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ISS講師が語る「私を支える○△□」 第11回 徳久圭先生の「こだわりの逸品」


昨年からスタートした、連載「ISS講師が語る『私を支える○△□』」

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、自らの“通訳者・翻訳者人生”(少し大げさですが…)を振り返りながら、現在の自分を支えている「言葉」や「モノ」、「出来事」について語っていただいています。

○「言葉」=座右の銘、
△「モノ」=こだわりの逸品、
□「出来事」=私のデビュー戦(初仕事)

ISS講師がこの3つからテーマを選んで語る本シリーズ。

第11回目は、中国語通訳者養成コース講師、徳久圭先生の「こだわりの逸品」です。

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通訳の現場は毎回緊張の連続。しかもそれが、一緒にチームを組んで仕事をする「パートナー」のいる現場であればなおさらです。まだまだ駆け出しの私にとって、現場でご一緒するパートナーはいずれもこの業界の大先輩ばかりだからです。先輩通訳者のパフォーマンスに聞き惚れ、圧倒され、我が身を振り返って打ちのめされることがほとんどですが、訳出そのもの以外にも、先輩方が使っている道具に興味を惹かれることが多く、とても参考になります。

例えば同時通訳のブースで使用するヘッドホンやイヤホン。同時通訳者が会場備えつけのものをそのまま使うことは少なく、みなさんそれぞれの「マイヘッドホン」や「マイイヤホン」を持参されることが多いようです。一瞬の油断もできない訳出作業においては、やはり普段から使い慣れ、耳に馴染んでいる私物の方が、よけいなストレスを感じずにすみ、それだけ作業に集中できるということでしょうか。

私はというと、普段の語学学習にも使用している比較的安価で小ぶりなヘッドホンを持ち込んでいたのですが、ある時先輩通訳者から、ご自身が長年愛用されているというこのイヤホンを紹介されました。デンマークの「バング&オルフセン(Bang & Olufsen)」というメーカーの「A8」という製品です。



先輩いわく「音の粒立ちが違う」。正直に申し上げて、このイヤホンはかなり懐が痛んでしまう最高級品ですが、それで少しでもスピーカー(発言者)の声がクリアに聞こえ、訳出の精度向上に資するのであれば、それに見合う投資ではないかと先輩はおっしゃるのです。弘法も筆を選ぶのですね。私はその「プロ意識」、「プロ根性」に驚き、「聞こえるなら何でもいいでしょ」などと思っていた自分を反省したのでした。

というわけで、私も先輩に倣ってすぐに購入しました。音の違いもさることながら、耳に掛けるタイプのこのイヤホンは、音が聞こえてくる部分の位置を自由に調整することができます。縦のシリンダー部分が伸縮することに加えて、シリンダーから伸びた「腕」の部分が回転することで、耳に密着させることもできれば、耳から少し離す(浮かせる)こともできるのです。

この「耳から少し離すこともできる」というのが重要です。音楽を聴くのであればそんな使い方はしないと思いますが、同時通訳の場合はスピーカーの発言を聞きながら自分の訳出する声もモニターしているので、片方のヘッドホンを少しずらしたり、イヤホンをゆるく装着したりすることが多いからです。このイヤホンは細かい部分の作りがとてもしっかりしていて、そのような使い方を簡単に、そしてとてもスマートに実現できます。もちろんメーカーは、そんな使い方をされるとは想像もしていなかったでしょうけど。

もちろん最高級のイヤホンを使ったからといって、訳出のできばえも最高級になる保証はありません。これからも道具におぼれず、精進を重ねたいと思います。


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徳久圭(とくひさ けい)
武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。NPO職員や出版社での編集者、語学講師、社内通訳者等を経て、現在フリーランスの通訳者・翻訳者、アイ・エス・エス・インスティテュート講師。

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「ISS講師が語る『私を支える○△□』」バックナンバーはこちら
 

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