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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 77回 体の一部を使った表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 


通訳者にとって大切なのは語学力と知識です。とりわけ日本語と英語を限りなく同一レベルにすることが求められます。私はかつて通訳学校で学んでいたころ、宿題の多さに圧倒されていました。当時は「早くデビューすればこの苦しみから逃れられる」と思っていたのですね。ところが現役になってからの方がむしろ勉強量は増えたように思います。今でも毎日コツコツと勉強を続ける日々です。

もう一つ私にとって欠かせないのは「体力」。多大な集中力を要しますので、スタミナが必要なのです。定期的にスポーツクラブへ通い、燃焼系や筋トレ系のレッスンにせっせと出ては体力を維持するよう努めています。運動をすると筋肉痛にも見舞われますが、それが心地良い疲労感となり、質の良い睡眠にも結び付くようです。

今月は体の一部を使った英語表現をご紹介します。


1.hamstring 妨害する

We feel that we are hamstrung by our rival company.(私たちはライバル企業に妨害されていると感じています。)

hamstring は「膝腱、ハムストリング筋」のことで、膝の後ろのくぼみにある太い腱を指します。今一つ場所の想像がつかない場合はぜひ検索サイトで「画像検索」をしてみて下さい。百聞は一見にしかず、です。

hamstring は動詞でも使われ、「〜の膝腱を切る」という意味があります。また、抽象的な用法として「〜を妨害する、〜を挫折させる」という語義もあります。この場合は通常受身の形で用いられるのがポイントです。

ところで、hamstring の語源は ham(ハム)から来ています。ham 自体、「豚の腿(の肉)」という意味があるのですね。string は名詞で「ひも」のことです。よって、一説によれば、string(ひもでくくる)という「動詞」ではないため、本来であれば過去形や過去分詞形は hamstrung ではなく、hamstringed であるべきだと主張する学者もいます。


2.knee-deep 身動きが取れない

I have too many projects to do.  I am knee-deep in work! (あまりにもたくさんのプロジェクトを抱えています。仕事で身動きが取れません!)

「仕事などで身動きが取れない」という様子は英語で knee-deep と言います。「膝の深さまである」という意味もあるのですが、例文のように抽象的な用法もあります。この単語は間にハイフンがあり、形容詞として用いられています。

ちなみに -deep という単語がほかにあるかどうか気になる際には、ぜひ電子辞書の「ブランクワードサーチ」を活用してみましょう。これは文字数やスペルが不明な単語を調べる際、「〜」を入れて検索できる機能です。たとえばカシオの電子辞書の場合、「シフトキー」と「L」を押すと「見出し語検索」画面が出てきます。そこに調べたい単語 deep を入力するのです。すると ankle-deepneck-deepwaist-deep などがヒットします。便利な機能ですので、ぜひ皆さんも活用してみてくださいね。


3.be up to one’s neck 首が回らない

He is up to his neck in debt.  He shouldn’t have spent such a huge amount in buying that product. (彼は借金で首が回らないよ。あの商品を買うのにあそこまで高いお金を払うべきではなかったね。)

be up to one’s neck は「首が回らない」という意味で、例文では be up to one’s neck in debt(借金で首が回らない)という用法です。be up to one’s neck ですので「首まで来ている」という感じですが、日本語では「回らない」という動詞を使うのが興味深いですよね。

ところで例文2で出てきた -deep ですが、英語には neck-deep という語があります。こちらは「ひどく困った」という意味です。一方日本語には「障害になる」という意味で「ネックになる」という言葉があります。こちらは英語で obstaclebottleneck を使います。neck 自体は使えないので注意しましょう。


4.arm-twisting 強烈に圧力をかけること、ごり押し、無理強い

After much arm-twisting, the president finally accepted the plan. (強烈に圧力をかけた結果、社長はとうとう計画を受け入れました。)

arm-twisting は名詞で「強烈に圧力をかけること、ごり押し、無理強い」という意味を持ちます。これはアメリカの略式表現としてよく使われており、1950年代から見られるようになったそうです。

ところで日本語には「赤子の手をひねる」「赤子の手をねじる」という表現がありますよね。こちらは英語で as easy as taking candy from a baby です。「赤ちゃんからアメを取るぐらい簡単」という意味になりますね。英語にせよ日本語にせよ、「赤ちゃん大号泣」となりそうなフレーズです。


今月は体の一部を使った英語表現を見てみました。ちなみに私は放送通訳現場で興味深い表現に出会うと、関連フレーズがないか気になるタイプです。今回ご紹介したのも hamstring に巡り合ったのがきっかけとなり、「では armneck などを使ったフレーズはあるかしら?」と調べてみたのでした。皆さんも一つの単語を出発点にして、英語を楽しく学んでいってくださいね。


柴原 早苗
放送通訳者、立教大学・獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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