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ISS講師が語る「私を支える○△□」 第14回 和田泰治先生の「こだわりの逸品」


昨年からスタートした、連載「ISS講師が語る『私を支える○△□』」

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、自らの“通訳者・翻訳者人生”(少し大げさですが…)を振り返りながら、現在の自分を支えている「言葉」や「モノ」、「出来事」について語っていただいています。

○「言葉」=座右の銘、
△「モノ」=こだわりの逸品、
□「出来事」=私のデビュー戦(初仕事)

ISS講師がこの3つからテーマを選んで語る本シリーズ。

第14回目は、英語通訳者養成コース講師、和田泰治先生の「こだわりの逸品」です。

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実力に自信が無い者ほど道具に頼るというのは世の常でございましょう。ゴルフしかり、釣りしかり…通訳業を生業とする小生も、人に見劣る能力を何とか取り繕おうと必死に様々な小道具に腐心してまいりましたが、その最たる物が電子辞書でしょう。

古いものを引っ張り出して数えてみたところ、通訳者として仕事をするようになったこの20年間に9台の電子辞書を購入致しました。ぼぼ2、3年に一度のサイクルで買い換えてきたわけですが、本稿ではその経緯を振り返ってみたいと思います。


<ソニー データディスクマンDD-75(1996年頃購入)>
1_DD75.jpg
1996年頃に初めて買った電子辞書です。CD-ROMを挿入して収録されたコンテンツを利用する方式で、研究社の英和中辞典、和英中辞典及び広辞苑が収録されていました。通訳を始めたのが1995年ですので、その翌年くらいに購入したようです。ハードウェア自体が結構大きいうえにリスポンスもあまり良くなく、CD-ROMにアクセスするたびに「カシャカシャ」と音がするので実際に携帯して外で使うにはあまり向いていませんでした。

とはいえ、紙の辞書からデジタルへという画期的な転機を象徴するデバイスでした。


<セイコーインスツルTR-7700(1998年頃購入)>
2_TR7700.jpg
ようやく手に入れた、本格的に携帯できる小型版の電子辞書として非常に重宝したのがこのモデルです。今あらためて見てみるとディスプレイはかなり小さいですが、電子辞書の使い勝手の良さを体感できる逸品だったと思います。但し、収録コンテンツが中辞典だけだったため、紙のリーダース英和辞典との併用を余儀なくされておりました。


<セイコーインスツルICD-RE1(1998年頃購入)>
3_ICD RE1.jpg
…ということで、発売と共にすぐに手を出したのが、このリーダーズ専用の電子辞書。これもセイコーインスツル製ですが、「研究社」のロゴがついています。収録コンテンツはリーダース英和辞典だけなのにもかかわらず、確か5万円近くしたと記憶しております。相当に高価なものでした。当時は上記のTR-7700とこのモデルを2台持ちで鞄に入れて持ち歩いていたわけです。
 

<セイコーインスツルSR-9100(2000年頃購入)>
4_SR9100.jpg
中辞典とリーダーズが両方収録されたものがようやく市場に出回り出し、すぐにこのモデルを購入しました。これを契機に紙の辞書はほとんど利用しなくなりました。


<セイコーインスツルSR-T6500(2002年頃購入)>
5_SR T6500.jpg
さらにリーダーズプラスがコンテンツに追加されたモデルです。ハードウェアの改善点としてキーパッドのタッチが非常に軽く、快適になりました。本機は現在もプライベート用として使用しています。


<セイコーインスツルSR-E10000(2005年頃購入)>
6_SR E10000.jpg
新たに和英大辞典が収録され、さらに「ブリタニカ百科辞典」も収録されているということでつい買ってしまったのがこちらです。百科事典は、「これだけでも数十万円の価値がある」とか何とかという触れ込みで、購入した当初は広告に煽られたかなぁとも思いましたが、実はこの百科事典のコンテンツが予想以上に仕事で役に立つことがわかりました。ハード面ではディスプレイにバックライトが搭載されています。電源が充電池と乾電池両方利用できる仕様になっています。シルカカードでコンテンツを追加できるようにもなりました。


