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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 65回 音楽用語を用いたフレーズ
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 



毎年秋になると私にとっての「恒例行事」が訪れます。

それは、20年以上前からファンである指揮者マリス・ヤンソンスの来日公演です。ここ数年はオランダ のコンセルトヘボウ管弦楽団とドイツのバイエルン放送交響楽団を交互に率いての演奏です。

ロンドンに留学中のころは学生料金でコンサートをたくさん聴いた のですが、日本ではなかなかそうもいきません。

それだけに年1回のヤンソンス・コンサートは貴重な機会でもあるのです。

コンサートといえば、英語には音楽関連の表現がいくつかあります。今回はそのうちの4つを見てみましょう。


1.crescendo

I have waited years for this prize.  It is the crescendo of my entire career.(この賞を何年も待ち望んできました。私の全キャリアの中で最高潮です。)

音楽用語の多くはイタリア語から来ています。crescendo は「クレッシェンド」で、音が次第に強くなる様子を表します。語源は crescere (増える)で、これは「三日月」の crescent と同じ語源になります。さらに語源をさかのぼると、ローマ神話における農業の女神「ケレス(Ceres)」に到達します。英語の increase もここから来ているのですね。

クレッシェンドの反対語は「デクレッシェンド(decrescendo)」です。ただし、辞書やインターネットを見る限り、これを比ゆ的な意味で使った英文はないようです。このように新しい単語に出会った際には反対語や類語なども合わせて引いてみると、発展学習につながります

みなさんもぜひそのひと手間をかけてみてくださいね。


2.quaver

Since he was nervous, there was a quaver in his voice.(緊張していたので、彼の声には震えが見られました。)

quaver は「震え」あるいは「震える」という意味です。この語源は「quaven(揺れ動く)」で、「地震」の quake もこちらから来ているようです。

音楽用語の quaver は主にイギリスで使われており、「8分音符」という意味です。アメリカ英語では eighth note と言います。なぜ「8分」なのかと言うと、「全音符の8分の1」だからなのですね。ちなみにアメリカとイギリスでは音符の呼び方が異なります。「全音符」はイギリスでは semibreve 、アメリカでは whole note です。「4分音符」はそれぞれ crotchetquarter note です。こうした違いがなぜ誕生したのかを調べてみるのも興味深いですよね。


3.impromptu

I made an impromptu speech at the dinner table. (夕食の席で私は即興スピーチをしました。)

impromptu は音楽用語で「即興曲」と言います。もとはラテン語の in promptu から来ており、英語の prompt(迅速な)も同じ語源です。impromptu を使った表現は他に impromptu breakfast(間に合わせで作った朝食)、impromptu meeting(緊急会議)、impromptu squad(即席部隊)などがあります。

さて、自分ではわかっていると思える単語も、改めて発音記号を確認することが英語学習においては大切ですimpromptu は英語で「インプロンプテュ」と発音しますが、日本の音楽用語では「アンプロンプチュ」と言います。これはフランス語でそのように発音するからなのですね。「思い込み」もあえて確かめてみることが必要です


4.waltz through

Without much studying, she waltzed through the exam.(さほど勉強をしなかったものの、彼女は試験に楽々と合格しました。)

waltz は日本でもおなじみの「ワルツ」です。これに前置詞の through を付けると「楽々と〜する」という意味になります。ワルツの優雅な動きが「楽々と」という様子を表しているようですね。

ところでみなさんは Waltzing Matilda という曲をご存知ですか?これはオーストラリアで非公式国歌とも言われるぐらい愛好されている曲です。日本では「ウォルツィング・マチルダ」「旅にはスワッグをもって」などの題で知られています。興味がある方はYou Tubeなどの動画サイトで確認してみてください。

さて、みなさんは普段から音楽を聴く方ですか?私は「体力作りも仕事のうち」ととらえており、スポーツクラブのスタジオレッスンに参加しています。その中で流れる曲は聞いていて元気になるようなメロディが多くあります。気持ちが今ひとつすぐれないときや気分転換がほしいときなど、動画サイトでその曲を聞いては元気をもらっています。


柴原 早苗
放送通訳者、立教大学・獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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