通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、キャリアにつながるプロの語学力を養成します。

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ISSインスティテュート創立50周年記念「ISS講師からの応援メッセージ」第11回:柴原早苗先生(英語通訳者養成コース)

 

1966年、日本で最初の同時通訳者養成学校(当時の名称:アイ・エス・エス通訳研修センター)としての開設以来、アイ・エス・エス・インスティテュートは、第一線で活躍する通訳者・翻訳者を養成してまいりました。

 

創立50周年記念として、これからISSで学習を始めてみようとお考えの皆様や、ISSで学習中の受講生の皆様へ向けて、プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師から「応援メッセージ」をいただきました。本スクールブログにて、「応援メッセージ」を一つずつご紹介いたします。

 

通訳・翻訳訓練を始めてみたいけれどあと少しの勇気がでない皆様、学習を長年続けているからこその伸び悩みを感じている皆様、ぜひ、ご一読ください!

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「学びは工夫と謙虚さで」

         柴原早苗先生(英語通訳者養成コース)

 

 

大学時代の私は「いつか英語を使った仕事に就きたい」と考えていました。ただ、漠然としていたため卒業後は民間企業に就職し、会社と家の往復を続けていました。しかし次第にそれでは飽き足りなくなり、ISSの門を叩きました。


レベルチェックテストの結果、同時通訳科の一つ下のレベルに入りました。当時のクラスは平日夜週ニ回。毎回の単語テストに加え、逐次通訳の徹底的な訓練が行われ、密度の濃い授業でした。その頃は一学期ワンテーマのレッスンで、私が入学したときは医学の教材がメインでした。


一方の私は医学が大の苦手。「早くこの苦しい内容から脱したい」という思いが逆に動機づけとなり、一回で進級をめざそうと考えました。仕事と勉強の両立はチャレンジングでしたが、隙間時間を見つけながらせっせと取り組みました。その甲斐あって幸い同時通訳科に上がることができたのです。


ところがどうしても私はそのクラスに馴染めませんでした。今にして思えば、先生の「愛のムチ」を受け止めるだけの度量が私に備わっていなかったのです。私はただ萎縮するばかりで、やがて授業を休むようになり、そのままフェードアウトしました。一方、その頃は通訳者を本格的にめざしていましたので、「学校に通わないまま、いち早くデビューするにはどうすべきか」ばかりを考え、エージェントにせっせと履歴書を送り続け、初仕事へとこぎつけたのでした。


それから数年を経て私はBBCの放送通訳者としてロンドンに赴きます。同僚と結婚して子どもも授かりました。しかし勤務体制の変更を機に後先考えず帰国をしたのです。夫婦そろって失業、しかも第二子を妊娠中で途方に暮れる中、ご縁があってISSで講師をするようになりました。そして現在に至っています。

 

ISSで教鞭を執り始めてから数年が経ちますが、その間の英語学習環境は大幅に変わったと感じます。今ではスマートフォンの学習アプリも豊富ですので、その気になれば所や場所を問わず勉強できます。


「いつでもどこでも勉強できる」のは利点です。しかし裏を返せば「いつになってもどこにいても勉強しない」ということになりかねません。あまりにもおびただしい情報に学習者が振り回され、結局何もできないままになってしまうのです。


ISS受講生のみなさんは誰もが真面目であり、課題にも真摯に取り組んでいます。しかし他の日本人英語学習者同様、ついつい「正解」を求めがちのように私には見えてしまいます。通訳学習で模範訳を求めること自体、悪いことではありません。しかしモデル訳「だけ」にこだわってしまうと、そこから先への「工夫」が止まってしまうのです。自分の訳出に不安があるならば、講師に積極的に尋ねることも大切だと私は思います。通訳現場では不明点をおざなりにせず、積極的に聞くことも仕事の一部なのです。学校はその「聞き慣れる」トレーニング場という位置づけでも良いのではないでしょうか。


さて、緊張感あふれる授業を終えると「あ〜、今日もうまく訳せなかった」という思いに駆られがちです。かつての私もそうでした。自分の弱点を知り、次への改善につなげることは大切ですが、一方で自分を追い込み過ぎないことも大事です。オンとオフを切り替えることもこの仕事では求められますので、心の中で自分を褒め、自分にご褒美をあげることも学習継続のカギを握ります。


たとえば東京校であれば、授業終了後、USBに入った自分の音声をヘッドホンで聞きながら皇居の周りを一周することもできます。記憶の新しいうちに自分のパフォーマンスに耳を傾ければ復習になりますし、自然を愛でながらウォーキングをすれば体力作りになります。「大変で億劫な作業」を「楽しいこと」と抱き合わせるのも一案です。

 

通訳業は「お金を頂きながら学ばせていただける」という稀有な職業です。この仕事のおかげで私自身、知らなかった分野に巡り合い、人生が豊かになったと感じます。通訳者をめざす方に以下の7点が参考になれば幸いです。

 

(1) 教養: 通訳で必要なのは語学力以上に知識力です。日頃から新聞や本をたくさん読み、表現力と幅広い内容を吸収してください。


(2) 好奇心: 「知らないことを知りたい」と思う気持ちは原動力になります。難解な分野であれば子ども向け百科事典などにあたり、基礎から学んでいきましょう。


(3) 学び続ける心: 語学や通訳の勉強に「終わり」はありません。「母語以外のことばを知っている」というのはみなさんへ与えられた恩恵です。一生学び続けましょう。


(4) 工夫: 情報や学習法に惑わされない方がかえって勉強しやすくなります。目の前のすべてが学びに通じるのです。ご自分で勉強法や教材の工夫も試みてください。


(5) ご縁: 世の中はすべて人との関わりで成り立っています。ヤマト運輸の創業者・小倉昌男氏は「感じの良い人」であることの大切さを説いていました。仕事のご縁もその人の人間性にかかってきます。


(6) 謙虚さ: 仕事であれ勉強であれ、失敗はつきものです。大事なのはそこからどのような「教訓」を得るかです。謙虚さは自己成長に欠かせません。


(7) 体力: 食事や睡眠、運動に気をつけることが現場での良きパフォーマンスに反映されます。ご自分の体を労わることがお客様へのサービスにつながります。

「通訳の勉強をしよう!」と思い立ったときこそが飛躍のチャンスです。ISSの講師や教務スタッフはそんなみなさんを応援したいのです。ぜひ一人でも多くの方が通訳の世界を知り、学ぶ喜びを感じ、ご自分の力を世の中に還元してくださればと願っています。

 

<禁無断転載>

 

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<柴原早苗先生のプロフィール>
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に入門科レベルを担当。

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