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『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 56回 立つ、座る、横たわる、しゃがむ

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

文法用語で「句動詞」という言葉があります。これは「動詞+前置詞」「動詞+副詞」などの組み合わせにより、新たな意味が生じる表現を指します。たとえば get back (戻る)、 take out (持ち出す)などがありますよね。そこで今回は「人間の動作」をキーワードに色々な表現を見てみましょう。


1.stand tall

Our president can stand tall in business negotiations.
(うちの社長はビジネスの交渉で堂々としています。)

stand tall は「堂々とする、自信満々に振る舞う」という意味です。ニュアンスとしては「勇敢で自分に誇りを持っている」という感じです。 stand の代わりに walk を使い、 walk tall と言うこともできます。

stand を使った句動詞はたくさんあります。 stand apart は「無関心でいる」という意味の他に「抜きんでている」という意味もあります。 stand behind は「〜の後ろに立っている」「〜を保証する」です。簡単な動詞でも後ろに何が来るかで多様な意味が出てきます。

さて、今の時代は多くのみなさんが電子辞書やネットの辞書を使っていることでしょう。一方、紙版の辞書にも利点はまだまだ残されています。具体的には「見開きで俯瞰できる」という長所があるのです。私は大修館書店「ジーニアス英和辞典」という学習者向け中型英和辞典を愛用しているのですが、言葉の原義を始め、日本人が間違いやすいような文法の説明も出ています。電子辞書では「例文」ボタンをその都度クリックする必要がありますが、斜め読みをする上では紙版に軍配が上がります。


2.sit back

I don’t know what I will do after graduation.  I might just sit back and look at my life.
(卒業後どうするかはわからないですね。身を引いて人生を見つめ直そうかと思っています。)

以前あるラジオ放送で “Sit back, relax and enjoy the music.” とDJが言っていたことがありました。「くつろいで音楽をお楽しみください」という主旨だったのですね。一方、上記の例文は「身を引く、傍観する」ということです。もともと「椅子に深く座る」という意味から生まれた表現です。

ところで英語を学ぶ際、「 sit back があるということは、 stand back もあるのだろうか?」と考えることはとても大切です。そのような「小さな疑問」をそのままにせず、辞書で引いてみることが強烈な「経験記憶」となっていくからです。ちなみに stand back という表現は確かに存在します。「後ろへ下がる、論争から身を引く」ということです。


3.lie with

We apologize for the inconvenience.  The fault lies with us.
(ご迷惑をおかけして申し訳ございません。私どもに責任はあります。)

lie は「横たわる」という意味で、活用は lie / lay / lain です。同じつづりで「うそをつく」の lie lie / lied / lied となりますよね。 lie with は「〜の責任である」という意味です。

ところで「責任、義務」という名詞には accountabilityresponsibility などがあります。どちらも一見同じに見えますが、微妙に異なります。accountability の場合、自らの行為に対する「説明責任」まで含みます。一方、 responsibility は「行為を成し遂げる責任」を意味し、必ずしも「説明」をする義務は含みません。

使い分けを調べる際にはグーグルの検索で「 accountability responsibility 違い」と入力してみて下さい。関連のサイトがいくつもヒットするはずです。


4.huddle up

We are leaving in ten minutes.   Huddle up!
(あと10分で出発です。急いで!)

huddle は「しゃがむ、うずくまる」という意味です。また、寒さや恐怖から「群れる、身を寄せ合う」という語義もあります。huddle up で「(仕事などを)大急ぎで片づける」という意味になり、上記の例文はそれが命令形で用いられています。

語源を調べてみると、16世紀ごろ誕生したもので、中英語の hoderen から来ているようです。たいていの単語には語源があるのですが、いまだに解明されていないものもあります。辞書を引くと「語源不詳」と出ています。 huddle もその一つです。

なお、 huddle はアメリカンフットボールでも使われる単語です。カタカナでそのまま「ハドル」と言い、プレーの合間に選手たちが集まり、作戦会議を開く様子を表します。一つの英単語からスポーツまで思いを馳せるのも楽しい作業です。


いかがでしたか?句動詞というのは元の動詞が意外と身近でありながら、前置詞などと結びつくことにより、全く想像もしていないような意味になることがあります。簡単な動詞ほど改めて辞書で引いてみて下さい。様々な言い回しを知ることで、みなさんの表現力もきっと向上するはずです。


柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

 

| 『柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現』 | 10:00 |

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