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ISS講師が語る「私を支える○△□」 第15回 曽根和子先生の「こだわりの逸品」


昨年からスタートした、連載「ISS講師が語る『私を支える○△□』」

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、自らの“通訳者・翻訳者人生”(少し大げさですが…)を振り返りながら、現在の自分を支えている「言葉」や「モノ」、「出来事」について語っていただいています。

○「言葉」=座右の銘、
△「モノ」=こだわりの逸品、
□「出来事」=私のデビュー戦(初仕事)

ISS講師がこの3つからテーマを選んで語る本シリーズ。

第15回目は、英語通訳者養成コース講師、曽根和子先生の「こだわりの逸品」です。

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今、「通訳者」として稼働して、何とか安定した状態になりましたが、通訳者になって特に感じているのは、「英語を聴く」のは、実に疲れる作業だなあ、という事です。というのは、ー分にとって外国語である英語が流れてくる 何が話されるかわからないので集中して聞かなければならない 1儻譴馬辰気譴襪ら、当然、全部理解できない時がある(最悪の場合、理解できるところがほとんどない) い修鵑幣態でも、日本語に訳出しなければならない。この 銑い侶り返しなのです。通訳現場では、私は、常にこのフラストレーションに直面し、心の葛藤が続いています。もちろん日本語→英語も苦しい時は多いのですが、英語を聴く作業によって生じる疲労感は特に大きく、回復に時間がかかります。

そんな私の気分転換になっているのが、マンガです。私は、学生時代からマンガが好きでしたが、通訳者になってから特に面白いと感じて読んでいるのが、英語のマンガです。

ただ、英語のマンガといっても、『スヌーピー』、『Spiderman』、『Batman』といったアメリカン・コミックではありません。そういったものは、英語圏での文化的、社会的、歴史的な背景知識が必要で、それがないと読んでいても楽しめません。例えば、ユーモアたっぷりの表現を英語で読んでも、その英語のユーモアのセンスがなければ「意味不明」ですし、そのユーモアを理解する為に、他の資料を調べなければならないという手間があっては、全く楽しめません。

私が読んでいるのは日本のマンガの英語版です。マンガの基本は、まず「絵」で楽しむ事です。「絵」で楽しむ事の何が良い点なのかと言うと、耳を使わなくていいという事です。通訳作業では、常にリスニングのため聴覚を使い続けるので、「絵」でリラックスする事が気分転換になります。加えて、日本のマンガの英語版の良い点は、ストーリーがわかっている事、そして、日常の何気ない会話がどういう英語に訳されているかが分かる事です。

私は、日本の学校で英語を勉強した後に就職し、30歳を過ぎてからオーストラリアの大学院に留学して初めて英語圏での生活を経験したので、毎日の暮らしで普通に使われる英語、日常生活のための英語表現が圧倒的に不足しています。英語は、私にとっては、あくまで、学校で勉強した「外国語」なのです。しかし、英語版のマンガを読むと、日本人が会話の中でごく普通に使っている表現が英語に訳出されているので、「なるほど」と納得する事も多く、楽しめます。

そしてマンガの良い点は、登場人物の表情やその場の雰囲気を、絵で見て理解できるという事、つまり、どういうシチュエーションでそういう発言があるのか、また、その人物がどういう感情でその言葉を言っているか、などを「視覚的に理解できる」という事です。ですから、仕事が終わって気分転換にマンガを読むのですが、色々な場面での日→英の表現に触れられて、結構、勉強にもなっています。

私が気に入って読んでいるのが、『ドラえもん』と『サザエさん』の英語版です。どちらもごく普通の日常会話がベースになったお話で、内容が複雑でも専門的でもなく、誰でも楽しめる作品です。私はバイリンガル版を読んでいます。バイリンガル版というのは、マンガの吹き出しの中に英語、コマの外に日本語が書いてあり、日本語と英語の表現を、その場ですぐ比べる事ができます。日常会話ですから、難しい単語や複雑な構文は使われていません。辞書も必要ありません。

例えば、『ドラえもん』に「あんまりいい加減なこと、言うなよ!」「あきらめのいいとこが僕の長所なんだ…」といった表現が出てきます。私にとっては、政治、経済、経営、産業等の話題を通訳する事より、こういう表現を即座に訳出する事の方が難しいのです。

ちなみに「あんまりいい加減なこと、言うなよ!」は、
Make sure you’re not saying something you can’t back up.

「あきらめのいいとこが僕の長所なんだ…」は、
My strength is knowing when to quit.

となっています。

というわけで、日本のマンガの英語版にちょっと興味を持った方、1冊ぐらい読んでみてはいかがでしょうか?


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<曽根和子先生プロフィール>
慶応義塾大学文学部卒業。神奈川県の英語教諭を経て、オーストラリア・クィーンズランド大学大学院にて英日通訳・翻訳の修士号を取得。帰国後フリーの通訳者となり、現在、NHK衛星放送の放送通訳、会議通訳者として活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは主に上級クラスの指導に当たるとともに、複数の大学でも通訳・翻訳の講座を担当。

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「ISS講師が語る『私を支える○△□』」バックナンバーはこちら

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