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ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 第1回 : 柴原早苗先生(英語通訳)

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今月から、新連載「ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜」がスタートします!

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。

今月の一冊は、英語通訳者養成コース講師、柴原早苗先生ご紹介の「いのちをむすぶ」(佐藤初女著、集英社、2016年)です。
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「通訳者=英語ができる専門職」とよく言われます。確かに日本語と英語を瞬時に変換しますので、特殊な技能が求められます。臨機応変さも必要ですし、言語だけでなく専門知識も幅広く持たねばなりません。この仕事を選んだ以上、勉強は一生続くと私は思っています。

しかし、通訳者は「専門職」だけかと言うとそうでもないように思えるのです。

ことばはコミュニケーションの道具であり、人と人が円滑に意思疎通を図るために編み出されたものです。ことばの使い方が上手・下手ということが大事なのではなく、考えをいかに効果的に相手に理解してもらえるかが究極的には大切だと思います。

その橋渡しをするのが「通訳者」であると考えると、私は通訳という仕事が「専門職」以上に「奉仕職」だと思えてくるのです。

「奉仕」ということばを意識するようになったのは、佐藤初女先生の著作を読んでからでした。初女先生は青森県・岩木山ふもとの「森のイスキア」で悩める人を分け隔てなく受け入れ、おむすびや手料理を提供する活動を長年続けてこられました。最初はご自宅で細々となさっていたことが、多くの賛同者を得て「森のイスキア」開設へと至ったそうです。世の中が注目するようになったのは、先生が70代に入られてからでした。

初女先生はご病気のため、惜しくも今年2月に亡くなられました。私は先生の数々のご著書に感銘を受け、中でも「奉仕はさりげなく、振り向きもしないで」というお言葉がとても心に残っています。

通訳という仕事は、自分の言語能力を誇示する場ではありません。訳出パーセンテージを競うものでもありません。その場にいらっしゃる方のお役に立ちたいという、ただその一念で遂行すべきお務めだと私は考えます。今回ご紹介した本は、初女先生がご専門とする「食」が主なテーマですが、記されていることばは通訳の仕事にも日常生活にも当てはまります。

これからも先生のお言葉を大切にしながら歩み続けたいと私は思っています。

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柴原 早苗(しばはら さなえ)

放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
「放送通訳者・柴原早苗のブログ」
http://sanaeshibahara.blog.so-net.ne.jp/
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評価:
佐藤 初女
集英社
¥ 1,728
(2016-03-04)

| ISSライブラリー 〜講師が贈る今月の一冊〜 | 09:00 |

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