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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 62回 ラテン語由来の表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
 



1999年、私はロンドンのBBCで放送通訳者として働いていました。その年の3月から6月にかけて起きたのがNATO軍によるコソボ空爆です。当時コソボは数年前から紛争が続いており、ヨーロッパへの脅威を感じたNATO(北大西洋条約機構)が介入に乗り出しました。連日の空からの攻撃に関してマスコミに報告をしていたのが、NATOのジェイミー・シェイ報道官でした。

シェイ報道官はロンドン出身でコックニーのような独特の発音の持ち主でした。BBCは毎日シェイ氏の発言を生中継で放映し、私たち通訳者はその同時通訳にあたったのです。中でも私を悩ませたのはシェイ報道官がラテン語を交えて戦況報告をしたことでした。そこで今回は「ラテン語」に注目してみましょう。

1.quid pro quo

As a quid pro quo for stopping the demonstration, the government has promised to increase the budget.
(デモを止めさせる見返りとして、政府は予算の増額を約束しました。)

先のシェイ報道官の発言の中で今でも強烈に記憶しているのが quid pro quo というフレーズです。これはラテン語で something for something、つまり日本語では「見返り」です。quid pro quo for … で「〜の見返りとして、〜の対価として」となります。他にも「しっぺ返し」という語義もあります。

ところで英語学習で大事なのは、辞書を引いた際に発音、複数形や活用なども合わせて確認することです。辞書で quid pro quo を引くと、複数形が出ており、quid pro quos または quids pro quo の2パターンが掲載されています。資格試験の対策本でボキャブラリー増強を図るのも一案ですが、「ついでに」を意識して辞書を読むだけでも語彙力はアップします


2.pro rata

The bonus will be calculated pro rata to the sales figure.
(ボーナスは売上高に比例して計算されます。)

pro rata は「比例して」という意味です。英語では in proportion となります。rata と同じ語源を持つのが rate ratio です。

pro rata の発音は「プロ・レイタ」と「プロ・ラータ」の2通りがあります。辞書を引くと前者の方が先に書かれていますが、放送通訳の現場では後者の「ラータ」をよく耳にします。発音も逐一辞書で確認すると意外な発見があり、たとえば encylopedia(百科事典)の発音は「エンサイクロピーディア」であり、「ペディア」ではないことがわかります。Wikipedia も英語では「ウィキピーディア」なのですよね。


3.ex libris

You can find many different varieties of ex libris on antique books.

(アンティーク本には様々な種類の蔵書票が貼られています。)

海外の古書店で私が注目するのが「蔵書票」です。これは本の見返しのところに貼るシールのようなもので、持ち主の名前が書かれています。蔵書票にも色々な種類があり、凝ったデザインのものも見られます。ちなみに日本でも竹久夢二などが蔵書票を描いたそうです。

ex libris は英語に直すと from the books of です。libris と同じ語源を持つ単語に library がありますよね。liber 自体が「」という意味を持つのです。最近では蔵書票自体を bookplate と表現することが多いようです。


4.cum laude

She is proud of herself because she graduated the university with cum laude.

(彼女は大学を優等で卒業できたので、自分を誇りに思っています。)

アメリカやイギリスの大学は秋に入学し、夏に卒業します。卒業の際、優秀な成績を収めると学位の後に肩書が付きます。cum laude は「優秀な成績」という意味で、graduate with cum laude は「優等で卒業する」となります。

cum は英語の with に相当し、「〜と共に」です。accumulate蓄積する)も同じ語源になります。laude の語源は laud賛美する)で、applaud称賛する)でもおなじみですよね。

cum laude というラテン語のほかに、英語でも大学卒業時に肩書きを付けることができます。成績順に with distinction およびwith merit と表記します。

いかがでしたか?英語にはラテン語を起源とする表現が実にたくさんあります。ぜひ皆さんも辞書を引きながらラテン語の世界を旅してみてくださいね。


柴原 早苗
放送通訳者、立教大学・獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 09:00 |

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