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ISS講師が語る「私を支える○△□」 第9回 芳賀まき先生の「私のデビュー戦」


2014年7月からスタートした、新連載「ISS講師が語る『私を支える○△□』」

プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、自らの“通訳者・翻訳者人生”(少し大げさですが…)を振り返りながら、現在の自分を支えている「言葉」や「モノ」、「出来事」について語っていただきます。

○「言葉」=座右の銘、
△「モノ」=こだわりの逸品、
□「出来事」=私のデビュー戦(初仕事)

ISS講師がこの3つからテーマを選んで語る本シリーズ。

第9回目は、英語通訳者養成コース講師、芳賀まき先生の「私のデビュー戦(初仕事)」です。

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アイ・エス・エスでの訓練期間中の後半から、翻訳やOJTなど少しずつ仕事をするようになりました。

その頃の仕事は今から思い返すと、どれもが初仕事だったように感じますが、そのなかでも特に印象に残り、自分の「初仕事」と位置付けているのが、同時通訳科在籍時に先生からご紹介頂いた映画音響機器のセミナーの通訳です。

最初にこのお話しをいただいたとき、「是非やってみたい!」と思うと同時に、大変悩みました。というのも、お話しがあったのが出産の予定日の2週間ほど前で、実際の稼働日が産後2か月というタイミングだったのです。(仕事だけでなく出産も「初」でした)決断できず、お電話を頂いたT先生に「少し考えさせてください」と申し上げたところ「いいわよ、連絡ください」と仰ってくださいました。電話を切り、早速悩み始めて10分ほどたったころ再び電話が鳴りました。T先生でした。「ああ、あなたに決まったから」と言われ、大変びっくりしました。私がなかなか決められないだろうことを見越して決めてくださった先生のご英断に感服しました。そして、このことは今でも心に残り、先生に感謝しています。人生・仕事における大切なことを教えていただきました。

お話しが決まり、資料が届いたのは入院の2日ほど前。その分厚い、機器のマニュアルを病院に持ち込み、退院後は夜中の授乳の合間などに「これは一体何をする装置なんだ??」と思い続けながら、自分なりに想像しながら、とにかく単語を拾い、準備を進めました。音響を担う機器という点で、バンドでキーボードを担当しシンセサイザーをいじっていた経験があったために、あまり抵抗を感じなかったのは幸いでした。本番の10日ほど前にクライアントの担当者の方がブリーフィングの時間をしっかり設けてくださり、大変有難かったです。

本番当日。会場には多くの映写技師の方々と設置業者の方々が集まり、とても緊張しました。幸い、発表者のイギリス人の方とアメリカ人の方がとても親切でしたし、またクライアント企業で翻訳をいつもされている女性がサポートとして隣に座ってくださることになりました。セミナーの後半で内容が準備の範囲を超えてしまったときは、この方に助けて頂きながらも何とか仕事を終え、感謝の言葉を頂くことができました。

その後、このお仕事がきっかけとなって、同じお客様から引き続きお仕事を頂くようになり、十年余になります。来日の際の得意先訪問同行、技術セミナー、新技術の発表会、業界懇談会など色々な場を経験させて頂き本当に幸運だったと思っています。長くやっていると業界の言葉も背景もよくわかるようになり、そうなるとお客様に安心して頂けるようになり、続けて使ってくださるのです。


久しぶりに振り返ってみると、この初仕事はお仕事を紹介してくださった先生方、親切なお客様、家族、と多くの支えがあったから成り立ったのであり、出産前後の武勇伝でもなんでもなく、大切なのは感謝すべきことと改めて気が付きます。そして、それを常に自覚していれば、自然と仕事に対する緊張感の源になり「やらねば」と思うことができるのです。

どのような職業にも言えることでしょうが、フリーの通訳者のように、培った技能を活かし、特有の研鑽がずっと続く世界においては、このような「自分を突き動かす何か」を持っていることは重要なことの一つだと思います。それは、仕事や色々なことを抱えながらも通訳学校に入って勉強を続けていらっしゃる皆さんにとっても同じではありませんか?

突き動かしてくれるものは宝です。山ほどある言い訳に、その宝が埋もれてしまってはもったいない。

がんばりましょう。


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芳賀まき(はが まき)
17歳までのうちの約8年間をアメリカ・ペルーなどで過ごす。成蹊大学卒業後、日本の金融機関に就職したのちスイス系の信 託銀行に転職。会社の夏季休暇を利用してアイ・エス・エスの通訳入門講座に参加したことをきっかけに、同年の秋学期よりアイ・エス・エスで通訳訓練を開 始。同時通訳科在籍の頃よりOJTや社内通訳など、少しずつ仕事を始め、現在フリーランス。金融・エネルギー・映画・IT・通信など。

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