<セイコーインスツルSR-G10001(2010年頃購入)>
7_SR G10001.jpg
上記のモデルが突然故障し、長期の修理期間に入った時に思案して購入したのがこのモデルです。英語関連のコンテンツ量は相当なもので、自分にとっては少々オーバースペックかとも思いました。英語に関する収録コンテンツはこのあたりでほぼ飽和状態に達した感があります。ハード面でもディスプレイの改良やパソコンとの連携など、メーカーもいろいろと差別化に苦労しているなぁというのが実感できる力作です。
 

<セイコーインスツルSR-G7001M(2012年頃購入)>
8_SR S7001M.jpg
そして現在常用しているのがこの製品です。クリスマスのプレゼントに家内に買ってもらいました。スーツのポケットに入るほどの小型ながら、英和、和英の両大辞典(英和大辞典はジーニアス)とリーダーズ英和辞典、英英辞典とシソーラス、ブリタニカ百科事典という最低限仕事で必要なコンテンツは収録されています。これにシルカカードで「180万語対訳大辞典」を追加して現在毎日使っておりますが、フォームファクターとコンテンツのバランスという点からして、これまでで最も実用的な電子辞書だと思います。


<セイコーインスツルDF-X10001(2015年購入)>
9_DF X10001.jpg
セイコーインスツル社が電子辞書の市場から撤退する間際に発売した乾坤一擲とも言えるモデルがこのDF-X10001です。収録コンテンツについては、リーダーズが最新の第三版に改訂されており、英和、和英の大辞典や、英英辞典やシソーラスの類も主要なものはすべて収録されています。さらにセンテンスディクショナリーや平凡社の世界大百科事典などの膨大なコンテンツも入っている一方で、数合わせのような無駄なものは一切収録しておらず、コンテンツについては文句のつけようがありません。如何せん、アンドロイドOSを搭載してインターネットのブラウジングを可能にしたり、ディスプレイにカラー液晶を採用したりしたためか、「起動が遅い」、「大きい」、「重い」、「バッテリーの消耗が異常に早い」など欠点も指摘されていますが、良かれ悪しかれ、まさにこれを最後に市場を去ったセイコーインスツル社が持てる力の限りを振り絞って残した偉大なる集大成とも言える電子辞書だと思います。上記のコンパクトなSR-G7001Mと状況に応じて併用しています。
 

<結び>
この約二十年間、電子辞書には本当にお世話になってきましたが、セイコーインスツル社は残念なことに電子辞書のビジネスから撤退してしまいました。収録コンテンツが行き着くところまでいってしまったということもあると思いますが、スマートフォンやタブレットの普及によるところが大きいのではないでしょうか。特に難しい言葉でなければ一般のユーザーは無料のオンライン辞書で十分でしょうし、我々通訳者の中にも辞書は携帯せず、Googleの検索エンジンをそのまま辞書替わりに使っている方々もいます。調べたい言葉を入力して検索すれば、専門用語などの場合は辞書では遥かに及ばない最新の情報を得ることもできるからです。まさに時代の波というものでしょうか。

三十数年前の学生時代、「君たちねぇ、英文科の学生だったらランダムハウスの大辞典くらい持っていないと恥ずかしいよ」と教授に言われ、生協で大枚をはたいて買ってからこのかた自宅でオブジェと化している巨大な紙製の大辞典を眺めながら、あらためて時の流れに思いを馳せている次第でございます。


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<和田泰治先生プロフィール>
明治大学文学部卒業後、旅行会社、マーケティングリサーチ会社、広告会社での勤務を経て1995年よりプロ通訳者として稼働開始。スポーツメーカー、通信システムインテグレーター、保険会社などで社内通訳者として勤務後、現在はフリーランスの通訳者として活躍中。

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「ISS講師が語る『私を支える○△□』」バックナンバーはこちら

 

| 私を支える○△□ | 20:53 |

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