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「北京から見る日中翻訳業界」 第12回 「爆買いの行方」


8月の中国にはいろいろなことが起こりました。権力抗争だとか陰謀だとかは個人的には大好きですが、本ブログの趣旨と異なりますので取り上げません。興味のある向きはネットでも週刊誌でもあふれんばかりに出回っていますからそちらからお願いします。今回のお話はこの記事が配信されるころには結果が出ているはずの、9月3日の記念日連休、中国人訪日ツアー客の人数と、消費金額についての展望です。

爆買いなんて今更な話題と思われるかもしれませんが、今回は注目すべき理由があります。一つには8月に人民元が切り下げられたこと、もう一つには関税徴収基準の強化がされることの2題です。人民元切り下げにも驚かされましたが、関税強化は8月半ばになって急に発せられた通知で、9月1日以降は空港から入国する際に持ち込む物品は、転売目的でなく自分が使用するためのものであっても、トータルで価値が5000元を超える分について関税を徴収するというものでした。この法律自体は新しいものではなく、運用強度を厳格化したということです。

基準とされる5000元といえば約10万円に相当するわけですが、中国人の富裕層が数日で数百万使ったなんて武勇伝が数多く伝わっているなかでずいぶん少額、つまりかなり厳しいものに見えます。また、日本での爆買いにはかなりの割合で転売目的、つまり中国に持ち込んで中国のECサイトで販売されるものが含まれていたはずですからこれらにも影響がありそうです。

そうして見れば、今回の規制強化の目的としては、(1)国内での消費促進による国産製品の保護、(2)国内で消費されていれば入るはずの増値税(付加価値税)を関税徴収で補填、(3)国外への資産流出を制限というあたりになろうかと推測することができるとは思います。

また旅行者が海外旅行で購入して持ち込む以外に、海外からの代購(中国国内の中国人の代理で海外サイトから購入すること)は、「海陶」という新しい言葉ができるほど流行しています。サイトには日本のECサイトなどで購入した画面キャプチャが掲載され、日本のサイトから購入した正規品であることや、また中国で流通している偽物との比較写真、真贋の判断基準などを掲載したネット店舗が数多く出店されています。

これらの「貨源」(仕入れ先)は、日本在住の中国人のほか、日本に旅行した際にネットで購入してホテルへ発送させ、ホテルで受領したものを自分で今度は中国の自宅向けにEMSなどで発送するというケースも含まれています。いずれにしても、日本国内で中国人が「爆買い」したことには変わりありませんが、これらへの関税徴収も厳しくなり、「代購」のコストは少なくとも30%上昇するという解説がネットで紹介されたりしています。

さて、私が注目したいのは8月の人民元の切り下げと関税徴収強化で、爆買いによる中国人の日本での消費は減るのか、中国人の訪日観光客数の増加には影響があるのかという二点です。中国国内販売では関税のほかに増値税、品種によっては消費税が重なり、同じ商品が日本の2倍3倍になることもあります。また、税額面で、日本で買うメリットがなくなったとしても、日本で買えば偽物の心配は少なそうです。

激安ではなくなったとして、それでも日本で買うのか、それでも日本に行くのか、私としては、これまでの訪日ツアーがただの買出しツアーでなかったと信じたいのです。もう1つ、中国には「上に政策あれば下に対策あり」という言葉があります。政策は出ましたが、さて人々の対策やいかに、というところは、もっと気になっているところでもあります。

 
| 【中国語翻訳コース】 | 17:00 |

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