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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 57回 色が意味するニュアンス
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗



日本語では「真っ青になる」「赤の他人」「腹黒い」など色を用いた表現があります。英語も同様で、色に関連したフレーズが少なくありません。そこで今回は色が出てくる言い回しをいくつか見てみましょう。また、その色がどのようなニュアンスを持つのかについてもご説明します。


1.green-eyed monster

SNS is very convenient.  However, if you do them too much, it may bring out the green-eyed monster in you.
(SNSはとても便利ですよね。でもやりすぎるとあなたの中の嫉妬心を呼び起こすかもしれません。)

green-eyed monster は文字通り訳せば「緑色の目をした怪物」という意味です。green-eyed が初めて誕生したのは16世紀のシェイクスピアの作品でした。「ヴェニスの商人」にgreen-eyed jealousy(緑色の目をした嫉妬)という表現が出てくるのです。シェイクスピアは多数の作品を残していますが、中でも2000に及ぶ新語を作り出したのは大きな功績と言えるでしょう。ちなみにgreen with envy も似た意味を持ち、「ひどくねたんで」という様子を表します。

一方、Envy never enriched any man. はことわざで、「ねたみが人の役に立ったことはない」「そねみはその身の仇」となります。enrich は「豊かにする」という意味ですので、ねたみが人に富をもたらすのではないことがわかりますよね。

なお、学習者向け英和辞典を調べるとgreen には「若さ、未熟さ、嫉妬深さなどを暗示する」と出ています。語学学習の際にはぜひ基本的な辞書も引くようにしてみましょう。


2.a red-letter day

I was awarded the first prize.  It was a red-letter day in my life.
(一等賞を受賞したんです。私の人生において記念すべき日でしたね。)

red letter は「記念すべき、特筆すべき、めでたい」です。もとは教会歴で祝祭日を赤字で示したことから「重要な日、記念日」という意味になりました。ちなみにblack-letter day もあります。こちらは「厄日、不幸な日」です。18世紀にローマ人が厄日を黒い炭でカレンダーに印をつけたことから生まれた表現です。

red は英語でも日本語でも「炎や血の色」を思い起こすもので、「情熱、危険、幸運、怒り、革命」などを示唆します。「猛烈な怒り」はred-hot anger、「一線を越える」はcross a red line 、「官僚的で面倒な手続き」はred tape です。こちらは公文書を赤いひもで綴じたことから来ています。

ところで太陽の色は日本では「赤」ですよね。英語圏ではyellow となります。世界の国旗を見てみると太陽を描いている国があります。たとえばアルゼンチン国旗の中央には黄色い太陽が、アフリカのニジェール共和国の場合、オレンジ色の太陽となっています。ネパールの国旗は三角形が二つ重なった形ですが、下の三角形に描かれているのは白い太陽です。こうして見てみると、国によって異なるのが分かります。


3.yellow journalism

I didn’t like that article.  I thought it was a typical yellow journalism.
(あの記事はイヤでしたね。典型的なイエロージャーナリズムだと思いましたよ。)

yellow「豊穣や知性、愛、平和」などを象徴する色です。ただし、上記の例文にあるyellow journalism はアメリカで生まれた言葉で、扇情的な報道を指します。この表現が生まれたのは19世紀末で、New York World という新聞に掲載された漫画がきっかけでした。その漫画のタイトルはYellow Kid で、印刷には黄色いインクが用いられていたのだそうです。一方、ライバル紙のNew York Journal も負けじと別の漫画家を採用します。その結果、激しい競争が両紙の間で生まれました。

ところでyellow は動詞としても使えます。「黄色にする、黄ばませる」という意味です。形容詞の場合はyellow / yellower / yellowestと変化します。


4.blue-sky

The idea sounds great.  Still, I feel it’s a blue-sky theory.
(アイデアはすごいですね。でも私には非現実的な理論に思えます。)

一見「青い空」と解釈したくなるのがblue-sky ですが、「非現実的な、無価値な」という意味を持ちます。辞書を調べるとこの単語が初めてお目見えしたのは1895年で、「空には何もない」というのが語源と出ています。

blue は「空や海の青さ」を表しますが、その一方で「厳格、優秀、憂鬱」といったニュアンスも含みます。「君はまだ青二才だね」は英語でYou are still green. となるのです。日本語では青ですが、英語ではgreen になります。

「優良株」はblue chip、「最高賞」はblue ribbon、「国連平和維持軍」はBlue Helmet など、blue を用いた表現はたくさんあります。音楽様式の「ブルース」はblues です。こちらは憂鬱な気分を歌ったことから来ています。

英語の色は中学などで基本的な単語を学びます。これを機会に改めて既知の単語を辞書で引き、ニュアンスや関連表現などに触れてみて下さい。日本語と微妙に異なる部分もあり、実に興味深いと思います。


柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 11:30 |

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