世界に限ってみてみると、近年ではポップコーンやグラノーラ、パンケーキやワッフルなどがはやっています。私は行列がニガテなので、話題のスイーツを食べたいと思いつつ、お店に並ぶ勇気がありません。下火になったころに出かけたいと考えています。

 

英語表現には食べ物を使ったフレーズがたくさんあります。以前このコラムでもスイーツ関連の表現をご紹介しました。今回のキーワードは「粉を使った食材」の英語フレーズです。早速見てみましょう。

 


1. take the biscuit あきれる

 

You say the dog smashed your computer?  That takes the biscuit!(犬がコンピュータを壊したって?まったくあきれるよ。)

 

take the biscuitは「あきれる」という意味で、口語でよく使われるフレーズです。biscuitを用いるのはイギリス、一方、アメリカではtake the cakeと言います。ちなみにtake the bunも同じ意味です。

 

研究社「リーダーズ英和辞典」には各見出し語に語源が出ています。biscuitはラテン語のbiscoctusという語から成り立っていると書かれています。coctuscoquo、つまりto cookという単語なのですね。一方、大修館書店「ジーニアス英和辞典」biscuitを引くと米語の意味として「(パサパサで甘みがなく楕円形の)薄焼きパン」とも出ていました。ちょっとした解説があるのも学習者向け英和辞典のありがたいところです。

 


2.dollars to donuts 十中八九・・・で、ほとんど確かに・・・で

 

It is dollars to donuts that he will win the title. (彼がタイトルを獲得するのは十中八九、確かでしょう。)

 

dollars to donuts(あるいはdoughnuts)はアメリカの口語表現です。ドルとドーナツのdの頭韻を踏んでいるのも特徴です。日本語の「十中八九」は数字ですので、こうした違いもおもしろいですよね。

 

doughnutは「タイヤ」「(車の)スピン」という意味もあり、do doughnutsは雪の積もった駐車場などで車をスピンさせる様子を表します。もう一つ、doughnutの語義で興味深かったのは「リーダーズ英和辞典」に出ていた動詞としての用法です。イギリスの国会で議員が演説者を盛り立てるためにテレビカメラに撮られている人を取り囲むことをdoughnutと言うそうです。

 


3.cast one’s bread upon the waters (報酬を当てにしないで善行をする)

 

She is always putting others first.  She casts her bread upon the waters. (彼女はいつも他人を第一に考えてくれます。報酬を当てにしないで善行をするのですよね。)

 

cast one’s bread upon the watersは旧約聖書「伝道の書」に出てきます。英語表現の多くが聖書を由来としていますので、英語学習に励むみなさんもぜひ一度、聖書を通読してみて下さい。もっとも、「長すぎて大変!」というのであれば子ども向け絵本やダイジェスト版などもあります。概要をざっくりつかむのでも構いません。聖書の世界から生まれた英語表現にぜひ意識を向けてみて下さい。

 

聖書に出てくるbreadは大事なキーワードです。the bread of life, fish and bread, give somebody a stone for breadなど英語のフレーズもたくさんあります。

 


4. tart oneself up (ごてごて飾り立てる)

 

Don’t tart yourself up because you are going for a job interview. (就職面接に行くのだから、ごてごて飾り立ててはだめですよ。)

 

tartはお菓子のタルトのことですが、動詞としての用法もあります。主にくだけた場面で使われており、意味は「ごてごて飾り立てる、けばけばしく着飾る」です。tart oneself upはget tarted upと表現することもできます。

 

なお、tartは形容詞としての意味もあります。こちらは「酸っぱい」という意味で、sourとほぼ同じです。たとえばa tart appleであれば「酸っぱいリンゴ」のことです。tartly(副詞)、tartness(名詞)という派生語もあります。


いかがでしたか?食べ物も文化の一種です。ことばにも密接に関わっていることがわかります。英語も多角的に学んでみると、みなさんの世界もグンと広がるはずです。

 

 

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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