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ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第4回 : 曽根和子先生(英語通訳)


先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、英語通訳者養成コース講師、曽根和子先生ご紹介の「日本人なら必ず誤訳する英文」(越前敏弥氏著、ディスカヴァー携書、2013年)です。

 

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I waited for fifteen minutes-----they seemed as many hours to me.

 

「あなたはこれをどう訳しますか?」

 

越前敏弥氏の著書「日本人なら必ず誤訳する英文」 (ディスカヴァー携書) の表紙に書かれている英文です。

 

越前氏は、大ベストセラーとなった「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説やエラリー・クイーンなどのミステリー小説の翻訳家として良く知られており、予備校や翻訳学校などで講師を務められた経験もあります。この本は、日本人なら誤訳するだろうと越前氏が考えた英文が、まず問題として提示され、その後、解説と共に、答えとして訳例が紹介されるという構成になっており、英文は難易度別に「基礎編」「難問編」「超難問編」に分かれています。

 

書店で、この本を最初に見た時、目についたのが、本の帯のキャッチコピー「英語自慢の鼻をへし折る!」でした。私は、別に「私は英語ができる」と自慢しているわけではありませんが、そのキャッチコピーに惹かれて、ちょっと立ち読みをしてみたところ、「基礎編」とされている英文でも「あれ?」と迷い、恥ずかしながら間違ってしまったものが結構あって、少々意気消沈しました。

 

そこで、この本を購入して、問題に挑戦してみました。提示されている例文は、あえて間違いを誘う「ひっかけ」の文が多く、実際に翻訳が必要な場面では使われないだろうであろう表現が多いので、本格的に翻訳の勉強をするための参考書としては、ちょっと物足りないとは思いますが、一見簡単に思える英文でも、その構造を正しく理解していないと大きな間違いにつながる事を痛感する面白い本です。

 

翻訳や通訳をする時、最初の作業は「原文」や「話者のメッセージ」を正確に解釈する事です。その際、文法に基づいて原文やメッセージを正しく分析できなければ、次の段階(翻訳・通訳)に進んでも、誤訳になるだけです。越前氏は、この本の中で、「結局英語を正しく理解しているか否かを知るには、訳してみる以外に方法はない」「少なくとも日本語を母語として育った人間について言えば、おそらく正しく訳せないものは絶対に理解できていない」と述べています。

 

この本で問題として提示されている英文は短い文で、使われている単語も難解なものはありません。解答は英文法に基づいて分かりやすく解説がなされており、なぜ誤訳してしまうのかという落とし穴についても丁寧に説明されています。この本は新書版で、それほど重くありませんから、机に座って辞書を使いながら集中的に勉強する時間がない人でも、持ち歩いて時間が空いた時などに、英語のクイズ感覚で、気軽に問題を解いてみるという使い方もできます。また電子書籍版も出ていますので、そちらをダウンロードしても良いでしょう。

 

「分かったと思っても、本当は分かっていないかもしれない」という謙虚さが大切だということを教えてくれる一冊です。


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曽根 和子(そね かずこ)
慶応義塾大学文学部卒業。神奈川県の英語教諭を経て、オーストラリア・クィーンズランド大学大学院にて英日通訳・翻訳の修士号を取得。帰国後フリーの通訳者となり、現在、NHK衛星放送の放送通訳、会議通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に上級クラスの指導に当たるとともに、複数の大学でも通訳・翻訳の講座を担当。

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