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「北京から見る日中翻訳業界」 第10回 「老師と先生」


5月のことですが、北京では「北京日本人会」が主宰する蒼井そらさんの講演会が開催されました。場所は北京の長富宮飯店(ホテルニューオータニ)にて、日本人会会員向けのイベントではありましたが、中国人に言わせると「さすが日本人、(中国人なら)ちょっと出来ない、というか思いつかないことをやるね」ってことでした。

Wikipediaによると蒼井そらさんの紹介は「AV女優、女優、タレント、歌手である」とされていて、現状ではかなりマルチな活動をされており、AV引退説なども流れたりしたようですが、上記の講演会では「私はいつでも脱ぎますよ。ただ中国では許可してもらえないんですよね」なんて話されていたそうです。

さて、なぜ中国で蒼井そらさんかというと、ご存知の方も多いとは思いますが、彼女は実は中国で「老師」と呼ばれるほど人気で、また尊敬もされていて、中国のマイクロブログには1500万人ものフォロワーがついているのです。ブログには中国語でつぶやかれていて、間違いやたどたどしい表現も多いそうですが、ファンにとっては小さなミスもむしろ好ましく映るのでしょうね。このように人気者の蒼井そらさんですが肩書は上記のとおりですから、中国人の感覚からしてみれば、日本人会のような公的機関が企画する行事としてはかなり意外に感じられたようです。

そんな彼女につけられた敬称である「老師」について、このブログの読者なら説明は不要と思いますが、日本語では「先生」のことです。ちなみに中国ではフリーランスの翻訳者への敬称にも、「○○老師」とするのが業界の流儀になっています。蒼井そらさんが何の先生なのかは別として、まぁそのように尊敬され、そして愛されているわけですね。

今回もう少しお話したいのが、この敬称についてです。例えば日本で弁護士の先生への敬称なら「○○先生」っていうのが普通ですが、中国では「○○律師(弁護士)」っていうのが一般的です。この場合は日本語の「先生」が中国語の「老師」には対応しませんよね。老師といえばカンフードラマを思い出す人も多いと思いますが、ああいうのに出てくるお年寄りの達人はむしろ「師父」であって、ジャッキー・チェンとか習う方は「弟子」になり、「老師(先生)と学生(生徒)」とはちょっとニュアンスが変わります。

「先生」という敬称は中国の日常生活でもよく耳にするもので、たとえば道を聞く時やレストランで店員が客に呼びかける際などにも使えますが、もちろんこれは男性に対してです。女性に対しては年齢に応じて変わることも多くなったようですが、若い女性なら(あるいは若く思われたい女性には)「小姐」とか「姑娘」とか呼びかけることも多いようです。街の食堂などで店員を呼ぶ時は「服務員!」と叫ぶか、上品なレストランなら「ニイハオ」って手を上げるのが今風です。

さて、翻訳のお話です。小説や漫画でカフェの席についたばかりの清楚な若い女性がいるワンシーン、イケメンの中国人ウェイターが彼女に「姑娘」と声をかけました。さて、日本語に訳する場合、カフェのウェイターが客に対して「お嬢様」と声をかけるシーンを想像できるでしょうか?日本のカフェなら「お客様」って声をかけるのが普通だろうと思いますが、もっといいのを思いつく方がおられたら教えてもらえると嬉しいです。

もう1つ、もし中国にAV女優出身のアイドルが今後売れっ子になったとして、蒼井そらさんのように「○○老師」とか呼ばれるようになったとしたら、この方を日本語で紹介するにはどういう日本語がいいでしょうか。「蒼井そら老師」って日本語でも通じるけど、私の感性では非常に野暮ったく聞こえます。彼女の華やかな雰囲気なら「カリスマアイドル蒼井そら」とか、「愛のマイスター蒼井そら」とか―――ダサい?―――そう思った方はご自身の想像力の翼を多いにはためかせて、もっと良いものを考えてみてくださいませ。

 
| 【中国語翻訳コース】 | 10:00 |

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