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『中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)』 第13回 「読書の秋」

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生が執筆します。すぐに使えるフレーズがたくさん詰まっていますので、みなさまのお役に立つこと間違いなしです。今回は、「読書の秋」です。どうぞお楽しみください。
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秋高气爽、蓝天白云、金色秋天、红枫似火(天高く馬肥ゆる秋、実る秋、紅葉の秋)などの言葉があるように、中国も日本も四季がはっきりしています。収穫の秋、食欲の秋、読書の秋…と、からっとした涼しい秋風に、好きな一冊を片手にページをめくって思いを巡らせる、心を豊かにする季節です。

今回は最近中国のネットで話題になっている新作SF小説をご紹介したいと思います。小説の題名は『北京折畳』(変形した北京)で、第74回ヒューゴー賞の受賞作です。著者の郝景芳氏は、清華大学物理学部卒業のエリートで、国務院の研究機構に勤めながら、SFを書き、挿絵まで自分で描いている才女です。

 

小説は22世紀の首都北京を舞台に、貧富の差にスポットを当て、人々を裕福な上流、夢見る中流と貧困層の三種類に分け、それぞれ隔てられた空間で生活している設定の下で、貧困社会の第三空間でごみ処理で生計を立てている主人公が養女の学費を稼ぐため、命がけで、第二空間を通り抜け、上流の第一空間へ届け物に行ってくる話です。この小説の北京は、時間帯ごとにビルが折り畳まれ、地面が反転し、順番に空間が出現するようになっています。違う空間に住む人々の世相、空間を超える時の険しさ、まさに「铤而走险(危ない橋を渡る)」で、はらはら、どきどきさせる文字の力で、時代に翻弄される人々の運命を感じさせられる一冊です。登場人物の一人一人が丁寧に描かれ、それぞれの性格と心理がくっきりと浮き彫りにされています。彭蠡と言う人物が登場する時の姿と主人公老刀が第三時空へ渡る時の情景は下記の通りです。

 

「这时彭蠡出现了。他着牙,着衬衫的扣子,不紧不慢地回来,不时打饱嗝。彭蠡六十多了,变得懒散不修边幅,两颊像沙皮狗一样耷拉着,让嘴角显得总是不满意地着。﹒﹒﹒﹒﹒﹒」

 

(彭蠡が現れた。シャツのボタンを締めずに、爪楊枝を銜え、満腹でゲップをしながら、マイペースな足取りで帰ってきた。彭蠡は六十過ぎ。何時からか怠けてだらしなくなり、シャーペイ犬のような頬を垂らし、カーブを描いている唇はいつも不機嫌そうだ。)

 

「第一和第三空间之间没有连通的垃圾道,第一空间的垃圾经过一道铁闸,到第三空间之后,铁闸迅速合拢。老刀不喜欢从地表翻越,但他没有办法。
  他在呼啸的风中爬过翻转的土地,抓住每一寸零落的金属残渣,找到身体和心理平衡,最后匍匐在离他最远的一重世界的土地上。他被整个攀爬弄得头晕脑胀,胃口也不舒服。他忍住呕吐,在地上了一会儿。」

 

(第一と第三空間の間にはゴミを流すための直結したパイプのようなものはない。第一空間のゴミは大きなスチールゲートを通りぬけ、第三空間に出されるとすぐゲートが速やかに閉められるのだ。主人公の老刀は地面を乗り越えるのが大嫌いだが、そうする以外に方法がない。
強風の中反転する地面を這い上がり、散乱している金属の屑を掴み、身も心もバランスを求めながら、ついに世界で最も遠い土地に辿り着くことができた。攀じ登ったり、転がったりしたせいか、めまいと頭痛がし、吐き気もとまらない。彼は、気持ち悪いのをじっとガマンし、しばらく地面に伏せたまま動けなかった。)

 

激動する社会に流され、全く違う空間にいるような生活スタイル、価値観、生れつきの運命をSFの手法で暴露すると同時に、エリート社会の仮面を外し、貧しい生活をしていながらも、優しい心を持つ弱者を優しく描き上げています。世間の厳しさや温かさと明暗が混じった格差社会を生き生きとした文字で表し、深刻な社会問題を提起し、読者に考えさせます。

 

語学や文学関係の仕事をする人でなくても、この作品から昨今の中国社会の生活模様、人間関係に触れ、直面している社会問題を一瞥することが出来る素晴らしい作品なので、ぜひ読んでいただきたいです。

 

ところで、前回に続き、原文の下線の部分は動詞として使える語彙なので、その具体的な動きをイメージしながら、覚えていきましょう。

 

ビジネスコミュニケーションの授業ではビジネス文章だけではなく、社会動向、文化歴史などの文章も取り入れ、より深く中国、中国人の考え方を理解できるよう努めております。

 

 

マル今月の中国語新語

「斜杠青年」(語源は英語の「slash」):単一の職業には満足できず、色々な分野で自分の能力を伸ばす人達の事。

 

■例文:

这篇文章的作者用当今的流行话来说,是一名“斜杠青年”。(この小説の作者は所謂今はやりの“斜杠青年”です。)

 

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張 意意
証券会社、コンサルティング会社で通訳・翻訳者として活動するとともに、アイ・エス・エス・インスティテュートで「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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丸中国語ビジネスコミュニケーションコース丸
 コース案内動画はこちら
 ※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!

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| 「中国語表現コラム〜更上一層楼(更に上へと)」 | 10:29 |

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