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「北京から見る日中翻訳業界」 第13回 「白タクとハイヤー」


「此頃都ニハヤル物」なんて口上をたてたら現代北京版はわりと簡単にできてしまいそうですが、社会風刺はさておいて北京のタクシー業界に起きている変化を紹介します。

北京や上海のような大都市では街中で道を聞かれることも多いのですが、北京の場合は道ではなくて、「どこでタクシーが拾えますか」なんて聞かれることもあります。北京市内は場所によってはタクシーが客の乗降をさせてはいけない地域があり、空車のタクシーが停まってくれないという場合には、その場所が禁止区域だからダメな場合もあるし、あるいはその方向だとタクシーが嫌がって乗車拒否する率が高いというような車線であることもあり、そういう地元民でないとわからない情報を聞きたいということが背景にあります。

北京ではラッシュ時や雨天でなくても、タクシーを拾うのに10分から30分かかることが珍しくありません。以前実施された調査によると、北京での「タクシーの拾いやすさ」は調査対象になった38都市のなかで28位という結果でした。ちなみに上海は第3位、天津が第2位ですから、北京は随分悪い評価がされており、上海と天津が好成績ということですから都市の規模などだけに原因があるものではないかもしれません。

北京のタクシーの不便さはこれだけでなく、やっと空車が来ても窓から首をつきだして、行き先を聞いてくる運転手が多いわけで、つまり行き先によっては乗車拒否されます。それを嫌って無理やり乗り込んでしまったとして、行き先を告げると「知らない場所だから道案内してくれるなら行く」なんて言ってのけます。これは本当に知らない場合もあるし、知らないふりして遠回りする伏線だったり、あるいは行きたくないからあわよくば下車させようという目論見であったりもします。

そんななか、最近は道端でタクシーを探す人が減りました。変化を起こしているのはここ数年に次々と生まれてきている携帯アプリを使ったサービスです。ネットにつながったアプリを使い、現在地の近くのタクシーを探すというもので、当初はアプリを使うと拾いやすさが格段にあがって一気に普及しました。ただ、普及してしまえば元の木阿弥で、タクシーの運転手は道端で窓をあけて行き先を聞くかわりに、アプリで配車要求を出した客に直接電話をかけて行き先を聞くようになったので、渋滞が予想される地域へ向かう場合などは、乗車拒否の確率はむしろ上がってしまったわけです。

タクシーが拾えないラッシュ時に需要の多いオフィス街などでは、交差点付近にとめて客を探す白タクが多く発生していました。タクシー料金の倍から3倍の値段をふっかけられるし、もちろん違法でもあります。発生していたと過去形にしたのは最近ずいぶん減ったということがあります。もっといいナニカが出てきたからですが、取って代わったのが「新しい配車サービス」です。

「タクシー配車サービス」から一歩進み、「タクシー会社ではない一般人の自家用車とその運転手をアプリで配車する」というサービスなのですが、タクシーより低料金で、乗車拒否されることもなく、アプリに付属のナビがあるために道案内する必要もありません。中国語では「快車」とか「専車」とか言われていますが、私はまだ適切な日本語訳を思いついていません。「ハイヤー」以外にあるのかって気もしますが、タクシー会社に所属していないものをハイヤーというのはちょっと語弊があるようにも思います。「それってつまり白タクじゃないの」とは思っても言わぬが花というところでしょう。日本のニュースではハイヤー配車サービスになっていますけどね。

ところで「ハイヤー」の運転手、どんな人がやっているのかっていうと結構お金持ちでハイソなお兄ちゃんがやっていたりします。ある時アプリで予約できたドライバーから早速電話がかかってきたのですが、開口一番「何人ですか?」って普通はなかなか聞かれない質問。子供連れで3人だと答えると、嫁が助手席に乗っているので後部座席3人でよければ引き受けますとのこと。奥さんをナビゲーターにしていたわけです。客が日本人だとわかると、「俺あまり日本語分からないよ」と運転手、「『あまり分からない』と『全然分からない』の違いを教えてあげようか」と奥さん、夫婦漫才が見られるハイヤーは北京にしかないかもしれません。

 
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