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ISS講師が語る「私を支える○△□」 第12回 榊原奈津子先生の「私のデビュー戦」


昨年からスタートした、連載「ISS講師が語る『私を支える○△□』」

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、自らの“通訳者・翻訳者人生”(少し大げさですが…)を振り返りながら、現在の自分を支えている「言葉」や「モノ」、「出来事」について語っていただいています。

○「言葉」=座右の銘、
△「モノ」=こだわりの逸品、
□「出来事」=私のデビュー戦(初仕事)

ISS講師がこの3つからテーマを選んで語る本シリーズ。

第12回目は、英語通訳者養成コース講師、榊原奈津子先生の「私のデビュー戦」です。

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もう20年以上前の話で、他の事は記憶が曖昧になる中、この通訳のデビュー戦となった日の事は鮮明に覚えています。

当時見本市通訳を月に1〜3本こなす生活を1〜2年続けていましたが、ある日いつものように幕張メッセの国際会議場での見本市で仕事をしていた時、ブースの関係者の日本人の方から、「今から会議をする事になったから、あなた来てやってくれない?」と言われたのです。

大規模な見本市だったので、私の所属していたエージェントの社長も視察に来ていて、たまたま私のブースにいらっしゃる時にそういう話になったので、私は思わず社長に「私、会議なんて出来ません!そんな約束じゃなかったじゃないですか。無理です、絶対に無理です!」とすがるように言ったのですが、「でもあなたしか居ません。お願いだからやってもらえませんか?」と逆に説得されてしまったのです。

「ウソでしょ?!」と内心思いながら、無理やり隣接する会議室に連れていかれると、そこには既に5〜6人のアメリカ人が通訳者らしき日本人女性と一緒に、会議室のあちら側に座って待っていらっしゃる状態…。こちらに座っている2〜3人の日本人側について日英の通訳をやらされるのだと分かった時には、スピーカーらしき日本人がもう話を始めようとしている所でした。

私は「ちょっと待って下さい!ノートを出すのでちょっとだけ待ってください!」と叫んで、大慌てでカバンから通訳ノートを取り出しましたが、1文目はノートを取る暇もなく始まってしまいました。だいたいあちらのアメリカ人の方々とこちらの日本人側はどういう関係?どちらがどちらを招いたの?どちらが地位的に上なの?等々全く知らされていない状態で、スピーカーの方のバックグラウンドもステータスも、ましてやスピーチの内容も何もかも分からない状態でのスタートでした。背中には氷を浴びせ掛けられたような感覚が走り、(こんなの出来るわけない、何で突然こんな事に…)、そんな思いが頭の中を駆け巡り、とてもじゃないけど通訳に集中出来る状態ではありませんでした。

その上、アメリカ人側の通訳者の方は、スピーカーが話していない事まで、説明を交えて通訳されていて、明らかにこのグループと既に数日は行動を共にしていらっしゃる事が分かり、2人の通訳者のレベルがあまりに違いすぎる!とかなり焦りました。


30分位の会議だったでしょうか?終わった時にはもうぐったりでした。その後にティーパーティがあり、日本側の方何人かから、急だったのに良くやってくれたと感謝されましたが、アメリカ人付きの通訳者の方から、「素晴らしい英語でしたね」と言われた時には、「ウソ、この方イヤミ言ってる!」と思ったものでした。素晴らしいはず、無いじゃないですか、状況も分からず引き受けてやった通訳が、良い出来のはずが無いじゃないですか。


でも結論から言うと、何となく出来てしまったんです。同席していたエージェントの社長も、とても良くやったと褒めて下さいました。私は普段から英日より日英の方が得意で、聞こえさえすればとにかく何とか訳せると思っていましたので、ベストな訳ではなかったでしょうがスピーカーの意図を伝える事はある程度出来たと思いました。「あ〜、会議ってこんな感じなんだ…。事前に情報がもっと頂ければ、多分クライアントが満足するレベルの通訳が出来たに違いないわ…」と感じました。

これをきっかけに、エージェントから小さな会議の仕事が来るようになり、1〜2年後には大きな会場で国歌が流れるような重要な会議まで担当するようになりました。あの経験がなければ、会議通訳に突入するのは、あと2〜3年遅れていたかも知れません。

現在会議通訳へのステップアップを狙っている現役通訳者の方も、私みたいに騙されて(!?)最初の一歩を踏み出す事が出来れば、意外とラッキーなのかも知れませんね!


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榊原奈津子(さかきばら なつこ)
上智大学外国語学部英語学科卒。上智大学大学院にて言語学専攻英語教授法(TESOL)修士号を取得。外資系航空会社勤務を経てアイ・エス・エス・インスティテュートで通訳訓練を受ける。フリーランスの通訳者として航空をはじめ多分野で活躍する傍ら、20年以上にわたり同校の講師を務めている(主に入門科レベル担当)。上智大学他、大学の講師も務める。

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「ISS講師が語る『私を支える○△□』」バックナンバーはこちら

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