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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 80回 宗教用語を用いた表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 



前回の本コラムでは英語を学ぶ際、「聖書」「シェイクスピアの作品」「ギリシャ神話」が大切だとご紹介しました。あらすじだけでも知っておくと、英語学習 ではとても助かります。というのも、これらの作品の中で描かれている事柄が英語のフレーズにはたくさん出てくるからです。

放送通訳現場ではキリスト教の単語が頻出します。そこで今回は宗教用語を用いたフレーズを4つご紹介しましょう。


1.mixed blessing いたしかゆし

Since the new law has pros and cons, it is a mixed blessing for the local people.
(新しい法律には賛成・反対の両意見があるため、地元の人々にとってはいたしかゆしです。)

blessing というのは「恩恵、祝福」という意味です。ちなみにくしゃみをすると “Bless you!” と周りの人が言ってくれますよね。これは God bless you の省略形です。キリスト教圏では「くしゃみをすると魂が自分の体から抜けてしまう」という迷信があります。それを防ぐために God bless you(神のご加護を)と言うわけです。私は初めてこの bless you を聞いたときは、てっきり「ハクション」の擬声語かと思っていました!

mixed には良いもの悪いものどちらも含むというニュアンスがありますので、mixed blessing で「良くも悪くもあること」、それが転じて日本語では「いたしかゆし」という意味になっています。

2.not have a prayer チャンスがない

Unfortunately, she does not have a prayer of winning the match.(残念ながら彼女には試合に勝つチャンスがありません。

prayer は「祈り」のことで、「祈る(pray)」から来た単語です。なお、発音は「プレイヤー」ではなく「プレア」に近い音となります。 a prayer は「かすかな望み、チャンス」というアメリカの略式表現で、通常は否定形で使われます。

ところで Bon Jovi の曲には “Livin’ on a prayer” がありますし、Madonna には “Like a Prayer” がありますよね。一つの単語からこうして曲を思い出したり、あるいは著名な絵画の作品名や本のタイトルなどを思い起こすのも私にとっては楽しい作業です。


3.have the patience of a saint 聖人のような忍耐力を持つ

I would like to thank my wife for having the patience of a saint while I was involved in this project. (このプロジェクトに関わっていた間、聖人のような忍耐力を持ってくれた妻に感謝します。)

saint は「聖人」のことです。英語では saint で、St. Paul’s Cathedral(セント・ポール大聖堂)の St. saint を略したものです。ちなみにバチカンの「サン・ピエトロ大聖堂」の「サン・ピエトロ」は San Pietro と表しますし、saint はフランス語の場合 sainte となります。ロシアの「サンクトペテルブルク」の「サンクト」も同じく聖人です。

辞書で saint を引くと「聖人」のほかに「慈悲深い人、忍耐強い人」という意味も出てきます。His mother is a saint. であれば「彼のお母さんはよくできた人だ」ということです。


4.as poor as a church mouse きわめて貧しい

During his childhood, he was as poor as a church mouse.(子どもの頃、彼はきわて貧しい状態にありました。)

mouse は「ハツカネズミ」のことで、rat よりも小型のものを指します。church mouse は「教会のネズミ」が直訳です。17世紀のヨーロッパにおける教会では食料などの備蓄がなかったのだそうです。よって、ネズミが教会にいたとしても、何も食べる物がなくひっ迫していたのですね。そうしたことが転じて as poor as a church mouse は「非常に貧しい」という状態を表します。

ところでインターネットで church mouse と調べてみると、そうした店名やホテルの名前もヒットします。貧しさを表す単語ではあるものの、あえて固有名詞に使っているのも興味深いですよね。一方、日本語では「赤貧洗うがごとし」という表現があります。「赤」は全く何もない状況を表すのだそうです。


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |

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