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「北京から見る日中翻訳業界」 第17回 「伝える言葉、伝わる心」


今年で3回目になるのですが、北京の日本大使館において、北京日本人会主催の日中友好都道府県対抗歌合戦が開催されました。

これは日本の各都道府県を代表して一人もしくは一チームが出場し、各組持ち時間は3分でカラオケの機器をつかったり生演奏をしたりしながら歌唱力や演出、演技で競うというものです。昨年度は筆者も出演者として参加したのですが結果は残念ながら鳴かず飛ばず。本年は応援団として参加してきました。

日中友好とは読んで字のとおりで、参加資格には国籍が関係ありません。今年も多くの中国人が参加され、なんと優勝したのも中国人の青年、王頴さんでした。日本に留学して帰国し、現在は日系企業で働いているという彼は実は出演前に筆者は面識があり食事も一緒したことがあるのですが、当日は着物を来て下駄を履いての出場となりました。

彼が歌ったのは三波春夫の『大利根無情』、こぶしを聞かせ、袖口から取り出した扇子をかかげながら最後には梵鐘が鳴ったあとに朗々とした語りで会場を湧かせ、最前列に座っていた木寺大使がおもわず立ち上がって駆け寄り握手を求めるという一幕もありました。

彼のように日本語で歌う中国人、逆に中国語で歌って踊る駐在員ユニットが特別賞をもらったり、タイムリーにスターウォーズのコスプレで演出賞をもらうユニット、また、毎年替え歌で北京の駐在員の悲哀を歌って会場多くの日本人の共感と笑いで沸かせ、今年も大使賞をもらって大使からハグされている歌合戦の常連さんの姿もありました。

さて、このような形で日本人と中国人が一緒に歌合戦などでもりあがればさぞかし日中友好になるのだろうというようにも見えますが、個人的には参加している人同士が仲良くなって、その人がたまたま日本人だったり中国人だったりしたというだけのことでしかないような気もします。中国人が日本の歌を歌っても、日本人が中国の歌を歌っても、その歌を好きなだけなんじゃないかと思ってしまうのです。

そんなひねくれたことを考えながら最後の表彰式、王さんの優勝が発表され、トロフィーが授与され、王さんにコメントが求められた時に彼がいいました。「日本に留学し、日本のアニメと演歌にはまり、日本の歌を歌って日本の心と、(一息飲んで)義理と人情を中国に伝えていきたいと思います」

会場は拍手に包まれ、観客も応援席も立ち上がって喝采をあげました。彼が中国人だからとか日本の歌を歌ったとかではなくて、彼の歌に込められた心が聞く人の心を動かし、彼の最後の言葉が会場の人全員の心を震わせたのだと思います。

会場にいない人がこのイベントを表層だけ聞いたとしたら、ほう、中国人が日本の演歌で優勝するなんてさぞ「日中友好」に配慮したのだろうねって感じになるのではないかという気がします。いや、これは筆者がひねくれているということも多分にあると思いますが、いいたいのは、互いの心や気持を理解して楽しくやってれば、「友好」なんてのは結果として出てくるものであって、看板にのせるようなものではないのかもしれないなんて思ったということです。

翻訳でも綺麗な文章と用語とかも大事ですが、心が肝心、そういうことかもしれません。

 
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