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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 88回 ひもや糸に関連した英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 

同時通訳の仕事を終えた後の私はたいていボーっとしてしまいます。緊張感から解放されるからなのでしょうね。人間というのは機械ではありませんので、緊張の糸が張りつめたままでは生産性も落ちてしまいます。気分転換をして緩急をつけ、エネルギーを挽回して仕事に取り組みたいと常に考えています。

 

日本語では「緊張の糸」という具合に、抽象的に「糸」を用いますよね。そこで今回は「ひもや糸に関連した英語フレーズ」を見ていきましょう。

 

 

1.under one’s belt 完成して

 

With five books under my belt, I would like to publish more novels.(すでに5冊を出しているので、さらに小説を出版したいと思っています。)

 

under one’s beltは「完成して、経験を積んで」という意味です。ちなみにhave … under one’s beltであれば「(勝利など)を手中にしている」「(飲食物)を胃におさめる」という意味になります。

 

一方、beltには「地域、地帯」という意味もあり、「工業地帯」はindustrial beltです。最近のアメリカ大統領選挙ニュースでよく出てくるのはRust Belt(ラストベルト)ということば。アメリカ中西部などに広がる製造業地帯を指します。rustとは「さび」のことで、工業化時代を経て使われなくなった機材や工場などを象徴します。かつて製造業で栄えた工業地帯が今や失業に直面しており、大統領候補者たちはこうした地域でどのような政策を実施するのかが注目されているのです。

 

 

2.pick up the threads 立て直す

 

After the war, people tried to pick up the threads of their lives. (戦後、人々は人生を立て直すべく努力しました。)

 

pick up the threadsは「立て直す」という意味で、それまで取り組んでいた何かが中断した後に再度おこなうことを表します。threadは「糸、縫い糸」のことです。ちなみに「織り糸」はyarn、「刺繍糸」はembroidery threadと言います。

 

threadを用いた表現は他にもあります。たとえばhang by a thread(非常に危ない)、lose the thread of conversation(話の筋がわからなくなる)、thread vein(皮膚を通して見える非常に細い血管)などです。動詞としてはthread a needle(針に糸を通す)、thread an alley(裏道を縫うように通って行く)といった用法もあります。

 

 

3.show … the ropes 〜にコツを教える

 

I will show you the ropes so that you can deal with it immediately.(すぐに取り組めるよう、私がコツをお教えしましょう。)

 

show … the ropesは「〜にコツを教える」という略式表現で、give … a hintと同じです。ちなみに「ジーニアス英和辞典(第5版)」ropeを引くと、「thread, string, cord, rope, cableの順に太くなる」と出ています。こうした知識を得られるのも英語学習のだいご味ですよね。

 

show … the ropesの語源は、帆船のかじ取りロープから来ています。the ropesと複数形にすると「こつ、仕方、内情」「という意味を持ちますが、the ropeと単数形にした場合、「絞首刑」を指します。単数形・複数形で意味が異なるのです。ちなみに「縄状の」を表す形容詞のropy (ropey)は「ねばねばする」「品質の悪い」という意味です。

 


4.cut the umbilical cord 独り立ちをする

 

Since I will be going to a college, I’d better cut the umbilical cord! (大学に行くわけですので、もう独り立ちをせねば!)

 

umbilical cordは「へその緒」のことで、cut the umbilical cordは「独り立ちをする」という意味になります。cut the cordでも同じです。「へそ」はumbilicusまたはnavelと言い、「へその」という形容詞がumbilicalなのです。ちなみにumbilical cordは「へその緒」のほかに、宇宙飛行士や潜水士が用いる「命綱」でもあります。

 

ところで日本語の場合、「へそを曲げる」「日本列島のへそ」「へそで茶を沸かす」といった表現がありますよね。「アンパンのへそ」はアンパンの真ん中のくぼみを指します。「アンパンのへそ」を英語ではどう言うのか気になったので、和食の英文レシピを探したところ、作り方の説明としてmake a dent in the middleとありました。なるほど、「真ん中にくぼみをつける」ということなのですね。


ひもや糸などを用いたフレーズ、いかがでしたか?今回私がこのテーマを選んだのは、ある写真集の前書きで目にしたunder my beltという表現がきっかけです。気になるフレーズを見つけたら、みなさんもそれを出発点に辞書であれこれ調べてみてください。きっと世界が広がると思います。

 


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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